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平成21年第3回定例会 辻 薫一般質問原稿

2009・H21年9月28日登壇

「“生命を守り抜く豊島区を”目指して」

 

私は、公明党区議団を代表致しまして、「“生命を守り抜く豊島区を”目指して」と題し、第1に新型インフルエンザ対策について、第2に自殺予防対策について、第3に自転車の安全対策について、第4に、地元問題について一般質問させて頂きます。

1.新型インフルエンザ対策について

最初に、新型インフルエンザ対策について伺います。5月初旬、私たち公明党区議団は高野区長に対し、新型インフルエンザ対策として区民への適切な情報提供や関係機関との連携による保険医療体制の確立などの緊急要請を行いました。6月に入り収束するかに見えていましたが、その後再び増え始め8月19日に、厚生労働省は新型インフルエンザの流行入りを宣言しました。翌日、今度は都議会公明党として石原都知事あてに、外来での迅速な診断・治療、入院受け入れ体制の整備など、十分な医療体制の確立や妊婦や基礎疾患がある人などへの十分な情報提供の緊急申し入れを行いました。さらに、8月24日には政府に対して対策強化を求める緊急申し入れを行い、抗インフルエンザウイルス薬の医療機関などへの供給加速、重症患者を収容するための病床確保などへの財政支援、さらにワクチン接種の公的助成の検討などの対応を強く求めました。そして厚労省は、8月28日に国内における新型インフルエンザの予想される患者数を発表し、最高で1日当たり約76万人、ピーク時の入院患者は、4万6千人に上り、患者総数は2500万人となると試算しました。また、厚労省は「罹患率(病気にかかりやすい率)は都市部など人口密集地域で高くなる」としています。この間、区においては、いち早く高野区長を本部長とする豊島区インフルエンザ対策本部が設置され、全庁あげて感染予防にご尽力頂いていることに対し深く感謝申し上げます。その上で、今までに経験のない新型インフルエンザという見えない敵に対して、区民の皆様の健康と安全を確保する意味から何点かにわたり質問致します。

最初に、新型インフルエンザの流行状況ですが、当初9月下旬から10月初旬に流行のピークを向かえるとされていましたが、現状及び今後の予測についてお聞かせ下さい。

次に、適切な情報提供について質問致します。今月はじめ我が家でも感染者が出ました。夜間のため救急病院にて診察を受け、感染が確認されました。程なく家に戻ってきたものの、さて同居家族の対応はどのようにすればいいのかわからず区のホームページを開いてみました。そこでは、対応策が直接掲載されているものはなく、新型インフルエンザ相談センターに連絡して聞くか、又は厚労省のホームページを検索する方法が案内されていました。厚労省の新型インフルエンザ対策関連情報を開いてみると、「可能なら患者と別の部屋で過ごす」とあり、狭い我が家では、その日から毎晩ふとんの移動をするなどして対応した結果、幸い家族への感染を防ぐことが出来ました。感染拡大時には、こうした情報を区のホームページ上に直接掲載する必要があると実感致しました。今後とも区民に対してはご家庭で簡単に入手出来るよう配慮した適切な情報提供が必要であると考えますがいかがでしょうか。

次に、ピーク時の一般診療について質問致します。新型インフルエンザが国内で発生した当初、国は感染拡大を防ぐため、発熱外来を設けて「特別な病気」として治療する方針を取りました。しかし、その後運用方針を改定し、一般診療に変更致しました。多くの人が受診しやすくなった一方で、持病で免疫力の弱い高齢者や妊婦、乳幼児らの「ハイリスク者」への院内感染が心配されております。ピーク時にはさらに混乱が予想されます。こうしたハイリスク者が感染し重症化しないための医療体制等については、どのようにお考えでしょうか。

次に、新型インフルエンザのワクチンの接種について質問します。

厚生省は、9月4日に、新型インフルエンザのワクチンを優先して接種する対象者案をまとめました。それによれば、インフルエンザ患者を診療する医師や看護師など医療従事者を最優先し、次に、妊婦や基礎疾患がある患者とし、最終的には今月内に決定するとしています。全国では優先接種の対象人数を1900万人と想定しております。そこで、先ず、豊島区における優先接種の対象人数は何人になりますでしょうか。

また、ワクチンの接種開始は、いつ頃を予定しておりますでしょうか。

接種費用については、まだ決まっていません。仮に、自己負担になると、経済的な理由で接種を受けられないケースも想定されます。経済格差が命の安全格差を生むことがないよう特段の配慮が必要と考えますが、ご見解を伺います。

次に、学校及び保育現場での取り組みについて質問します。

現在、毎日、議会事務局より区立学校におけるインフルエンザによる臨時休業について連絡を頂いております。そこで学級閉鎖の判断基準と合わせて、閉鎖時の児童・生徒への対応についてお聞かせ下さい。また、今後さらなる集団感染が発生した場合の運動会等の学校行事の取り組みについてもお聞かせ下さい。とりわけ保育園事業や学童クラブの自粛は、社会的影響も大きく、適切な対応が求められると思いますが具体的な対策についてお聞かせ下さい。

最後に、9月4日に決定しました区の新型インフルエンザ業務継続計画についてお伺い致します。計画によりますと、職員及び区施設からの感染拡大を最小限に抑えるための感染拡大防止策の一つとして、健康の確保とまん延時における医療機関の混雑緩和のため、希望する者が季節性インフルエンザワクチンの接種を受けるとしています。このことは、業務継続における重要な対策と受け止めております。その上で、こと対策をより実効あるものにしていくためには、職員への接種費用の助成が必要であると考えます。例えば、いかなる場合も縮小や休止の対象としない業務に携わる職員や、また、社会的影響が大きい学校関係者などを対象として実施することを提案致しますが、ご所見を伺います。

2.自殺予防対策について

第2に、自殺予防対策について伺います。

日本の自殺者数は、11年連続で3万人を超えております。今年も7月末現在19,859人の方が亡くなられており、昨年を上回る状況です。国全体としては、男性が7割を占め、年齢では、男性が50歳台で20%、女性は60歳台で17%と一番多くなっています。豊島区においても、年間70人前後の大切ないのちが失われております。こうした事態を受けて国においては、2006年6月に、自殺対策基本法が制定され、その基本理念の中に、「自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取組として実施されなければならない。」としております。確かに、自殺の原因としては、健康問題の次に多いのが経済・生活問題となっております。そこで先ず、豊島区における自殺者の状況と自殺予防に対するこれまでの取り組みについてお聞かせ下さい。

また、今月10日の「WHO世界自殺予防デー」に因んで設定された「自殺予防週間」における豊島区の取り組みについてお知らせ下さい。

昨年7月、民間の自殺実態解析プロジェクトチームが、自治体などにおける効果的な対策推進に役立ててもらうために自殺実態を細かく分析した「自殺実態白書」を作成しました。それによりますと自殺に至るまでに平均して4つの要因が連鎖しているとしています。例えば、仕事の配置転換や事業不振がきっかけで失業や借金生活に陥り、家庭の不和や生活苦から、うつ病になって自殺に至ります。そのため自殺予防には、うつ病対策が大事なのは事実としても、そうなる前の段階における相談体制の充実とネットワーク化をいかに構築するかが大事であるとしています。2006年に自殺者数が23区で最多となり、東京都の自殺対策モデル地区にもなっている足立区は、本年5月自殺対策に取り組むNPO法人と区内の自殺予防に向けた総合対策を推進するための協定書を締結しました。区役所庁内の関係部局で作る自殺対策庁内会議という縦軸と地域の関係機関で作る自殺対策地域ネットワークという横軸を連動させ、区内の社会資源を総動員して、顔の見えるつながりのなかで、「生きる支援」の拡充を図ることになりました。因みに、9月5日付けの広報としまでも紹介されていますが、このNPO法人の代表である清水康之氏が、来月19日に区の生活産業プラザにおいて、「自殺実態白書からみえてきたこと・家族を自殺で亡くして」と題して講演をおこなうことになっております。本年度政府は、地域の実情に合わせた自殺対策の強化を目的に、「地域自殺対策緊急強化基金」を設けることにしました。都道府県は、この基金を用いて、相談体制の整備や民間団体の活動を支援し、地域における自殺対策の充実を図るとしております。また、政府が発表した自殺予防週間の基本方針として、関係省庁、地方公共団体、自殺対策関連団体等と連携・協力して、様々な主体による総合的な取り組み継続的に、さらに、年間を通じて展開する機運が醸成されるよう自殺予防週間の定着を図るとしています。そこで、是非、本区においてもこうした自殺関連団体とも連携をとりながら、庁内全体に相談体制のネットワーク化を図り、一人でも多くの命を救う対策を講じる必要があると考えますが、区長の積極的なご答弁を期待致します。

3.自転車の安全対策について

第3に、自転車の安全対策について2つの観点から質問致します。

最初に、自転車の安全利用について伺います。

秋の交通安全運動が、今月21日より30日まで、全国で実施されております。「やさしさが 走るこの街 この道路」とのメーンスローガンのもと、本区におきましても町会や商店街をはじめ多くの関係機関の皆様のご協力により実施されております。土木部交通対策課がとりまとめた平成21年上半期における区内の交通事故による死傷者の状況を状態別でみますと、自転車が198件で全体の38.7%を占め一番多く、次いで自動車の127件で24.9%、歩行者の82件、16.0%の順となっています。豊島区の人口は、平成18年より3年連続して2,000人を超えて増加し、全国一の過密都市となりました。人口の増加とともに、自転車の保有台数が増え、それにともない事故も増えると予測されます。そこで先ず、平成18年度から平成20年度の豊島区における自転車の防犯登録台数と自転車事故による死傷者数の推移とともに、自転車事故の原因をどのように分析されているかお聞かせ下さい。

私の友人も昨年自転車同士の接触事故にあい、脳挫傷を負ってしまいました。その後、懸命な治療とリハビリにより日常生活には支障が無いものの後遺症の心配は続いております。また、今回の事故は、歩道上の駐輪場から出る際に、猛スピードで直進して来た相手方の自転車後方に接触したため、相手の方には全く怪我はなかったものの責任の度合いをめぐり一年以上が経過しても決着がつかない状況です。自転車の事故というのは、誰もが被害者にも加害者にもなるのが特徴です。警視庁は、自転車がいわば無秩序に歩道を通行するなど、ルールを守らない利用実態も目立っているとして、ホームページ上でも、「自転車は道路交通法上、車両の一部であり、正しいルールを知り、安全に自転車を利用しましょう!」と呼び掛けています。そして、昨年6月1日には、自転車の通行等に関するルールが改正されました。その改正の中で改めて、「自転車は、車道が原則、歩道は例外」とされましが、実際豊島区内では自転車は歩道を通行する場合が多く、そのため接触事故も多いと思います。そこで、ルール改正の内容と事故回避のポイントをお知らせ下さい。

さらに、本年7月1日から、自転車の安全ルールが追加され、傘をさしながら・携帯電話を使用しながらのいわゆるながら運転が禁止され、違反した場合は5万円以下の罰金が科されることになりました。同時に、警視庁は、幼児2人を前後に乗せても運転に支障が出ない新型自転車であれば3人乗りを認めるとしました。子育て中の母親にとっても、保育園の送り迎えなど自転車は欠かせません。新型自転車の普及のために、来月より三鷹市では、2歳から5歳の幼児を2人以上養育している人を対象に新型自転車を貸し出すレンタル制度を導入。また、西東京市では市内の販売店で3人乗り自転車を購入し、6歳未満の幼児を2人以上育てている人を対象に助成金を支給することになっております。本区としても、母子ともの安全確保と子育て支援の両面から3人乗り新型自転車の普及に対する支援が必要と考えますが、前向きな答弁を期待しております。

公明党豊島総支部では、この上半期、高齢者の方々を対象にアンケート調査を行いました。その中で、安全対策として、多くの声が寄せられたのが自転車の危険な運転に対する取り締まりの強化であり、改めて多くの高齢者が自転車との衝突の危険性にさらされている実態が明らかとなりました。現在、中間見直しへ向け準備が進められております「自転車等の利用と駐輪に関する総合計画」の基本理念に、「自転車は、歩行者をやさしく気づかい、ルールとマナーを守って利用する交通手段」を掲げており、特に障害を持つ人や子ども、高齢者など、「交通弱者」の安全を確保するとしています。

そこで、先程の正しいルールやマナーをどのように伝えていくかという普及啓発活動が重要になってまいります。この点については、第8次豊島区交通安全計画の中で、段階的かつ体系的な交通安全教育の推進が掲げられております。

先ず、小中学校における交通安全教育の取り組みについてお聞かせ下さい。

特に、中学校においては、生徒たちの自発的な取り組みが必要であると思います。例えば、代表の学年を決めて、生徒の自転車によるヒヤリハットした危険個所を今回導入される電子黒板を利用してマップ化する。また、その危険個所で交通標識を確認しながらの実地教育を行っていくなど、生徒自身が体感出来るものにしていくことが大事だと思いますが、ご見解をお聞かせ下さい。

次に、一般利用者に対する啓発活動について伺います。先日、西部区民事務所で行われた交通安全講習に参加致しました。そこでは高齢者を対象とした交通安全ビデオの上映と警察官による講習が行われておりました。担当官からは、ここに来られていない方々への普及啓発をどうするかが問題だと仰っておりました。そこで、区として現在実施している一般利用者への普及啓発活動についてお聞かせ下さい。また、地元の自転車販売店主との話の中で、自転車販売時や点検時に啓発用のパンフなどを配布されているか尋ねたところそこではされていませんでした。やはり、販売店での注意喚起も大事だと思いますがいかがでしょうか、ご見解を伺います。

自転車の安全対策の2点目として、自転車の環境整備について伺います。

地球環境にやさしい「エコ」に対する関心の高まりや、メタボリックシンドロームの予防・解消などの健康志向、さらにはガソリンの価格上昇などによって、普通自転車に加えて、電動自転車やスポーツタイプの自転車も急増しております。自転車事故を減少させるには、ルールやマナーの徹底とともに自転車が通行するための道路整備も不可欠です。

国土交通省と警察庁は、2008年1月、歩行者と自転車、自動車が分離された通行空間の整備を戦略的に展開するため、全国98地区のモデル地区を指定し、車道や歩道と柵などで分離した自転車道や、カラー舗装で区別した自転車専用通行帯を進めてきました。

モデル地域では、実際に事故件数が減少していると伺っております。そこで伺います。豊島区内においても一部自転車専用通行帯が整備されておりますが、その効果はいかがでしょうか。また、今後、区内で予定されている自転車専用通行帯の整備箇所もお知らせ下さい。

4.その他、地元問題について

最後に、その他として地元問題についてお伺いします。私の地元要町では、放射36号線の見直しの要望が出ております。有楽町線要町駅の開設後、昭和63年に現在の放射36号線が完成致しました。当初は、買い物時の停車帯が設けられた40メーター道路として、また、騒音対策などの環境にも配慮した画期的な道路として大変に注目を浴びました。最近、豊島区に引っ越してこられた方が、まるで港区白金のように魅力ある街並みとおっしゃっていました。

しかし、現在、停車帯への違法駐車が多く見受けられ、また、車の進入を防ぐための歩道上の車止めが必要以上に多く、自転車と歩行者の接触事故の引き金にもなっております。さらには、歩道のブロックの段差で車いすが利用しにくいとの声も出ております。今後、平成22年度完成予定の山手通りと172号線の自転車専用通行帯の整備とともに、放射36号線にも多くの自転車での来外者が見込まれます。さらに、西部区民事務所改築後の複合施設が完成すれば熊谷美術館とも連動し、放射36号線の利用者は歩行者とも増加すると予想されます。先の自転車対策にも関連しますが、高密都市である豊島区にとっても、これからは安心して歩ける歩行空間や安全で快適な自転車利用環境の創出重要な課題となります。放射36号線の見直しについては、都道ではありますが、区としてもこうした状況変化に応じた整備について、地元の意見をよく聞いて、支援をお願いしたいと思います。ご所見を伺います。

以上をもちまして、一般質問を終了致します。 ご清澄、誠にありがとうございました。

【理事者答弁】

1.新型インフルエンザ対策について

池袋保健所長(村主千明)

新型インフルエンザ対策についてのご質問のうち、まず現状及び今後の予測についてのご質問にお答えいたします。

本年4月にメキシコから最初の患者が報告された新型インフルエンザですが、5月には国内最初の患者が確認され、8月中旬以降、全国的に流行期に入っています。豊島区でも8月の第1週に、区内定点1カ所当りの患者数が、いわゆる区内の医療機関1カ所当りの患者数ですが、1.14となり、流行開始の目安となる1を超えて、その後も増加傾向にあり、9月の第3週の1週間には区内の定点1カ所当りの患者数は6.63です。東京都の定点では10.27と10を超えたため、9月25日にインフルエンザ流行注意報が出されたところです。今後の予測は、現時点では困難ですが、今回の新型インフルエンザは新しい感染症であり、冬季に流行する季節性インフルエンザとは異なることも考えられますので、今後の流行状況を注意深く観察してまいります。

次に、家庭で簡単に入手できる情報提供についてのご質問にお答えいたします。感染予防と自宅療養の留意点については、広報では周知してきたところです。ホームページにつきましても、可能な限り直接掲載し、家庭で簡単に情報が入手できるように努めてまいります。

次に、ピーク時にハイリスク者が感染し重症化しないための医療体制についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、「ハイリスク者」の院内感染を防ぐためには、国が示しているように、インフルエンザ様症状の方が、受診前にかかりつけ医や、相談センターに相談することを、広報やホームページなどで周知しております。また、医療機関を受診する場合には、マスクを着用して、周囲の方へ配慮して頂くことが重要ですので、区では、豊島区医師会に患者用マスクを提供し、利用して頂いております。今後、広報特集号とリーフレットの配布を予定しておりますので、医療機関を受診する場合の留意点を重ねて周知してまいります。

次に、豊島区における優先接種の対象人数についてのご質問にお答えいたします。 現時点では、国の提示した優先接種の案のうち、妊婦、1歳から就学前の小児、1歳未満の小児の両親については、約15,000人と推計しております。ただし、医療関係者と基礎疾患を有する方については、医療機関を通じて推計するため、現時点では未把握です。

次に、ワクチン接種開始予定についてのご質問にお答えいたします。

国内産ワクチンは10月下旬以降に順次出荷になると考えられています。そのため、現時点で国の提示した接種スケジュールの案では、10月下旬から開始となる予定です。

次に、経済的理由により接種が受けられないケースへの配慮についてのご質問にお答えいたします。優先順位に該当する低所得者の負担軽減措置については、国も検討する方針としております。区といたしましても、その内容をふまえた検討課題といたします。

私からの答弁は以上でございます。

教育長(三田一則)

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

まず、区立学校での新型インフルエンザに対する取り組みについてのご質問のうち、学級閉鎖の判断基準及び閉鎖時の児童・生徒への対応についてのご質問にお答えいたします。区立学校におきましては、2学期の始業日である8月27日から本日9月28日までの間に、17校、延べ40学級が学級閉鎖等を実施しており、まさに本格的な流行期に入りつつあるという状況でございます。

ご質問にあります学級閉鎖の基準ですが、早めの閉鎖により感染拡大を防ぐという基本方針に基づき、毎日の欠席状況調査をもとに、学級の1割以上がインフルエンザ様疾患により欠席した場合に学級閉鎖を検討することとしております。閉鎖期間は、概ね4日程度としておりますが、学校医、保健所の助言を踏まえ、学校と教育委員会が協議し決定しております。

また、閉鎖時の児童・生徒への対応といたしましては、感染が確認されていない児童等につきましても、家庭で静かに過ごし、健康観察を徹底することとしております。さらに、必要な場合は、家庭での学習内容について各担任より指導をしているところでございます。

次に、集団感染が発生した場合の学校行事への取り組みについてのご質問にお答えいたします。感染拡大のおそれがある場合には、運動会等の学校行事につきましても、学校医の助言を踏まえ、中止・延期を含め、慎重に防止策を講ずるなど、万全の対応に努めてまいります。

子ども家庭部長(吉川彰宏)

新型インフルエンザ対策についてのご質問のうち保育園事業や学童クラブの対応についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、保育園や学童クラブは、家庭での保育に欠ける児童をお預かりしていることから、施設閉鎖による感染防止策をとりますと、保護者の就労に支障がでるなど社会的影響が避けられません。

発熱による欠席者が発生した施設では、保護者の協力の下に、ひとりひとりの病状や診断結果を管理し、それらのデータを適宜保健所に伝えて指導を受けております。また、普段にも増して、児童の健康管理や施設内の衛生維持に努めているところです。

今後、ウイルスが強毒性に変異するなどの事態に至った場合には、豊島区新型インフルエンザ対策本部の慎重な判断による施設閉鎖を視野に入れて、感染の拡大を防止することとしております。その場合にも、医療関係者のお子さんをお預かりするために、特定の施設を緊急開園する準備をいたしております。

総務部長(小野温代)

次に、職員への接種費用の助成についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、業務継続のためには職員が健康であることが重要ですので、接種費用につきましては、今年度から職員互助会で対応することとしております。 私からの答弁は以上でございます。

 

2.自殺予防対策について

区長(高野之夫)

ただいまの、辻 薫 議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

自殺予防対策についてのご質問のうち、まず、自殺者の状況と自殺予防に対するこれまでの取り組みについてのご質問にお答えいたします。自殺は、普通に生活していても日常的に直面する問題が深刻化し、その結果として自殺に至る可能性もありえます。また、自殺は、周囲の方々にも深刻な心理的影響を与えることからも、私たちの暮らしにも深く関わる社会的な問題でもあります。

かけがえのない「いのち」をひとつでも多く守るため、地域全体で自殺予防に向けた対策を、積極的かつ継続的に推進してまいりたいと考えております。

ご指摘のように、わが国の自殺者数は11年連続で3万人を超え、この人数は交通事故死者数の約5倍となり、1日に約90名もの、かけがえのない「いのち」が失われていることになります。

豊島区では、平成20年の自殺者数が58名で、死因別では7番目になります。また、人口10万人に対する自殺率は22.4人で、全国の24.0人よりも低くなっています。本区における自殺の原因等は、残念ながら詳細な把握は困難ですが、「自殺実態白書」の2004年から2006年の累計によれば、病苦等や経済・生活問題と推測されます。特に、経済・生活問題については、自殺率の傾向は、有効求人倍率や零細企業の倒産件数率と強い「相関関係」を示すとの指摘もあり、昨年9月以降の世界同時不況の影響も懸念されるところでもあります。

自殺した方の多くは、実際に行動におよぶ前に何らかのサインを送ったり、自殺するという意思をはっきりと言葉に出して周囲に伝えています。平成20年度は、「まわりの人にできること」をテーマに、「周囲の気づき」について東京自殺防止センターの加藤勇三所長から、区民向けに講演会を開催いたしました。

また、毎年行われている「社会を明るくする運動」でも、この数年間、「命(いのち)」をテーマに、区立小中学校のみなさんからの作文を募集し、応募数も年々増加しております。作文には「かけがえのない命(いのち)」を大切にする思いがつづられており、「いのち」の大切さを考える契機として、大変意義深いものであります。先日の中央大会では、優秀作受賞者の発表、そして「広報としま」には特集を組んで入賞作品の掲載もいたしました。

次に、「自殺予防週間」における取り組みについてのご質問にお答えいたします。今年度の取り組みとしては、ホームページに新たに自殺予防の項目を設定いたしました。また、「自殺予防週間」には、ご指摘のNPO法人を含めた講演会を開催し、この中では自殺した方のご家族からも講演していただく予定です。さらに、広報への掲載や、メッセージカードとして「こころの健康カード」を講演会の会場や相談窓口で配布する予定です。

次に、自殺関連団体との連携及び庁内全体における相談体制のネットワーク化についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、自殺に至るまでには、複数の要因が連鎖しており、その解決に向けての取り組みは容易ではないため、自殺予防の活動に実績のある団体等を活用し、まず、講演会等の普及啓発活動から連携していきたいと考えております。また、庁内でも、相談担当者向けの研修の機会を設け、相談体制の充実を図るとともに、情報共有を含めたネットワーク化を努めてまいります。

今回、辻議員におかれましては、「自殺」という深刻で大変難しい問題についてのご質問をいただきました。 この問題は、社会全体として、目をそむけることなく、正面から取り組まなければならないテーマであると思っております。

少し話は広がりますが、今年6月には巣鴨地蔵通りと巣鴨信用金庫において、警視庁の「振り込め詐欺防止キャンペーン」が実施され、7月には「暴力団追放豊島区決起大会」が開催され、続いて、今月14日には、池袋駅周辺における「チカン撲滅決起大会」、24日には豊島公会堂で「万引き防止東京キャンペーン」を開催いたしましたが、これらは全国でも初めての取り組みが多く、警視庁樋口副総監をはじめ、幹部の方々が大勢ご出席されました。 さらに10月10日には、「がん検診50%推進全国大会」をサンシャインシティで開催いたしますが、これは厚生労働省との共催で、豊島区が自治体として初めて、参加するものであります。

このように豊島区では、ここ数か月の間に、全国でも初めてとなる安全・安心に向けた取り組みを、大勢の区民の皆様のご協力により展開し、豊島区の姿勢を全国に発信しております。またWHO(世界保健機関)には、「セーフコミュニティ」という認証制度があります。これは、事故や疾病は、偶然の結果ではなく、予防できるという理念の下、地域住民と行政等が協働して、安全・安心対策に取り組む自治体を認証する制度であります。

私は、ご質問の自殺予防対策についても、健康、防災、治安など、区民の暮らしの安全・安心を確保する対策として総合的にとらえることが大変重要であると思います。こうした認証制度も視野に入れながら、「健康都市」、そして「安全・安心都市」の実現に向け、豊島区からの取り組みを積極的に進めていきたいと考えています。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

3.自転車の安全対策について

土木部長(増田勝敏)

自転車の安全対策についてのご質問のうち、まず、平成18年度から20年度の自転車の防犯登録台数と事故による死傷者数の推移及びその原因についてのご質問にお答えいたします防犯登録は、自転車を購入する際、全ての自転車利用者に義務付けられ、登録後10年間で抹消となります。それを前提に考えても、豊島区内での登録件数は、平成18年度に37万台を超え、平成20年度には45万台を超えており、増加傾向にあると思われます。

一方、平成18年上半期の区内の自転車事故による死傷者は、288人で、本年は198名となっており、年々減少している状況です。平成20年の自転車による事故原因の第1位は、出会い頭による事故で、全体の4割近くを占めております。これは、交通ルールを無視したことにより起きた事故が殆どであると分析しており、一人ひとりが交通ルールを守ることにより防げるものと考えております。

次に、自転車通行等のルール改正の内容及び事故回避のポイントについてのご質問にお答えいたします。道路交通法上自転車は車両であり、平成20年6月まで「歩道通行可」の標識がない限り、全て車道を通行することとなっておりました。平成20年6月には改正道路交通法の一部が施行され、13歳未満の子供や70歳以上の人、車道通行に支障がある身体障害者が運転している場合は、「歩道通行可」の標識がない歩道でも、走行することが出来るようになりました。今後、区民の皆様が自転車で被害者や加害者にならないためには、自転車は車と同じ車両であるという認識のもと、一人ひとりが交通ルールの知識を習得するとともに、それを遵守するという意識を醸成し、歩行者も常に危機感をもって行動することが重要です。

次に3人乗り新型自転車の普及に対する支援についてのご質問にお答えいたします。本年7月に、東京都道路交通規則が一部改正され、必要な強度と制動性能等の用件を満たす特別な構造または装置を有する自転車に限り、大人に加え、幼児2名を乗車させることが可能となりました。しかし、現時点で、基準を満たす自転車は通常の自転車に比べ価格が高く、使用が子供の小さい期間に限られることから、普及には時間がかかると考えております。お尋ねの、支援策につきましては、区の厳しい財政状況の中で、一般財源のみでの事業展開は難しい状況であります。現在、国では、「安心こども基金」を活用した支援策を検討しており、それらの内容が明らかになった段階で、可能性について検討してまいります。

次に、一般利用者への啓発活動についてのご質問にお答えいたします。

豊島区ホームページでは、交通安全に関するページを作成するとともに、池袋駅周辺等では警備員によるチラシの配布や呼びかけによる啓豪活動を実施し、毎年、春と秋に実施する全国交通安全運動にあわせ、広報としまにて広く一般に周知を行っております。また、区民ひろば等では、高齢者や子育てママさんを対象とした交通安全講習会を、平成20年度は28回、延べ757名の参加を得て実施しております。

自転車を販売する際の、購入者への啓発は、豊島区自転車商組合や量販店の協力を得て、自転車の購入者へ自転車の交通ルールについてのパンフレットをお渡しいただくようお願いしてまいります。

次に、自転車専用通行帯の整備についてのご質問にお答えいたします。

豊島区では、平成15年度から、区道である「劇場通り」の歩道内に、自転車と歩行者を分離した構造の自転車通行帯、延長約1.3キロメートルの整備に着手し、本年で全て完了いたします。なお、本事業に要した経費は総額3億4千万円となっております。整備当初は、自転車通行帯というものが、地元や利用者になじみがなく、通行帯が駐輪場代わりとなり、歩行者が自転車通行帯を、自転車が歩行者通行帯を走行する姿を見かけました。そこで、警備員による啓発活動を根気よく実施することで、徐々ではありますが、利用者自身の意識変化も現れており、近年ではある程度ルールが守られ、安全な歩行者空間が確保されつつあると考えております。

今後の整備計画につきましては、劇場通りの自転車通行帯からつながる、補助172号線や補助173号線、その他、山手通りや白山通りで整備する計画となっております。

 

教育長(三田一則)

次に、自転車の安全対策についてのご質問のうち、小・中学校における交通安全教育の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

本区では、すべての区立小・中学校で、年間指導計画に位置付け、交通安全教育に取り組んでおります。子どもたちにとって、特に危険な時期を予測し、春秋の交通安全運動期間はもとより、長期休業前などの機会をとらえ、具体的な交通ルールや正しい自転車の乗り方を指導するとともに、事故の実例なども取り上げて、日常生活に役立つよう安全指導を行っております。

次に、中学校における取組みの提案についてお答えいたします。

昨年度、千川中学校において、警視庁の協力により、スタントマンが生徒の目の前で交通事故を実演する自転車安全教室を、本区では初めて開催いたしました。参加したすべての生徒は、危険を実感し、正しい自転車の乗り方やルールを守ることの大切さを改めて認識するなど、極めて高い指導効果がございました。今年度も、巣鴨北中学校で同様の安全教室を開催いたしますので、このような安全教室の体験を生かし、生徒が学んだことを発表したり、地域の危険箇所を調べたりするなど、指導内容の工夫・改善を図ってまいります。

さらに、学校、家庭、地域との連携を一層深め、児童・生徒が自転車事故の加害者にも被害者にもならないよう、交通安全教育の徹底に努めてまいります。

以上をもちまして、辻 薫議員のご質問に対する答弁を終わります。

 

4.その他(地元問題)

土木部長(増田勝敏)

次に、放射36号線の見直しについてのご質問にお答えいたします。

放射36号線は、地下鉄有楽町線の池袋、千川間開通後、昭和60年代に整備されたもので、両側に環境施設帯としての機能を有した12mの歩道があり、当時としては画期的な構造の道路でございました。

現在でも、広い歩行者空間を有し、潤いのある、区内でも貴重な空間であると考えております。ただ、時代の流れの中で、近年、環境にやさしい自転車が見直され、自転車を利用しやすい街づくりの機運が高まっており、今後、地元の皆様とともに、この都市に残された貴重な空間を、どのように有効活用していくかを考え、一定の合意の元、必要があれば道路管理者である東京都へ働きかけをしてまいります。
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私からの答弁は以上でございます。