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「誰もが暮らしやすい 魅力ある豊島をめざして」

平成22年11月30日登壇

 公明党の高橋佳代子でございます。私は公明党豊島区議団を代表いたしまして「誰もが暮らしやすい 魅力ある豊島をめざして」と題し、

1.福祉施策について

2.発達障がい者支援と特別支援教育について

3.まちづくりについて

4.住宅施策について一般質問を行います。

 

はじめに1として「福祉施策」について3点伺います。

1点目として「地域包括支援センター(高齢者総合相談センター)」について質問致します。

 

本区の老年人口比率は平成19年には総人口の2割を突破し、一貫して増加傾向にあり、超高齢社会の到来を前に、高齢者に最も身近な総合相談センターの担うべき役割は、益々重要度を増しております。

 

そもそも、地域包括ケアとは、高齢者介護研究会報告書「2015年の高齢者介護」によると「保険・福祉・医療の専門職相互連携、さらにはボランティアなどの住民活動も含めた連携によって、地域の様々な資源を統合した包括的なケア」とされています。「地域包括ケアが有効に機能するためには、各種サービスや住民が連携してケアを提供するよう、関係者の連絡調整を行い、サービスのコーディネートを行う」機関が必要とされており、このコーディネート機能こそ「地域包括支援センター」の設置目的となっております。平成18年に専門職を配置され、全ての高齢者の地域生活を支える総合相談窓口として、「地域包括支援センター」が設置をされました。本区では「地域包括支援センター」との名称が高齢者に理解されにくいため、「高齢者総合相談センター」と呼ばれるようになり、地域高齢者のワンストップサービスの拠点として、生活支援サービスが適切に提供されるよう、調整するコーディネート機能が益々期待されるところであります。

設立後4年が経過し、東京都の実態調査によりますと、「指定介護予防支援業務など、一部の業務に集中している」や「職員一人当たりの業務量が多く、利用者に丁寧な対応ができない」という事が多く挙げられており、課題もみえてきております。

本区では「一人暮らし高齢者実態調査」が行われておりますが、既に14000件の世帯の調査が終了し、その中で、生活リスクが高く、見守りが必要な180名の高齢者に対し、それぞれのサービスに繋げた実績があると伺っております。

そこで伺います。今後の高齢社会を支えるには、高齢者総合相談センターの機能強化が不可欠であります。他区でも大胆な人員の増員や予算確保を図っておりますが、本区としても高齢者を支える大胆な人員体制の整備や、施設等のハード面も含めた拡充が必要であると考えますが、いかがでしょうか。今後の本区としてのお考えをお示し下さい。

 

福祉施策についてのご質問のうち、まず、地域包括支援センターの機能強化についてのご質問にお答えいたします。

本区におきましては、平成18年にセンターが設置されて以降、高齢者人口の増加に伴い、相談件数や介護予防プランの作成数も右肩上がりの状況にあり、これまでも、その体制強化に向けた支援を行ってまいりました。さらに今年度は新規事業として、アウトリーチ事業も開始し、さらなる機能の充実を図ったところであります。

今後、アウトリーチ事業が本格展開することから、区長が招集あいさつの中でも申し上げましたとおり、人員体制を強化するなど、その機能強化を積極的に図ってまいります。

 

また、コーディネートが最大の使命である高齢者総合相談センターにとって、

地域の様々な情報収集と管理が機能強化に繋がり、それらを活かしたネットワークづくりに積極的に取り組んでいく必要があります。さらに、取り組む職員の能力やスキルアップも重要な課題となりますが、コーディネート機能を存分に発揮するための今後の取り組みについてお聞かせ下さい。

 

次に、コーディネート機能を存分に発揮するための取り組みについてのご質問にお答えいたします。

高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、民生・児童委員をはじめとする社会資源との連携が不可欠であります。このため、地域包括支援センターでは、地域におけるネットワーク会議の開催が義務付けられており、昨年度は延べ30回実施いたしました。この会議を通じ、情報の共有化や課題に対する認識が深められるなど、徐々にその成果の芽が出始めてきておりますので、今後、ネットワークづくりの推進に向けての取り組みをさらに強化してまいりたいと考えております。

また、ご指摘のとおり、職員のスキルアップも重要な課題と認識いたしております。このため、地域包括支援センター連絡会やケアマネ部会などの専門職種ごとの勉強会に加え、学識経験者による講演会も積極的に実施し、職員全体のレベルアップを図ってまいりたいと考えております。

 

今後は権利擁護も含めた問題の複雑化が予想されます。委託型の高齢者総合相談窓センターでは、緊急時の危機介入などについては動きに限界があり、区のサポートや連携がどこまでスムーズにできるのかが鍵になります。立ち入り調査などが実施できない委託型の包括支援センターが高齢者虐待を発見したとしても、区との連携がスムーズでなければ速やかに対応できません。こうした困難事例が発生した時の区としての支援業務のサポート。また、運営業務のサポートについてはどのように取り組まれるのか、お伺いします。

 

次に、困難事例発生時の区のサポートについてのご質問にお答えいたします。

高齢化の進行に伴い、本区の高齢者総合相談センターにおける権利擁護に関する相談件数は、前年度比でおよそ1.5倍となっております。とりわけ虐待につきましては、場合によっては、生命や身体、財産などに重大な危機をもたらすことから、迅速かつ的確な対応が求められます。本区においては、高齢者福祉課内に虐待専門の組織を設けて対応しており、相談や通報を受けた際には、速やかに地域包括支援センターや警察等との連携・調整を図り、問題解決に当たっております。また、虐待の内容によっては、精神科医や弁護士などの専門家との協議機関である虐待対応決定会議を設置し、重篤な虐待にも対応できるよう取り組んでおりますが、高齢者虐待がますます多様化する傾向に鑑み、今後さらなるサポート体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

 

例えば新宿区では、10か所の包括センターの内、1か所を「基幹型在宅介護支援センター」として区直営で運営しております。この直営のセンターが区内9か所ある地域包括支援センターの調整や統括を行い、区の関与や役割が明確になっているのが特徴です。

現在この「基幹的機能を担う地域包括支援センター」が注目されており、地域包括ケアの核として期待されております。区が地域包括ケアの責任を持ち、老人福祉法の措置や高齢者虐待防止法の権限を持って現場に飛び込んで行くことで、より基幹的機能を効果的に発揮できると考えます。他にも、直営ではないものの板橋区では「おとしより保健福祉センター」に基幹的機能を持たせている例もあり、今後の地域包括ケアを考えますとこのような基幹的機能の確保も必要であると考えます。今後の本区のお考えをお聞かせ下さい。

 

次に、基幹的機能の確保についてのご質問にお答えいたします。

本区が区内8か所の地域包括支援センターを設置してから早5年が経過しようとしております。当初は、直営3センターに基幹的機能を持たせ、各センターとの連絡調整や指導・助言等を行ってまいりましたが、平成20年度に完全民営化を図り、一方で、高齢者福祉課内に基幹的機能を有する地域包括サポート係を設置いたしました。

高齢化が加速するなかで、地域包括支援センターとの調整や統括機能の充実はますます重要になったと受け止めております。

したがいまして、今後、基幹的な地域包括支援センターは、どうあるべきか、議員のご意見を踏まえつつ、検討してまいりたいと考えております。

 

また、住み慣れた地域に暮らし続けたいというのが、高齢者の本音であります。近くに身寄りがなく、単身・夫婦のみの高齢者が増加すると、十分なサポートを受けられず不安を抱えていらっしゃる方もいます。そうした中、住み慣れた地域でケア付き住宅のようなサポートが求められますが、私ども公明党はそれを担う機能として、以前より(仮称)「シルバー交番」の設置を推進して参りました。

24時間365日ワンストップサービス窓口の機能を担い、訪問活動や緊急時対応、地域とのネットワークづくり等、これまでの高齢者総合相談センターを更に強化したものとなっております。このシルバー交番の設置場所は、居宅介護支援事業所・介護サービス事業所・地域包括支援センターなどとなっておりますが、「いつでも、だれでも」という高齢者を支える体制づくりを、ぜひ本区でも展開するよう求めますがいかがでしょうか。

高齢者が安心して暮らし続けられる環境をどのように整備していくかが、今後の自治体の取り組むべき課題でありますので、人員体制や予算確保を含めて積極的な取り組みを期待いたします。

 

次に、シルバー交番事業の展開についてのご質問にお答えいたします。

東京都が推進しております「シルバー交番設置事業」は、ご指摘のとおり、ケア付き住まいの理念と地域包括ケアの視点を融合させ、在宅での安全・安心な生活を高める注目すべき事業であります。

本区といたしましては、この事業を積極的に展開することにより、地域包括支援センターの機能強化が図られるよう、

現在、鋭意検討しております。

 

次に2点目として「HTLV-1(成人T細胞白血病ウィルス1型)」について伺います。

HTLV―1対策について公明党は、参院選マニフェストで「全国一律の妊婦健診での抗体検査を実施」と明記し、ウイルスの専門家である江田康幸衆院議員が「日本からHTLVウイルスをなくす会」の菅付加代子代表ら患者団体と二人三脚で総合対策の策定を訴えて参りました。私も20年の決算特別委員会でも取り上げ、抗体検査を妊婦健診の項目に導入するよう要望しましたが、区独自でということでは実施されてきませんでした。しかし、この度、国としての動きが出てきておりますので、改めて質問いたします。

9月8日、「日本からHTLV-1ウィルスをなくす会・スマイルリボン」代表の菅付加代子さんは、元宮城県知事の浅野史郎氏、そして公明党の江田康幸衆議院議員と共に、管総理に会い、直接HTLV-1の母子感染対策等への国の費用助成について前向きな答弁を引き出されました。元宮城県知事の浅野史郎氏は、昨年6月にATL(成人T細胞白血病)を発症され、現在医師から余命11ヶ月と宣告される中、病をおして総理と会われたそうです。HTLV-1は血液のがんで、1985年にHTLV-1に対する抗体が測定できるようになり、感染が確認できるようになりました。1990年の調査では、感染によるキャリアは全国で108万人、世界では1000万~2000万人いると推定されています。首都圏でも10万~15万人と推定され、現在では、特定地域の風土病ではなく、全国的に感染者が広がっております。HTLV-1によって、ALT(成人T細胞白血病)とHAM(HTLV-1関連脊髄症)の2つの病気に感染する可能性があります。ALTとは、HTLV-1ウィルスが原因で発病する白血病であり、発病年齢の平均は55歳から60歳で、比較的男性に多く発病し、年間1000人が亡くなっております。また、HAMとは、HTLV-1によって、脊髄が傷つけられて麻痺が起こる病気と考えられています。自覚症状の第1段階は徐々に進行する歩行障がいで、足がもつれて歩きにくくなります。歩行障がいが進行すると両手杖、車椅子が必要になり、重症化すると両下肢の完全麻痺、躯体の筋力の低下による座位障がいで寝たきりになります。

HTLV-1の感染経路は主に、母子感染によるものが考えらます。HTLV-1のキャリアのお母さんが赤ちゃんに母乳を6ヶ月以上与えた場合の感染率は20%、短期間の授乳で5~7%、人口ミルクのみの場合は3~5%しか感染しないとされています。実際、鹿児島県では、妊婦健診で陽性となった方に授乳指導を行い、感染抑制を行っております。

そして、重要なポイントは、現在このHTLV-1に対する治療薬は開発されていないということであります。また、この病の恐ろしいところは、潜伏期間が長いことであり、自らキャリアであることを知らずに子どもを産み育て、数十年後には自分自身が発病して始めて子どもに感染させてしまったことを知らされるお母さんの苦悩は、はかり知れません。もし、妊娠中に感染していることがわかれば母乳を与える期間を短くして、子どもへの感染を防げたかもしれません。

そのような中で、10月6日、厚生労働省はHTLV-1の母子感染を防止するため、同ウィルスの抗体検査を肝炎やエイズウィルスなどとともに、妊婦健診時の標準的な検査項目に追加し、公費で実施するよう都道府県に通知致しました。

そこで伺いますが、抗体検査の公費実施については、東京都も含め現在どのような検討をされているのでしょうか。

 

福祉施策についてのご質問のうち、まずHTLV-1抗体検査の公費実施についてのご質問にお答えいたします。公費によるHTLV-1抗体検査を、東京都のすべての区市町村で一斉に実施できるように検討会を設置し、実施方法、診療体制、地域での相談体制について検討を進めています。12月には、実施の具体案がまとめられると聞いております。

 

また、妊婦さんの中には、このような知識があまりない方もいらっしゃいます。例えば北区では、「赤ちゃんを感染から守りましょう」という、HTLVウィルスについての知識や抗体検査を勧奨するチラシを作成し、母子手帳配布時に一緒に配布をしております。知識がないばかりに悲しい思いをする親子をなくすためにも、本区としてもぜひ実施し意識啓発に努めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 

次に、母子健康手帳配布時における啓発チラシ配布のご質問にお答えいたします。抗体検査については、既に多くの医療機関で実施されているところですが、妊婦健康診査の検査項目に追加され、診療体制の準備が整い次第、ご提案のように、母子健康手帳の配布時やホームページで、チラシの配布など適切な情報提供を行い、HTLV-1に関する正しい知識の普及啓発に努めてまいります。

 

さらに、抗体検査後キャリアと診断された場合、現在治療法が確立されていないため非常に不安になるでしょうし、赤ちゃんに対しての授乳指導等、保健師や母子関連部署の職員に対して研修が必要であり、相談体制の整備が急務であると考えますが、お考えを伺います。

次に、相談体制の整備についてのご質問にお答えいたします。現在、国では、相談支援体制の整備等の課題について検討し、保健指導マニュアルの改訂をしております。豊島区といたしましても、母子保健に関わる職員を、国や都が実施する研修に積極的に参加させるなどして、キャリアと診断された妊婦のこころのケアを中心に、相談支援体制の整備に努めてまいります。

 

3点目として「ブックスタート」について伺います。

私ども公明党は、これまで一貫して子ども読書活動の必要性と有効性について、取り上げて参りました。特に「ブックスタート」については、先輩方が何度も議会で質問を行って参りましたが、一部で絵本配布を行っているものの、いまだ全体的な具体的施策が行われておりません。

しかしながら、他の自治体では「読み聞かせ」の重要性に注目し、乳幼児健診等の場を利用して「ブックスタート」事業を展開するところが増えてきております。

今年7月6日に東京都で行われた、保健師を対象とした「都・区・市町村保健師業務連絡会」において、「読み聞かせ」の重要性について啓発が行われております。幼い頃に保護者に本を読んでもらった経験のある子ども、つまり「読み聞かせ」の習慣がある子どもは、読書を好きになる傾向が高く、言葉もうまく話せない幼少期であっても、「嬉しい」と感じることで、「辺縁系(心の脳)」が反応しているそうです。また、読み聞かせをする保護者の方も、子どもの喜ぶ姿を見ながら、もっと子どもを喜ばせようとして本を読むことが、脳に良い影響を与え、親子のコミュニケーションを豊かなものにすると考えます。東京都もこの乳幼児期からの取り組みの有効性が様々な研究から証明されていることから、多くの自治体で実施するよう提案されているところです。

本区としては、20年度から東西の子ども家庭支援センターで行われている「ウェルカム赤ちゃん事業」や「赤ちゃん講座」で参加者に絵本を配布されておりますが、昨年度の実績は69冊、今年度も現在までで53冊というまだまだ小規模な事業であります。

そこで伺いますが、この絵本の配布事業について、本区としてどのように評価されているのでしょうか。

 

「ブックスタート」についてのご質問のうち、まず絵本配布事業への評価についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、絵本の読み聞かせは、子どもが美しい絵を見、言葉を聴くことで、豊かな情緒を育むとともに、子どもが現実の世界とは違う絵本の世界を体験し、世界観を広げていくための大切なきっかけになると考えております。そして何よりも、親による読み聞かせは、親子が心を通わすための貴重な機会の一つとなります。以上のようなことから、読み聞かせに限らず、子どもが絵本で楽しみ、遊ぶことは、ある絵本研究家の言葉を借りますと、「心の基礎体力」を養い、高めていく効果があるものと考えております。

東西の子ども家庭支援センターでは、平成20年度から、「ウエルカム赤ちゃん」や「赤ちゃん講座」の参加者に対して、絵本をプレゼントするとともに、絵本講座を開催し、親子が絵本を楽しむ方法を広めていますが、参加者からは大変喜ばれ、人気の事業となっております。情報過多の現代社会においては、よい絵本を選定し、推奨していくことも、子ども家庭支援センターの重要な役割の一つであると認識しており、今後とも積極的に取り組んでまいります。

 

また、子どもの心を育てる意味からも本区では、読書活動の有効性は既に認識されており、学校図書の充実にも力を入れて取り組まれております。その前段階としてのブックスタート事業を展開することにより、子ども読書の取り組みは完成されると言っても過言ではありません。ぜひ本区としても取り組まれるよう提案いたしますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。

 

次に、ブックスタート事業の展開についてのご質問にお答えいたします。

区立の小中学校におきましては、推薦図書等により読書活動を推奨しておりますが、入学前の乳幼児期の絵本体験が、成長してからの読書習慣につながっていくと考えられますので、乳幼児期におけるこうした取組が極めて大切であると考えております。

乳幼児医療証の交付申請や子育て訪問相談の機会に、親子に絵本を配布するとともに、親子が絵本を楽しむ方法を広めるなど、図書館などとの連携を考慮しながらブックスタート事業の積極的な展開を、今後検討してまいります。

 

次に2として、「発達障がい者支援と特別支援教育」について伺います。

これまで何度も、発達障がい者支援を取り上げ、一貫した支援の必要性を述べて参りました。その中で、本区としても新たな行政課題として認識していただき、発達障害者支援検討会を立ち上げていただいたことは、高く評価いたします。保健福祉部・保健所・子ども家庭部・教育委員会が同じテーブルに着き、約2年に渡り支援のあり方を検討していただいてきたわけであります。

 

そこで伺います。

一貫した支援の構築ということで検討会が設置をされました。乳幼児期から成人期に至るまでライフステージに合わせた一貫した支援については、既に全国的な流れとなっております。また、これまでライフステージが変わるごとに担当部局が変わるため、スムーズな移行が難しい状況にあり、この移行期をどうするかが各自治体の重要課題ともなっております。本区はいち早く検討されてきたわけでありますが、本区としての一貫した支援のあり方についてのお考えをお示しください。

 

次に、発達障がい者支援と特別支援教育についてのご質問のうち、発達障がい者支援についてのご質問にお答えいたします。

まず、区としての一貫した支援のあり方についてでございます。

この間、発達障害者支援検討会では、幼児期から成人期までのライフステージごとの現状と課題及び発達障がい者に対する地域支援のあり方について検討を重ねてまいりました。

ご指摘のとおり、ライフステージに合わせ一貫した支援体制を築くことの重要性については、十分認識いたしております。

今後、実務者レベルの「発達障害者支援ネットワーク会議」を立ち上げ、それぞれのライフステージをつなぐ共通支援シートの作成など、具体的な支援方策のあり方について検討を深めてまいります。

 

また、近くには専門の大塚病院児童精神科があります。より中身の濃い支援を行うためにも、今後の大塚病院との連携を本区としてどのようにお考えなのか伺います。

 

次に、大塚病院との連携についてのご質問にお答えいたします。大塚病院では、昨年10月に児童精神科を開設し、現在、15歳以下のこころにかかわる様々な問題をもつ子どもに対して診察を行うとともに、12歳以下の児童のデイサービスを行っております。

また、現在、大塚病院では、豊島区及び文京区の関係機関との連携を図るため、連絡協議会を設立し、協力体制づくりを進めております。

今後とも、病院と区との連携のあり方等について協議を重ねてまいりたいと考えております。

 

現在、幼少期の発達相談については西部家庭支援センターで相談を受けられるようになっており、小中学生については教育センターがその機能を担っております。しかし、それ以上の年齢の方については、専門的な相談窓口が存在しません。発達障がいが引き金となり、ひきこもりやニート等の2次障がいを起こしている方も、決して少なくない中で、このような青年期や大人を対象とした相談事業についても拡充していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 

次に、青年期や大人を対象とした相談事業の拡充についてのご質問にお答えいたします。

ニートや閉じこもり、さらには自殺等を防ぐためには、深刻な状況にいたる前の支援が極めて重要であると考えております。

そのため、青年期や大人の相談窓口として、区内の大正大学のカウンセリング研究所のご協力により、来年度から社会の中で生きづらさを感じている発達障がい者等が気軽に相談に行けるような体制を構築してまいりたいと考えております。

 

その他にも、家族を支える支援も重要でありますし、周囲に理解してもらうための意識啓発も繰り返し取り組んでいく必要があります。お考えを伺います。

次に、家族を支える支援や周囲の理解を得るための意識啓発についてのご質問にお答えいたします。

発達障がい者の支援に当たりましては、発達障がい者本人だけでなく家族の支援や周囲の理解の促進が大変重要でございます。

21年度に実施しました2回の講演会では、家族を含む

145名が参加し、区民の関心の高さを痛感いたしました。

今後は、啓発のための講演会のさらなる充実を図るとともに、区民向けのリーフレットを作成するなど、支援を強化してまいりたいと考えております。

 

次に「特別支援教育」について伺います。

東京都教育委員会は、今月「東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画」の概要を発表いたしました。平成23年度から28年度という期間の中で、特に特徴となっているのが在籍校における支援体制の整備であります。

これまで、特別支援教室の設置は、教育委員会が積極的に取り組まれてきました。

 

そこで伺いますが、現在の各校に設置されております特別支援教室での指導状況と今後の課題についてお聞かせください。

 

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

発達障がい者支援と特別支援教育についてのご質問のうち、まず、特別支援教室での指導状況と今後の課題についてのご質問にお答えいたします。

特別支援教室につきましては、学級担任や教育支援員による教科の補充学習、チームステップや通級指導学級の担任による取り出し指導、スクールカウンセラーによる教育相談など多岐にわたり活用しております。利用頻度は学校によって異なりますが、ほぼ毎日、何らかの形で活用している状況でございます。教育委員会では、これまで、机やパーテーション等の備品をそろえ、子どもたちが落ち着いて学ぶことのできる環境づくりを進めてきたところでございます。今後の課題といたしましては、教材・備品の充実や効果的な指導法に関する研究などが必要であると認識しております。

 

また、通級指導学級については、今後も生徒数が増加し続けることが予想されます。この通級指導学級の先生方は通級での指導の他に、通級に通ってくる児童・生徒の在籍校での様子も見守りながら、指導の在り方を担任と協議もされています。また、児童・生徒の状況によっては、週2回の指導が必要な場合もあるかと思いますが、現在の通級指導学級は受け入れるのに精一杯で、児童・生徒のニーズに合わせた教育を行うには拡充が必要であります。今後、ニーズの多い通級指導学級について、本区としてどのようにお考えなのか。また、教員の専門性やスキルアップについてどのように取り組まれるのか、お聞かせください。

 

次に、通級指導学級に対する認識及び教員の専門性やスキルアップへの取り組みについてのご質問にお答えいたします。

近年、特別支援教育に対する理解が深まってきたことから、情緒障害等通級指導学級を利用する子どもたちは、著しい増加傾向にあります。こうした状況を踏まえ、豊島区では、平成23年度に長崎小学校で、平成26年度に目白小学校で通級指導学級を開設いたします。今後とも、ニーズを的確にとらえ、迅速に対応してまいります。

また、教員の専門性やスキルアップへの取り組みにつきましては、通級指導学級の教員に対する研修を充実させるとともに、各学級に研修講師を派遣し、指導方法や内容について実践的な指導を行うなど、教員の専門性の向上を図っているところでございます。今後とも教員の資質・能力の向上に努めてまいります。

さらに第三次計画では、現在の「子どもが動く」から「教員が動く」への転換が示されておりますが、特別支援教室を活用しての教育の充実を考えますと、現在のチームステップを大胆に拡充する必要があります。国や東京都は特別支援教育の理念は示しますが、肝心の教育現場への予算措置については何ら示しておりません。しかしながら、未来の宝である子どもたちへの予算確保については、最優先に取り組むげきであります。人員配置も含めた体制整備について、お考えを伺います。

 

次に、人員配置を含めた体制整備についてのご質問にお答えいたします。

特別支援教室を活用しての教育の充実を目指すチームステップにつきましては、平成21年度、延べ1900回を超える派遣を行い、学校からも大きな期待が寄せられております。今年度、従来の人員に加え、ステップジュニアとして新たに4名を増員し、各学校のニーズに応えているところでございます。

今後、チームステップの拡充を図るとともに、すでに小学校全校、中学校3校に派遣しております教育支援員の有効活用を図るなど、体制の整備に努めてまいります。

 

次に3として「まちづくり」について伺います。

今日のまちづくりの動向をみますと、新庁舎をはじめとする大きなプロジェクトをはじめ、西口の街区再編も視野にいれたまちづくりや造幣局周辺のまちづくりなど、本区の経済活動の活性化や人との新たな交流を育む舞台づくりに多大な影響力を与えるであろうと思われます。

このような動向から、池袋副都心に求められる役割はどのようなものなのかを改めて考えてみますと、環境先進都市を創造する、あるいは、経済力を高める中核拠点としての大きな役割があると同時に、住み続けたい、訪れたいと誰もが感じる街であることだと考えます。

今後、世界に類を見ない少子・超高齢者社会が進み、人口の減少傾向は顕著となる中、街の将来像を的確に描き、質の高い住環境を形成する街づくりの視点は非常に重要なものであります。

超高齢社会や人口変化への対応は、鉄道、バスなど地域の生活や活動を支える公共交通のサービス水準や利便性を一層高めていく必要がありますし、「いつでも、どこでも、なんでも、だれでも」のユビキタスで、生活をより豊かにする街づくりが求められます。

また、高齢者、子ども、障がい者、外国人など、誰もが快適に暮らし、社会参加できる、ユニバーサルデザイン東池袋四・五丁目地区の街づくりを進める必要があります。

このような視点に立ち、質問いたします。

まず、本区の街づくりの基本方針について伺います。区長はこれまで、池袋副都心のグランドビジョンを掲げ、わかりやすく、街づくりの動向をしめされております。基本構想、基本計画、未来戦略推進プランにも街づくりの方針は記載されておりますし、その他、基本計画を補完する様々な計画にも、コンセプトやキャッチフレーズがあり、本区の目指す街づくりの基本方針が見えにくくなっていると感じます。

本区の全体の将来像や、池袋副都心の将来像を示すものなど、一例を述べますと、基本構想では「未来へ ひびきあう 人 まち・としま」、環境基本計画では「環境負荷の低減と都市の活力が両立する高密都市」、未来戦略推進プランでは「文化と品格を誇れる価値あるまち」、都市計画マスタープランでは「魅力ある副都心の劇場都市空間づくり」、池袋副都心グランドビジョンでは、コンセプトとして「文化による賑わいの創出、人と環境への優しさ」などとなっております。

それぞれの補完計画は、本区の将来像を示しているのでしょうが、本区をさらなる成熟に導く都市づくりの基本方針について、改めて、区長のお考えをお示しください。

 

まちづくりについてのご質問のうち、都市づくりの基本方針についてのご質問にお答えいたします。

お話しのように、最近のまちづくりの動向を踏まえて、池袋副都心に求められる役割は、環境先進都市であり、経済力を高める中核拠点、まさに住みたい街、訪れたい街、ご指摘のとおりでございます。そして、基本構想が掲げる豊島区の将来像は、「未来へひびきあう人まち・としま」であります。「ひびきあう」という言葉から、「人」と「まち」とが連携・共鳴し合ったまちになっているということがイメージいただけるかと思います。

基本計画を上位計画として、基本計画が地域づくりの方向として定めた「まち」の姿を実現するために分野別に計画が策定されています。そして、分野別の計画では、都市再生や福祉、教育など、それぞれの分野に特化した視点から都市像を掲げているわけでありまして、一見いたしますと、独自の都市像が掲げられているようにも映るかもしれません。しかし、それらの都市像の総体として、基本構想が定める都市像の実現をめざしているのでありまして、その調整機能を果たすのが、基本計画であり、毎年度実施計画として策定している未来戦略プランであると認識をしています。

都市像を表すコンセプトやキャッチフレーズが混在していて基本方針が見えにくいというご指摘も理解をできますので、それぞれの位置付けなどが明確になるよう、今後は留意してまいりたいと考えております。

成熟社会における都市づくりの基本方針は、区民の生活に視点を置き、第一に、区民の生活の質を高めること、第二に、価値あるものを築き次の世代に引き継いでいくことであると考えております。

そのための施策の一つが、安全・安心やユニバーサルデザインの都市づくりではないかと思います。

このような都市づくりを区民の皆さんと共有しながら実施することによって実現されるのが「文化と品格を誇れる価値あるまち」であると考えております。

 

次に、街づくりの重要な視点として、バリアフリーがあります。

池袋駅の乗降人員は、平成21年度のデータでは、一日に約254万人もが行き来するターミナル駅であります。各鉄道駅の改札口や近接する百貨店や家電量販店などの各施設とそれに至る経路など、バリアフリー新法の施行を受け、総合的な対策や対応が喫緊の課題となっております。

急速な超高齢社会の進展からは、「ノーマライゼーション」の理念、「ユニバーサルデザイン」の在り方など、公共交通機関をはじめ、各鉄道駅や周辺の道路、駅前広場、連絡通路等のバリアフリーの連続性で誰もがスムーズな移動が可能でなければなりません。

このような観点から、特に、池袋の地下の現状は、通行量の多い複雑なターミナル駅で、接触の危険性や災害時の混乱を招く可能性が非常に高いと感じます。高齢者や障がい者、区外から集まる不特定多数の来街者にもわかりやすい案内誘導、あるいは、地上部との移動が可能なエレベーターやエスカレーターなどの施設整備は、急務であると考えます。

東西デッキ広場の必要性の中でもサイン計画の検討と共に、必要なバリアフリー計画も関係事業者や高齢者団体、障がい者の皆さんと、すでに協議・検討がなされていると聞いていますが、池袋駅のバリアフリーに関する基本的な方針と今後の協議の進め方について伺います。

 

次に、池袋駅のバリアフリーに関する基本的な方針と今後の協議の進め方についてのご質問にお答えいたします。

池袋駅及びその周辺を含めたバリアフリー化につきましては、バリアフリー新法に基づくバリアフリー基本構想の策定に向け、駅に関する全ての事業者と交通管理者、交通事業者、豊島区高齢者クラブ連合会、豊島区障害者団体連合会など、バリアフリー施策に関する方々のご参画をいただきまして、本年1月の協議会発足以来、順次、検討を進めております。

具体の検討では、住民部会と事業者部会に分け、住民部会での「まち歩き」やワークショップによる議論で得た内容を事業者部会に投げかけ、各部会での検討結果を合同部会で確認し合い、部会案として整理をいたしました。去る11月24日には、第2回協議会を開催し、この部会案をベースとした基本構想素案についてご議論をいただいたところでございます。

この基本構想の柱は、高齢者や障害者等が日常生活で利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設などを生活関連施設として位置づけ、その施設間を生活関連経路として指定し、こうした施設や経路での必要なバリアフリー対策について、事業者ごとの特定事業としてロードマップに明示することであります。

また、他地区の基本構想と比べた特徴は、池袋駅の場合、多くの事業者をまたがるバリアフリー対策が必要なことから、事業者間の調整や連携が必要な事項について、基本的な整備方針を定めること、駅の地下通路を生活関連経路としていること、さらには、地下通路の案内誘導サインの改善について、別途検討を進めている池袋駅周辺整備計画(案)と連動した検討をしていることです。

来年1月下旬に予定しております第3回協議会では、基本構想(案)のとりまとめを行い、パブリックコメントを経て、来年度の早期に池袋駅地区バリアフリー基本構想の策定を予定をしております。

 

また、基本構想策定後には、構想全般の段階的、そして継続的な取り組みに向け、年に1回程度、協議会を開催をしながら、適切に進行管理を行ってまいりたいと思います。

 

次に、補助81号線沿道の街づくりについて伺います。

先ほど述べました通り、池袋副都心の役割から、この補助81号線の道路は、本区の街づくりにとって、どのような意味があるのかを考えますと、都内の道路ネットワークとしての機能、延焼遮断帯としての機能など、必要な道路整備計画であるといえます。

しかしながら、補助81号線は、東池袋四・五丁目の居住環境整備地区内にあり、沿道周辺の街並みは、放射8号線及び放射26号線の幹線道路沿いには、商業・業務建築物、共同住宅などの高層建築物が数多く並ぶ一方、その後背地は、中低層建築物の密集や、道路、公園等の都市基盤の整備が不十分なまま宅地の細分化が進み、狭あい道路や行き止まり道路の多い地域であります。

そこで、伺います。

まず、用途地域規制や地区計画制度の活用で、新たな建築計画などがなされ、地域に住み続けたい住民の対応策も図られておりますが、この沿道を含む街づくりの方針は、どのように設定されているのでしょうか。

 

次に、補助81号線沿道まちづくりについてのご質問のうち、まず、沿道を含むまちづくり方針についてのご質問にお答えいたします。

東池袋四・五丁目地区は、道路・公園等の基盤が未整備のまま、木造建築物等が建ち並ぶ密集地区であります。したがいまして、この地区のまちづくり方針は「安全・安心で住み続けられるまちづくり」でございまして、これまで、昭和58年から居住環境総合整備事業を展開し、狭あい道路の整備や、行き止まり道路の解消、防災道路の新設や拡幅、ポケットパークの創出、不燃建物への共同建替えなど、積極的に取り組んできております。

ご指摘にありますように、平成20年には地区計画を都市計画決定し、不燃領域率の向上に取り組んでおります。

また、都市計画道路の進捗に併せ、地区計画制度の活用とともに、沿道の用途地域の見直しを行い、延焼遮断帯や共同化による建替えの促進などを誘導をしております。

 

次に、沿道の道路拡幅にかかる権利者の中には、借家や賃貸アパートの経営者等もあり、これまで、そこに住んでいた方々に対するいわゆる従前居住者対策については、どのように行われてきているのかお聞かせ下さい。

また、細分化された建築敷地での共同化は、豊かなオープンスペースの確保や不燃化の促進、行き止まり道路の解消など、非常に重要なテーマとなっておりますが、今後どのように取り組まれていくのか伺います。

 

次に、従前居住者対策についてのご質問にお答えいたします。

延長610メートルにわたる補助81号線の拡幅に係る権利者数は大変多く、木造賃貸住宅も多数存在しております。このような状況下で、従前居住者対策として、共同化による代替床分譲での対応や建替え時の従前居住者用住宅への入居、あるいは、都営住宅への斡旋、民間賃貸住宅への照会など、事業者である東京都とともに取り組んでおります。また、従前居住者対策を含むまちづくりの相談場所として、東京都新都市建設公社が地区内に平成18年から常駐し、皆さまがたのお声を十分にお伺いすべく対応をしております。

次に、細分化された建築敷地での共同化についてのご質問にお答えいたします。

細分化された敷地を集約して共同化することは、地域の防災性を飛躍的に高める効果があり、東京都と区の協働で積極的に取り組んでおります。そして、今年7月には待望の共同化ビル第一号が完成し、地域の老朽建物の除却、共同化による不燃化を実現いたしました。今後も、その他の共同化ビルの実現に向けて、地域ごとの懇談会等で地権者の意向を尊重しながら、合意形成に積極的に取り組んでまいります。

次に、補助81号線の整備と連携した街づくりについて伺います。

この整備は、道路ネットワークと共に、周辺と連携する街づくりネットワークを考えていく必要があると考えます。やはり、人が交流する賑わいの連続性のある街は、活気もあり、元気な街としていきいきとしています。

今後は、連携するこのような視点で、沿道周辺を含んだ街づくりを進めるべきであると考えます。そのため、新たに賑わいの連携を考慮した地区計画制度の活用を図りながら、街づくりの展開をすることは非常に重要な視点であると思いますが、お考えを伺います。

 

次に、道路整備と連携したまちづくりについてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、今後整備される道路の沿道は、賑わいの連続した活気のある、元気なまちが望ましいということは十分認識しております。これらを実現するためには、地域の皆さんと意見交換を行い、地区計画制度の活用の検討をしてまいりたいと思います。また、今後の道路整備に併せて、拡幅による残地の活用を図り、地域コミュニティにも配慮した、沿道で人々が交流できるような「まちかど広場」等を創出し、賑わいが点ではなく、線や面でもつながるようなまちづくりに積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 

次に、南池袋ニ丁目のB・C地区の街づくりについて伺います。

A地区については、「街並み再生方針に」に基づき、第一種市街地再開発事業で展開されています。

同様の街づくり方針をもつB・C地区では、すでに準備組合が発足している地区もありますが、地域の関係権利者の意向はどのように把握されているのでしょうか。また、課題があれば、その対応にどのように取り組まれるのか伺います。

 

次に、南池袋二丁目B・C地区の街づくりにおける関係権利者の意向の把握と課題への対応についてのご質問にお答えいたします。

B・C地区では、平成21年7月から22年2月にかけて、地権者の皆様に対しまして、街づくりに関する意向調査を実施をいたしました。

区職員が直接、それぞれお宅を訪問するなどにより意向調査を行ないましたので、B地区については81%、C地区については比較的新しい分譲マンションを除き91%の高い調査率となっております。

これによりますと、自己所有土地建物の将来利用に関して「共同化を検討」と回答した方は、両地区とも、依然として、3割程度にとどまっております。

また、街の望ましい将来イメージについてお伺いをいたしましたところ、街並み再生方針に肯定的なご意見が、B地区で48%、C地区では64%となっております。

この意向調査からわかりますように、街づくりに関する地権者の皆様のお考えには、まだまだ温度差があるというのが実情でございます。

この課題に対しましては、区が地域の皆様方に個別対応も含めた丁寧な説明を重ねることはもちろんでございますけど、地域の皆様方どうしが、様々な意見や立場の相違を越えて、十分な議論を尽くすことが、将来のより良い街づくりに必要不可欠なものではないかと思います。

このような観点から、現在、地域の皆様方と共に今後の街づくり方針を策定するための「ワークショップ」を開催しているところでございます。

現在、B地区及びC-2地区では、再開発準備組合が組織化されておりまして、また、今年10月にはC-1地区でも新たに再開発協議会が発足したとの報告を受けております。

このように、B・C地区の街づくりの気運も確実に高まりつつありますので、今後も街づくりワークショップ等の取り組みによりまして、地域の皆様の意向を丁寧にお伺いしながら、副都心隣接地区にふさわしい安全・安心な、そして快適な街づくりを進めてまいります。

 

次に、雑司が谷ニ丁目地区の担い手支援事業について伺います。

池袋南地区まちづくりの会では、国の直接の補助金を活用し、高田小学校跡地を含む公園の提案等について、その実現にあたり、地区計画素案の策定に向け話し合いが行われています。

この高田小学校跡地の公園整備は、防災上の観点からも、非常に重要な街づくりであります。これまで、施設再構築の中で、防災公園として活用すべく、関係部署で検討がなされてきておりますが、これまで、その進捗が思わしくないようであります。

その課題の一つとして、学校の解体のための工事車両が、狭あいな道路状況のため進入できないことから、新たに、工事車両の進入のための道路を構築する必要があることが大きな課題と聞き及んでおります。

このことをどのように解決するのか、また、今後の街づくりの展開をどのように進めようとされているのかお聞かせ下さい。

 

まちづくりについてのご質問のうち、まず、高田小学校跡地公園整備にかかる課題についてのご質問にお答えいたします。

同地区は東京都「防災都市づくり推進計画」の重点整備地域に指定されており、燃えにくいまちの実現のため、適切な整備手法の選択により地区の不燃化を促進し、早期に防災性の向上を図る必要性が高い地域です。

ご指摘のとおり、高田小学校跡地周辺は、4メートル未満の狭あい道路が多く、住宅が密集しているため、現状のままでは大型車両が進入してくることができません。旧校舎の解体と公園整備工事を円滑に行うためには、高田小跡地までの仮設道路を敷設し、工事車両の通行路を確保することが不可欠であります。

今後、防災に配慮した公園整備スケジュールを早期に確定したうえで、仮設道路の予定地を選定し、地元の皆さんと協議してまいります。

次に、今後のまちづくりの展開についてのご質問にお答えいたします。

この地区は、狭あい道路や行き止まり道路も多数存在し、大災害時の危険度も非常に高くなっております。したがいまして、オープンスペースの創出、街区の再編、共同化や不燃化の促進を図り、より安全なまちを実現していく必要があります。

そのため、現在、地元の池袋南地区まちづくりの会の皆さんが担い手支援事業として国の補助を活用して、住民主体のまちづくりの協議を進めておりますので、その結果をふまえ、地域と区が共同で必要な事業化の協議を継続的に行い、このようなまちづくりの活動を支援してまいります。

 

最後に、まちづくりの質問のまとめといたしまして、新庁舎建設に関する考え方について触れたいと思います。

新庁舎建設の必要性につきましては、これまで、区民への説明会などを通じ、丁寧に説明されております。

その資金計画では、現庁舎地の定期借地50年のうち25年の地代一括前払いの143億円で、新庁舎の不足する床の購入費や駐車場、駐輪場などの床購入費、新庁舎の内装費、備品購入費、引越し費、さらには現庁舎地の解体費と分庁舎A・B館の解体費など含め、その必要経費となる141億円を賄う計画となっております。

現庁舎地の活用の公募は、新庁舎へ移転する予定の平成26年度末から1年半前の平成25年度中ということであり、その時点時点で、情報を共有しながら確実性を高めていかなければならないと思います。

新庁舎の建設は、区民サービスの向上や防災拠点となりうる視点からも、早急に着手、完成することが求められます。

また、周辺の街づくりの方向性を明確にし、価値のある現庁舎地の活用を誘導することなど、早期に検討を始めることは非常に重要なことであると考えます。

新庁舎建設は、日出小学校跡地と地域住民の皆さんとで、第一種市街地再開発事業により、権利変換で床を生み出し、保留床の売却や国の補助金の活用を図る方策で、事業計画が組まれております。新庁舎建設の基金も底をついているいま、現庁舎地を売却しないで新庁舎建設を実現する手法としては、現時点で考え得る最善の策であろうと考えます。是非とも、区民サービスのさらなる向上を念頭に、区民の皆さんに誇れる新庁舎建設を推進していただけるよう、重ねてお願いいたします。

本区のまちづくりの基本方針に関連して、何点かご質問し、新庁舎建設につきましては、考え方を述べさせていただきました。

様々な観点から、誰もが自信を持って成熟したまちで、心豊かに暮らすことができるよう、本区の望ましいまちづくりに微力ながら今後とも参画していくものであります。

 

次に4として「住宅施策」について伺います。第3回定例会でも木下議員から質問させていただきましたが、今回も引き続き取り上げさせて頂きます。

今後、本格的な超高齢社会が急速に到来することで、介護が必要な高齢者が増えていくことが予想されます。しかし、特別養護老人ホームは待機者が多く、介護施設だけで高齢者の問題を解決するのは難しくなっております。高齢者が年々身体機能が低下する中で、地域との繋がりも希薄化しており、老後の住まいについて不安を抱える区民が多くいらっしゃいます。そこで、今後の高齢者の住まいのあり方が行政の重要課題となって参ります。

私たち公明党区議団は11月9日、日野市に建設されました「風のガーデン ひの」を視察して参りました。この「風のガーデン ひの」は東京都医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業第1号の指定を受けているもので、医療法人社団 康明会が運営しております。介護もできるワーデン(管理人)が24時間365日常駐し、日常の生活相談や緊急時にはいつでも対応し、医療機関や家族への連絡・救急搬送のお手伝いもするということです。また、1階にはデイサービスセンターも併設されており、訪問看護も受けられ、いくつもの安心サービスが提供されております。入居の際に必要なのは敷金1カ月分のみで、高額な入居金がいらないというのが特徴であります。

見学させて頂き、これからの住宅としては申し分のない建物とサービスでありましたが、難点は毎月の負担が高額になる事であります。毎月の賃料と基本サービス費に、高熱水道費・食費・介護サービス費等の自己負担を合計すると、20万円前後の負担となります。

この「風のガーデン ひの」は高齢者専用賃貸住宅でありましたが、例えば高齢者優良賃貸住宅で同様のサービス展開をした場合、所得に応じて家賃補助を利用することが可能となります。現在25,600円の補助が行われておりますが、本区の高齢者優良賃貸住宅の家賃設定は決して安くはなく、補助を利用しても、まだ高額であると考えます。国は補助を40,000円まで引き上げるよう言っておりますが、現実は東京都が拡充に乗り出していない状況にあります。しかしながら、都心の家賃こそ高額であり、高齢者が安心して住み続けられる環境整備には、まずこの家賃補助の拡充が不可欠であります。本区としてのお考えを伺います。

次に、住宅施策についてのご質問のうち、まず、高齢者優良賃貸住宅の家賃補助拡充についてのご質問にお答えいたします。

本区の高齢者向け優良賃貸住宅の入居者負担額については、入居者の収入に応じ、ご指摘のとおり、25,600円を限度に家賃補助を行っております。

今後は、入居者の更なる負担減を図るために、国の基準に合わせた家賃補助の増額を検討してまいります。

 

また、家賃設定をできるだけ抑えるため、高齢者優良賃貸住宅の居室基準も緩和されております。しかし、本区には狭小住戸集合住宅税が導入されており、それに配慮して居室面積が広く設定されているため、その分家賃が高くなっている状況にあります。今後の施策展開を考えますと、高齢者の負担をできる限り軽くし、安心の住まいを提供する方策を検討しなくてはなりません。今後も高齢者優良賃貸住宅の増設に取り組んでいくべきでありますが、その際には、居室基準を見直し、戸数を増やして少しでも安く、多くの高齢者に住宅供給をしていく事が重要であると考えますが、いかがでしょうか。

 

次に、増設の取り組み及び居室基準見直しによる住宅供給についてのご質問にお答えいたします。

本区での居室基準の30㎡については、入居者がゆとりある住生活を営むことができることを目的として設定をしているところです。しかし、この基準が家賃に跳ね返り、入居者の負担額が高くなっていることや、採算性により、事業者が高齢者向け住宅の建設を選択しにくい状況となっております。

 高齢者向け優良賃貸住宅は、高齢社会を迎え、その必要性は増大しております。今後の居室基準につきましては、高齢者の多様なニーズを踏まえ、また、建設誘導をより促進するためにも、国や都の基準と同程度まで引き下げを行う予定です。次に、既存の医療や介護との連携を含む都心型高齢者住宅の展開及びモデル事業への取り組みについてのご質問にお答えいたします。

本年9月に東京都が策定した「高齢者の居住安定化確保プラン」において、高齢向けケア付き賃貸住宅の供給促進に関し、既存建物を改修して整備する場合には、各住戸の面積基準が緩和されています。空き家・空き室の多い本区では、この面積基準の緩和を活用することで、高齢者向け賃貸住宅の供給促進に寄与するとともに、低廉な家賃での住宅供給が可能となるものと考えております。

 

さらに東京都は、生活保護受給者でも入居が可能な都型ケアハウスの整備も掲げております。その他にも、入居者負担をできる限り抑える試みとして、例えば民間の空き家を利用して住宅改修し活用していけば、住宅マスタープランの重点プロジェクトにも貢献する施策になると考えます。本区には、今年の7月から都市整備部と保健福祉部による「高齢者向けすまいの施策に関する連絡会」が設置されており、既存の医療や介護との連携も含めて都心型の高齢者住宅を、ぜひ施策展開して頂くよう提案いたしますが、いかがでしょうか。また、モデル事業等にも積極的に取り組んで頂きたいと考えますが、お考えを伺います。

 

本年第3定例会において、木下広議員の一般質問にもお答えいたしましたが、重点プロジェクトの中で、空き家・空き室の解消を行う仕組みづくりの方策の一つとして、検討してまいりますとともに、早い段階でのモデル的事業の実施を考えてまいります。

また、新たに制度化された都市型軽費老人ホームの整備や東京都が実施しております医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業の区内での事業実施につきましては、制度周知を行い、参加事業者の誘致を図ってまいります。

 

安心の住環境整備は、区民の最も大切な生活の基盤であります。まして今後、ますます少子高齢化が進む中で都市整備だけではなく、福祉的視点も欠かせません。区民ニーズを十分考慮しながら、積極的に取り組んでいくよう重ねて要望致します。

 

最後に高野区長の決断に対し、意見を述べさせていただきます。高野区長は平成11年の初当選以来未曾有の財政危機を乗り切るため、リーダーシップを発揮され、勇気をもって財政再建に取り組んでこられた事に対し、私ども公明党区議団は大いに評価するものであります。

当時私が申すまでもなく、財政状況は危機的状況にありました。経常収支比率は限りなく100パーセントに近く、希望を持って臨まれた新任区長にとっては、新たな施策を展開するどころでなく、展望がまったく見えない状況であったと推察いたします。あのまま推移していたら、まちがいなく赤字債権団体に陥っていたことでしょう。

そうした厳しい状況の中、高野区長は財政健全化計画を作成し、さらに未来戦略推進プランを立てて、行財政改革を断行してこられました。私どもも、将来の区民生活にとって必要な改革であると確信し、高野区政とともに改革を進めて参りました。政治、経済、社会の一層の混迷が予想される現状にあって、区政の改革は緒に就いたといえ、まだまだ取り組まなければならない課題は山積しております。区長の改革への一層の取り組みを我々も大いに期待してまいりたいと思います。

改革の手を緩めることなく、安心、安全の豊島づくりに向け、区長の一層の奮闘を重ねてご期待申し上げ、私の一般質問を終わります。

 

ご質問の最後に公明党区議団を代表いたしまして、私への11年7か月の区政運営、特に財政健全化に向けた取り組みについて、大変身に余るお言葉を頂戴いたしまして、心から感謝申し上げる次第でございます。

今、あの当時のことを思い浮かべながら、よくここまで来ることができたと思います。それも区議会の皆様はもとより、多くの区民の皆様に支えられたからではないかと思っております。

高橋佳代子議員のお話のように厳しい行財政改革を断行し、ともに区民の皆様のご理解をいただきながら、将来への必要な改革と信じて、一緒に共に進めてまいったわけでございます。

 

これからも、今まで以上に強い信念と熱い情熱をもって安全・安心の豊島づくりに満身の力を込めて努力していきたいと思いますので、より一層のお力添えをよろしくお願いをいたします。