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平成22年第3回定例会 辻 薫一般質問原稿

2010・H22年9月29日登壇

「日本一高密都市から世界一安全な都市を目指して」

 公明党の辻薫でございます。私は、公明党区議団を代表致しまして、「日本一高密都市

から世界一安全な都市を目指して」と題し、
第1に、防災対策について、
第2に、セーフコミュニティについて、
第3に、(仮称)西部地域複合施設について、
第4に、その他として予防接種事業について、一般質問を行います。

1.防災対策について 最初に、防災対策について伺います。私は、この度、防災対策調査特別委員長として、山形県村山市との災害時相互応援協定の締結式に参加させて頂きました。豊島区と村山市の交流は、太平洋戦争当時、豊島区の小学生が村山市に学童疎開したことに始まり、その後、観光物産や祭礼での相互交流などで、 友情と信頼の絆を深めてまいりました。そして今回、相互の地域社会の発展と住民生活の安全安心向上のために、協定を締結するに至りました。当日は、折しも村山市の徳内まつりの中日にあたり、豊島区からも東京よさこいの3チームが特別出演し、おまつりを一層盛り上げておりました。 また、私は、佐藤市長をはじめ、行政の皆様や市議会議員、さらに市民の皆様とも交流をすることが出来、災害時の相互応援といっても、機会あるごとに交流をしていくことが大事であると感じた次第です。 この度、こうした機会を与えて頂きましたことに対しまして、先ず、御礼を申し上げます。そこで、これまでも自治体間の協定を積極的に進めてきた本区ですが、改めて災害時相互応援協定の意義と、これまでの取り組みについて、さらに防災サミットの開催など今後の展開について、ご見解をお聞かせ下さい。 本年は、6,437名の死者・行方不明者を出した阪神・淡路大震災から15周年の節目の年です。神戸市では1月に、震災の記憶や経験を風化させないための「阪神・淡路大震災記録資料展」が開催されました。そして同展示は、8月28日からの防災ウィークに、完成したばかりの有明の東京臨海広域防災公園でも開催され、私も9月1日防災の日に、政府主催の防災訓練と併せて見学してまいりました。震災当時の生々しい写真に加えて、震災をきっかけに発足した機関の活動状況も展示されており、改めて「日頃から備える大切さ」、さらに「人と人とのつながりの尊さ」を強く感じました。

また、8月29日には、本区においても総合防災訓練が4会場で開催され、私は、2つの会場での訓練に参加しました。猛暑の中、早朝より炊き出し訓練の準備に当たる町会婦人部の皆様を初め、中学生や高校生の代表も参加し、活気あふれる防災訓練となりました。

そこで、防災訓練について3点にわたり質問致します。

第1に、救援センターの開設訓練の実施についてです。

マグニチュード7.3の首都直下型地震が、今後30年間で70%の確率で発生するとされています。町会ごとの防災訓練が定着してきている今、次の段階として発災対応型訓練として救援センター開設訓練の推進を提案致します。訓練実施にあたっては、関連町会の連携や災害時要援護者の受け入れ体制の確立など、日常からの準備も必要と考えます。

救援センター開設マニュアルの作成状況と併せて、区のご見解をお聞かせ下さい。

第2に、中高生の参加による、地域防災力の向上についてです。

今回の訓練には、中学生と高校生の代表が参加致しました。その姿を見て、町会長をはじめ、大変多くの参加者が若い力に期待を寄せておられました。また当日、高校生自身に感想を聞いたところ、「今回初めて参加して、自分が何をすればいいのかわかりました。」と語っておりました。

中高生の総合防災訓練への参加は、中高生自身が、助けられる側から、助ける側への意識改革を行ない、今後も継続的に参加することにより、地域の防災力の向上にも

つながっていくと考えますが、区のお考えをお聞かせ下さい。

第3に、小中学生を対象とした東京臨海広域防災公園の施設見学についてです。

同施設については、防災対策調査特別委員会としても視察を予定しております。そのため先日、防災課と議会事務局の協力の下、磯副委員長と共に下見をしてまいりました。そこでは、首都直下型地震の発災から避難までの一連の流れを体験出来る「防災体験ゾーン」や、フジテレビで放映されたアニメ「東京マグニチュード8.0」が見られる映像ホール、世界の防災用品の展示等の防災ギャラリーなど、防災体験学習が盛り沢山でした。希望により、防災施設内の食堂も使用可能とのことです。将来の防災リーダーへの期待を込めて、小中学校生を対象とした見学会の実施を提案致しますが、教育委員会のご見解を伺います。

次に、マンションにおける防災対策について伺います。

マンションの場合は、高層階に行くほど揺れが大きくなる傾向があります。そのため、一戸建てにくらべて、より充分に家具等の転倒防止を強化する必要があります。また、エレベーター閉じ込め対応や、エレベーター停止による高層階の孤立化のための家庭内備蓄の徹底など、独自の対策が必要です。本区においては、一定規模以上の新築マンションについては、本年1月の条例改正により対策がとられておりますが、既存のマンションについては、対策が手薄なのが現状です。そこで、マンションに特化した防災の手引きの作成を提案致しますが、区のご見解をお聞かせ下さい。

防災対策の最後に、池袋駅周辺混乱防止対策訓練について伺います。

平成20年に実施した池袋と品川における同訓練についての報告書が、本年1月にようやく東京都総合防災部から発行されました。

その中で注目すべきは、首都大学東京の中林一樹教授による訓練実施結果の検証です。

ここでは、今後の検討課題と池袋駅周辺混乱防止対策協議会への期待について、3点にしぼり紹介させて頂きます。

第1に、自助の行動ルールの実践と協議会の拡充についてです。

今回の訓練は、4千人を超える参加者による大規模訓練であったが、実際にはその何十倍もの滞留者が混乱防止対策の対象となる。緊急地震速報があっても、突然襲う地震動にとまどい、おそらく今回のように、指示者を信頼してついてくる人だけではないかも知れない。しかし、自助のルールを実践して、池袋周辺の事業所とその従業員が沈着冷静に行動できれば、それだけで、駅周辺の混乱は3分の1以下にすることができるはずである。

そのために、協議会への参加事業者や組織のより積極的な参加と拡充を、今後とも図っていく必要がある。とくにテナントビルと個々のテナントの対応が、重要になってくる。

第2に、イメージトレーニングの継続についてです。

継続的に、このような訓練を実施するには、費用的な面を含めて、容易ではない。協議会としては、今回のシナリオ型訓練の成果を踏まえつつも、実際の災害時には、どのような対応をしなければならなくなるのか。とくに被災状況とそれへの初動対応について、イメージトレーニングの手法で、継続的に想定し、検討していくことが重要である。

第3に、平時の地域活性化にも活用できる新しい「地域情報システム」の検討についてです。

今回の訓練では、地区や施設の被災情報、さらに帰宅経路情報やより広域的な情報など、滞在者の混乱防止には多様な情報が必要であることが明らかとなった。今回試験的に行ったエリア型情報システムは、きめ細かい地区情報を地域内で伝達するシステムである。それが災害時に、とくに初動期に役立つためには、平時にそのようなシステムを構築し、地域活性化ツールとして利活用していることが不可欠である。そのような新しい取り組みの進展にも期待している。

以上、いずれも大変に重要な課題です。この3点につき、本区としてどのように取り組まれるのか、また、本年度の訓練概要についてもお聞かせ下さい。

 

2.セーフコミュニティについて

次に、2項目目のセーフコミュニティについて伺います。

私ども公明党は、2度にわたる豊島区セーフコミュニティ推進協議会を受けて、先月、WHOの認証取得都市である京都府亀岡市と青森県十和田市へ視察に行ってまいりました。

水と緑とにぎわいのまち亀岡市では、栗山亀岡市長が「安全・安心は最大の福祉である」との政治理念を掲げ、また、京都府が亀岡市にセーフコミュニティの推進を打診した経緯もあって、府・市一体で取り組んでおりました。

現在は、都市型モデル地区の篠町自治会と農村型モデル地区の川東5町会での取り組みをガイドプランとして確立し、市内23自治体が其々の環境と特徴に応じた各ガイドプランの適用と展開をしているところでした。そして、既に3年後の再認証へ向けて、取り組んでおり、当然、再認証も日本で初めてとなるので、担当者からは、先駆的自治体としての苦労が伝わってまいりました。

また、セーフコミュニティ推進プログラムの具体的取り組みについて伺う中で、効果のあった事例として命のカプセル「救急医療情報キット」を挙げられていました。これまで、救急隊が駆け付けこのキットを使用した件数としては、20件あり、命を救うことが出来た事例もあったとのことでした。この点につきましては、私どもの島村副幹事長が本年第1回定例会の一般質問で、本区における単身の高齢者や障害者の安全対策として提案させて頂いております。セーフコミュニティの観点からも、改めて早期の導入をお願い致しますが、その後の進捗状況についてお聞かせ下さい。

一方、豊かな自然と近代的な都市機能が調和した十和田市では、セーフコミュニティの取り組みがボランティア活動として始められ、認証取得後も常にボランティア組織が先行して推進しているのが特徴です。

例えば、自殺予防に関する取り組みとしての市の健康教室では、保健師の講話とともにボランティア団体の紙芝居を継続実施しています。専門家ではない素人が行う紙芝居に、いやむしろボランティアの方たちの姿を見て、参加者も自分も何かやらなければと感じるそうです。そこでは、うつ病の知識普及だけではなく、地域での交流やコミュニケーションの大切さを伝える機会にしていくという、市民目線の取り組みがあるように思いました。セーフコミュニティ推進室の担当者は、セーフコミュニティの推進にあたっては、行政はいつも市民の後についていくことが成功の秘訣であると語っておられました。現在も、セーフコミュニティの継続的な展開のために、あらゆる機関・団体の巻き込みを図っています。

本区においても多くの団体が地域貢献活動をしております。私が相談役を務める第9地区でも、NPO法人ささえ手が活躍しております。本年2月に、あらゆる人たちが支えあう、楽しく元気で安全な地域をこれからも守り続けようと活動をはじめ、5月にNPO法人の資格を取得しました。先日は、区内の小学校付近の店舗で強盗事件が発生し、犯人が逃走しているとの情報をキャッチし、どこよりも早くメルマガで注意を呼び掛けていました。区の安全・安心メールでは、関係機関への確認後の配信となるためどうしても遅くなることがあります。やはり現場でおきている緊急時の安全・安心の取り組みにはこうした団体の協力が大切です。

そこで、本区においても、セーフコミュニティの継続的な展開のために、あらゆる機関・団体の巻き込みを図っていく必要があると思いますが、区のご見解をお聞かせ下さい。

 

現在、本区では、WHO認証のための、6つの指標に基づき、重点テーマの設定検討中

と伺っております。そこで、検討中のテーマの具体的な取り組みについて、3点につき質問致します。

第1に、児童虐待の防止についてです。

この夏、大阪市と横浜市で相次いで、痛ましい児童虐待死事件が発生しました。

これを受け私ども公明党は、早速厚生労働省に対して、省令の運用改善を要望したところ、出頭要求の要件緩和が行われ、安全確認が強化されることになりました。併せて現在、児童相談所職員の拡充も政府に要望しているところです。

昨年度の全国児童相談所が対応した児童虐待件数は、4万4210件と過去最悪を更新しました。先日、私のもとにも、児童虐待の情報が寄せられました。早速、子育て支援課に連絡したところ、他からも同様の通報が入っており対応中とのことでした。

そこで、先ず、本区における児童虐待の実態についてお聞かせ下さい。また、こうした児童虐待防止には、保健所のこんにちは赤ちゃん事業等での初期対応が有効手段となります。今後とも是非部門を超えた取り組みをお願いするとともに、区の取り組みについてお聞かせ下さい。

第2に、学校の安全についてです。

第1回豊島区セーフコミュニティ推進協議会の資料では、リーディングプロジェクトとして、また、学校と子どもの安全に関する重点事業として「セーフスクール」の認証取得へ向けて取り組むとしています。学校単位での認証を受けることになりますが、現在区が推進しているセーフコミュニティの認証取得との関係や、今後の取り組みについて、お聞かせ下さい。

第3に、自殺とうつの予防についてです。

自殺対策については、昨年の第3回定例会の一般質問や、平成22年度の予算委員会でも取り上げました。先ずは、本年度における具体的な取組についてお聞かせ下さい。併せて、東京都の地域自殺対策緊急強化事業補助金に対する、本区の利用状況についてもお知らせ下さい。厚生労働省は7日、自殺やうつ病での失業による昨年の経済的損失が推計で約2.7兆円に上るとする調査結果を発表しました。同様の調査は、イギリスで実施され、その後の精神保健医療改革が自殺対策に大きな効果を上げています。イギリスでは、薬物療法に抵抗感があるため、心理療法の普及を実施。その結果、自殺者数を15%減らすことに成功しています。

今、日本においても、うつ病対策として、認知行動療法が注目を浴びています。

精神疾患患者の考え方に着目し、対話を通してサポートするもので、治療の科学的根拠がはっきりしており、薬物療法との併用で効果が高まることもわかっています。本年4月保険適用となったものの、まだ一部に限定されており、また、認知行動療法に携わる人材と時間が不足している課題があります。

しかし、慶応大学保健管理センターの大野教授によれば、今後の可能性としては、先ず、研修を受けた保健師による地域での自殺予防や、職域では、社員教育によるうつ予防や復職支援に活用出来るとのことです。また、教育現場では、認知行動療法的なプログラムによって、子どもたちに思いやりの心が生まれ、荒れた中学校が再生したとの報告もあるとしています。こうした認知行動療法に対して、本区も積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、ご見解を伺います。

 

3.(仮称)西部地域複合施設について

次に、3項目目の(仮称)西部地域複合施設について伺います。

今年も西部区民事務所のある平和小学校跡地では、恒例の夏祭りが行われ、約4,500名の方が参加されました。地元の千早2丁目と要町2丁目の2町会を中心に、西部地域の多くの町会や団体の皆様の協力の下、毎年盛大に開催されています。

思い起こせば、旧平和小学校は、平成11年に、旧要町小学校と統合し、要小学校として旧要町小学校校地に開校しました。豊島区で初めての統合校として、当時の関係者の皆様のご苦労は大変なものであったと記憶しております。それだけに、校舎に代わって誕生する

施設には、卒業生にも、また、地元町会にとっても特別な思いがあります。

それでは、同施設の整備基本計画につきまして4点について質問致します。

第1に、財源についてです。

計画(案)では、千早図書館跡地と千早地域文化創造館跡地を売却し、社会資本整備総合交付金の活用を図った上で、尚、32億3千万円の財源が必要であるとしております。財政状況の悪化を理由に、当初の計画を2年間延期していたわけですが、経済状況は決して好転しているとはいえません。新庁舎の建設も控えている本区として、財源確保は本当に大丈夫なのか。また、社会資本整備総合交付金の適用条件としてどのようなことがあるのか。区のご見解をお聞かせ下さい。

第2に、区民事務所機能についてです。

現在、西部区民事務所では、区民課、税務課等の業務の一部を取り扱っています。地元の町会としては、新たな施設では、取り扱い業務の拡充とともに、新庁舎との連携によるワンストップサービスの提供を強く要望しております。

計画(案)では、「ICTの活用により区民の利便性を向上させます。」とありますが、具体的にはどのような計画があるのかお聞かせ下さい。

第3に、施設整備のコンセプトについてです。

今回、私たちは、十和田市のArts Towada(アーツ・トワダ)と呼ばれる「アートによるまちづくりプロジェクト」を視察してまいりました。

十和田市は、まちづくり基本目標として「感動・創造都市」を掲げています。

Arts Towadaは、十和田市の中心市街地に位置する1.1kmにわたる官庁街通り全体を美術館と見立て、アート作品の展示やアートプログラムを実施。拠点施設となる十和田市現代美術館は、市民の芸術文化の拠点として、都市の活性化に寄与するために、人々の交流促進や市民活動をサポートし、市民と作る参加型の運営を目指しています。

実際、私どもが視察をした時は、前衛芸術家の草間彌生さんの展示会が美術館の内外で行われていました。当初、アートを利用しての街づくりに否定的であった商店街の方々も、地元ではなく着飾った県外からのお客様が来るようになると次第に理解が深まっていき、今回の展示会では、120店舗のうち、75店舗が協力するまでになり、飲食店も5店舗増えたとのことでした。

昨年1月にまとめられた「豊島区西部複合施設における文化拠点整備計画案」では、複合的文化拠点としての特色として、「外部にも視野を拡げ、関連機関や地域住民等との積極的な連携、地域住民の活動相互の交流支援をしてゆくことで、事業活動の充実と、協働による地域振興を推進する。」としています。

西部地域複合施設付近には、区立熊谷美術館や峯隆作品展示館、そして、横山光輝氏のご自宅もあります。さらに、長崎アトリエ村やトキワ荘など地域のもつ潜在的な活力を掘り起こし、未来へ向けた魅力的なまちづくりも視野に入れた、取り組みをお願いしたいと要望致しますが、区のご見解をお聞かせ下さい。

第4に、人員体制についてです。

文化拠点整備計画案では、外部人材を館長に相当する地位に配置するとともに、総括的な運営責任者を区の内部から人材を配置するとしています。いずれにしても3点目で取り上げた、関連機関や地域住民との積極的な連携、協働による地域振興を推進するためにも、地元としても何でも話の出来る地域の顔的存在としての人材を登用してもらいたいとの要望がありますが、いかがでしょうか。区のお考えをお聞かせ下さい。

 

4.その他

最後に、その他として、予防接種事業について伺います。

本区では、本年4月1日から、乳幼児の細菌性髄膜炎や急性咽頭蓋炎などの感染症を予防するため、ヒブワクチン予防接種費用の一部助成が始まりました。

子育て世代からは、「これで子どもを病気から守れる上、家計の負担が減り助かりました。」との喜びの声が寄せられています。子育て支援に力を入れている本区の取り組みを高く評価するところであります。そこで、先ず、4月からの接種状況についてお聞かせ下さい。

一方、ヒブワクチンとともに、小児用肺炎球菌ワクチンの公費助成を要望する声も高まっております。先進諸国では、ヒブと小児用肺炎球菌の両方のワクチンが定期接種になっています。細菌性髄膜炎は、死亡したり、中枢神経後遺症を残すことが少なくなく、早期診断も難しい病気です。しかしながら、小児用肺炎球菌ワクチンは、全額自己負担の任意接種のため、1回に付き約1万円かかります。接種開始年齢により最大4回接種が必要であり、子育て世帯にとっては「接種をしたくても出来ない」という厳しい現実があります。

そこで本年2月、都議会公明党は、石原都知事に対し、公費助成などを求める意見書を提出しました。そして、本年4月より、東京都は、区市町村の予防接種支援事業の中で、小児用肺炎球菌ワクチンの都補助を開始致しました。

是非本区においても小児用肺炎球菌ワクチン接種費用の助成を要望致します。

任意の予防接種については、経済的負担を伴うため、接種率がなかなか上がらないのが

現状です。子どもの命を守るために、任意予防接種の公費助成の拡大が必要であると考えます。任意予防接種の公費助成について、本区のご見解をお聞かせ下さい。

以上をもちまして、一般質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。

辻かおる一般質問の答弁

1.防災対策について

総務部長(横田 勇)

防災対策についてのご質問のうち、まず、災害時相互応援協定及び防災サミットについてのご質問にお答えいたします。

去る8月21日、本区は、山形県村山市と12番目の災害時相互応援協定を結びました。本区は、15年前の阪神・淡路大震災の教訓を活かして、平成7年5月に山形県遊佐町と最初の災害時相互応援協定を結んで以来、友好関係の深い都市との応援協定締結に取り組んでまいりました。

応援協定の最大のメリットは、災害時に協定自治体が真っ先に豊島区に駆けつけてくれる点にあります。国や都による広域的支援は、災害時において不可欠ではありますが、「広く薄い支援」もしくは「被害の大きい地域に集中する支援」になりがちで、すぐに豊島区を支援してもらえるかどうかはわかりません。

大きな被害が予想される首都直下地震が発生した場合、本区だけで対応することは極めて困難でありますので、一定程度離れていて同時に被災する恐れが低く、友好関係が確立されている協定自治体の応援が得られることは、大変心強いことであると考えております。

なお、防災サミットは、協定自治体の首長にお集まりいただき、自治体間の相互応援の重要性を確認する場と位置付けているもので、平成14年度・17年度は豊島区において、19年度は長野県箕輪町において、20年度は新潟県魚沼市において、通算4回、開催してきております。防災サミットを通じて生まれた自治体間の交流が、その後に発生した実災害で、自治体間の応援活動につながるなど、大変有意義な場となっております。

今後も、協定自治体との間で、防災サミットの開催や、文化・観光面での相互交流事業などを通じて、友情と信頼の絆を深めてまいります。

 

次に、防災訓練についてのご質問のうち、救援センター開設訓練の実施及び救援センター開設マニュアルの作成状況についてのご質問にお答えいたします。

ご提案いただきました、救援センターでの発災対応型訓練の重要性は、区としても強く認識をしております。そこで、近年、救援センターでの実践的な訓練の充実を図っておりまして、平成18年度には14回であった救援センターの訓練を、今年度は30回にまで増やしております。

訓練回数の増加とともに、救援センター開設マニュアルの作成にも取り組んでおりまして、現時点では総数36か所のうち、31か所の救援センターでマニュアルを整備しております。

今後、すべての救援センターでマニュアルを作成し、訓練を行うことができるよう、引き続き、努力してまいります。

 

次に、中高生の参加による地域防災力の向上についてのご質問にお答えいたします。

これまで、中高生などの若者を防災訓練に参加させるよう、地域の皆様から長らく要望されてまいりました。今年の総合防災訓練で、ようやく都立板橋高校と千川中学校の生徒の参加を得ることができましたが、千川中学校での開会式で中高生が紹介されると、参加者の皆さんから大きな拍手が沸き起こったことが強く印象に残っております。中高生は気恥ずかしそうな様子でもありましたが、反面、自分たちへの期待の大きさをしっかり受け止めてくれたと感じているところでございます。

つい先日、板橋高校からは、生徒にとっても大変有意義であり、来年以降も参加したいとのお申し出を受けました。これを機会に、今後、区内の都立高校にも参加を呼び掛けてまいりたいと考えております。また、現在、教育委員会や消防署と連携して区立中学校での防災教育の充実強化について検討しているところでございます。今後、様々な角度から中高生に防災の担い手としての自覚を促し、地域防災力の向上を図ってまいります。

次に、マンションにおける防災対策についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、マンションには高層階の揺れの問題、あるいはエレベーターの閉じ込めなど、特有の防災上の課題がございます。

区は、昨年、中高層集合住宅の建築に関する条例を改正し、大規模な新築マンションに居住者向け備蓄倉庫の設置等を義務付けました。1月の条例施行後、すでに2件の大型マンションから備蓄倉庫等に関する事前協議を受けております。

このほか、既存のマンションの居住者に対しては、耐震診断や耐震補強に関する助成制度の拡充を図るなど、ハード面におけるマンションの防災対策に取り組んでまいりました。

また、平成20年度に全戸配布した「防災の手引き」、区ホームページの防災情報のページに、マンションの防災対策について掲載するなど、マンション居住者の意識啓発に努めてきたところでございます。

しかしながら、いまだにマンションの防災対策の必要性が居住者の方々に十分に浸透しているとは言えないのが、率直な現状でございます。

したがいまして、マンション担当課など関係部署と連携して、今後、マンション用の防災の手引きの作成・配布について検討してまいります。

 

次に、池袋駅周辺混乱防止対策訓練についてのご質問のうち、まず、自助の行動ルールの実践と協議会の拡充についてのご質問にお答えいたします。

1日の乗降客262万人のターミナル駅と日本有数の繁華街を抱える池袋で、池袋駅周辺混乱防止対策を着実に進めるためには、多くの事業者、団体の池袋駅周辺混乱防止対策協議会への参加と、自助の行動ルールに基づく対応の実践が、ご指摘の通り大変重要なことと認識しております。

本区は、当初より多くの企業に参加を呼び掛け、平成20年に47団体で協議会を発足させました。その後も加入促進を図り、今年度には、大勢の買い物客が訪れる駅前の量販店やホテルのご参加を得ました。70団体の会員数が当面の目標のところ、現在54団体となりましたが、引き続き会員数の増加に努めてまいります。なお、テナントビルと個々のテナントの対応が重要とのご指摘についてはその通りと考えておりまして、今後、協議会で検討してまいりたいと考えております。

次に、イメージトレーニングの継続についてのご質問にお答えいたします。

これまでの2回の訓練は、震度や火災、建物倒壊等の災害情報と対応内容を事前にシナリオ化し、実施いたしました。ご提案のイメージトレーニングは、大きな会場が不要で、かつ実践的な対応力を身につけられる有効な手法と認識しております。しかしながら、協議会は設立してまだ三年と新しく、一昨年度に策定した行動ルールの検証に関しては、シナリオに基づく訓練の方が現段階では効果的と考えております。従いまして、シナリオ型の訓練を継続していく中で、今後イメージトレーニングの手法も導入してまいります。

次に、新しい「地域情報システム」の検討についてのご質問にお答えいたします。

16万5千人と予想される滞留者への情報不足は、二次的な災害や大規模なパニックを引き起こしかねず、情報提供は最も重要な対策と認識しております。

中林教授がご提案する「平時の地域活性化にも活用できる新しい地域情報システムの構築」は、実現した場合には大変効果の発揮できるシステムであると考えています。しかし、一昨年度の訓練に使用した、いわゆる「地域情報システム」は、まだ試験段階レベルのものであること、また本区の財政状況も考えあわせますと、このシステムの構築は、現段階では大変難しいことと考えておりますが、研究してまいります。

次に、今年度の訓練概要についてのご質問にお答えいたします。

訓練は11月18日に実施する予定ですが、大量の滞留者や負傷者への対応、情報の受発信等を訓練いたしまして、対策に反映することを目的としています。

当日は、鉄道、百貨店、学校等の事業者や団体に、警察、消防の参加を得て、総勢500名程度の規模の訓練を予定しています。具体的には、駅周辺の災害情報の集約と発信の拠点となる「現地連絡調整所」、また、通行人へ情報を提供する「情報提供ステーション」の設置運営を行います。さらに、消防による救護所の設置運営や、障害者等の災害時要援護者をホテルや公共施設へ避難誘導する訓練を、新たに行います。過去2回の訓練を踏まえた、実践的で、参加者の危機意識の持続やモラールアップに結び付けられる訓練にしていきたいと考えております。 私からの答弁は以上でございます。

 

教育長(三田 一則)

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

防災対策についてのご質問のうち、小中学生を対象とした東京臨海広域防災公園の施設見学についてのご質問にお答えいたします。ご指摘いただきました施設は、大規模な災害発生時に、「災害現地対策本部」が設置される防災拠点施設であります。また、平常時には、さまざまな体験や学習を通して、防災への関心を高め、実際に災害に対応できる知識や知恵を習得する場としての機能をもっております。教育委員会といたしましては、今日的な防災行動力を高める施設として注目しております。

現在、各学校におきましては、月に一度、安全指導日を設定し、防災訓練を実施しております。その際、池袋防災館を活用した体験的な学習を取り入れるなど、生きて働く防災行動力を育てる工夫に努めているところでございます。

今後、小学校におきましては、都内見学等の際、防災体験が可能な場として、ご案内の施設を紹介してまいります。

また、中学校では、昨今、生徒が地域の一員として、防災訓練に参加するなど、貴重な体験を積み重ねております。地域の皆様からも将来の防災リーダーとして大きな期待が寄せられていることから、今回いただきました情報を各中学校にも紹介し、積極的に活用するよう働きかけてまいります。

 

2.セーフコミュニティについて

区長(高野 之夫)

ただいまの、辻薫議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

まず、セーフコミュニティについてのご質問のうち、昨年の第1回定例会で島村高彦議員からご提案いただきました「安心連絡メモ」の導入の進捗状況についてのご質問にお答えいたします。

現在、豊島区社会福祉協議会において、亀岡市などの先進自治体、あるいは区内の町会における実践例などを参考といたしまして、町会連合会との協働による「(仮称)あんしんカード」配布事業の実施に向けた準備を進めているところでございます。

あんしんカードは、急病や事故などの際に、救急隊などが素早く本人の情報を把握することを目的としておりまして、町会のご協力をいただいて高齢者、障害者、その他希望する方に配布する予定でございます。カードには、氏名・生年月日・緊急連絡先・血液型・持病・かかりつけ医・服薬などの情報を記載しておいてもらいますが、カード形式にすることで、いつも身につけておくことができ、外出時の活用も可能となります。また、自宅の冷蔵庫などに張り付けておくことも可能で、幅広い活用が期待できると考えております。

来年2月の実施を目指して、鋭意、準備を進めておりますが、社会福祉協議会と町会のコラボレーションという、まさにセーフコミュニティそのものの事業であると考えております。実施の際には、民生・児童委員の皆様など、多くの関係者の方々にご協力をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。町会のご協力をいただいて高齢者、障害者、その他希望する方に配布する予定でございます。カードには、氏名・生年月日・緊急連絡先・血液型・持病・かかりつけ医・服薬などの情報を記載しておいてもらいますが、カード形式にすることで、いつも身につけておくことができ、外出時の活用も可能となります。また、自宅の冷蔵庫などに張り付けておくことも可能で、幅広い活用が期待できると考えております。

来年2月の実施を目指して、鋭意、準備を進めておりますが、社会福祉協議会と町会のコラボレーションという、まさにセーフコミュニティそのものの事業であると考えております。実施の際には、民生・児童委員の皆様など、多くの関係者の方々にご協力をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

次に、セーフコミュニティの継続的な展開のために、あらゆる機関・団体を巻き込むことについて のご質問にお答えいたします。

セーフコミュニティは、長い距離を走り続けていくマラソンのような活動であります。その柱として、「科学的手法の活用」と「部門横断的な連携・協働」を位置づけている理由は、予防活動の効果を高めるだけではなく、活動の持続可能性を何よりも大切に考えているからであります。

その意味で、国や東京都の行政機関との連携、そして地域に根差した区民主体のNPO活動やボランティア活動との協働の豊かさこそが、セーフコミュニティの原動力であると考えています。

今年5月に設置した、「セーフコミュニティ推進協議会」では、幅広い安全・安心活動団体からのご参画をいただき、100人を超える大きな会議体となりました。しかし、区内には、まだまだ多くのNPO活動やボランティア活動があり、こうした団体との情報共有を進め、連携・協働を広げていくことで、豊島区のセーフコミュニティ活動は、より多くの区民の皆さまが参加する、自律した厚みのある活動へと発展していくに違いありません。11月には、セーフコミュニティ活動の具体化を図るため、地域特性を踏まえて10程度の重点テーマを選定するとともに、部門横断的な対策委員会の設置を予定しています。

安全・安心に取り組むNPO活動等も、それぞれに具体的なテーマは異なると思いますので、その際には、重点テーマごとに、情報を共有しながら意見や提案を交換するサポーター制度等を検討し、広く参加・登録を呼び掛けたいと考えています。

 

次に、重点テーマの具体的な取組についてのご質問のうち、児童虐待の実態及び防止についてのご質問にお答えいたします。

本区における児童虐待の相談・通告件数は年々増加し、平成21年度においては、継続・新規受理を合わせて560件に上っており、事案の複雑化・長期化の傾向があります。児童虐待の種別はネグレクトが最も多い状況ですが、この数年は身体的虐待の通報が、目立って増えています。

こうした児童虐待の早期発見・早期対応に向けて、本区では全国的な法整備に先駆け平成12年に、地域の関係機関が連携して対応していくため、虐待防止ネットワークを立ち上げ、東京都児童相談センターとも緊密に連携しながら、活動を進めてきたところです。その後、平成16年の児童福祉法の改正を受けて、虐待防止ネットワークを「要保護児童対策地域協議会」と位置付け、取組体制の強化を図ってきています。

また、本年1月には、複雑化・長期化した事案に対応していくために、弁護士、臨床心理士の資格を持つ「子どもの権利擁護委員」を各1人、計2人設置して、専門的知見を活用し、児童虐待への対応方針に関する助言を得ているところです。

さらに、本年4月からは、東部子ども家庭支援センターに専任職員を配置し、「子育て訪問相談事業」を開始しました。本事業は、支援施設への来所を躊躇する、養育困難等の支援が必要な家庭に職員が出向き、子育て環境や養育状況を確認した上で助言を行うとともに、子育てサービスについての情報を提供するものです。

こうした、これまでの本区における積極的な取組の結果、先に申し上げました560件の相談・通告件数のうち新規受理件数に限って申し上げますと、増加傾向にある全国及び東京都とは逆に、本区における件数は減少傾向にあります。

今後も、関係機関との連携を強化し、児童虐待の早期発見・早期対応に努めてまいります。

 

次に、自殺・うつの予防についてのご質問にお答えいたします。

本年度の具体的な取り組みについては、自殺予防について区民の皆様への周知を図り、地域での取り組みを推進するため、講演会やパネル展示を行っています。また、東京都や豊島区の相談窓口一覧を作成し配布しています。さらに、地域での身近な相談者を養成するため、ゲートキーパー養成研修を開催してまいります。以上の事業は、東京都の地域自殺対策緊急強化事業補助金を利用して、池袋保健所で実施しております。

 

次に、うつ病対策としての認知行動療法についてのご質問にお答えいたします。

認知行動療法は、うつ病の人が陥っている認知の偏りを修正し、問題解決を手助けする療法であり、薬物療法と併用することで、うつ病の治療に効果的であると認識しています。今年度は、保健師等の職員が研修を受け、区民の方に適切にご案内できるよう努めていきます。認知行動療法の地域や教育現場での取り組みについては、セーフコミュニティの重点テーマとして設置する「自殺・うつの予防対策委員会」の中で、検討してまいりたいと考えます。

 

次に、セーフスクールについてのご質問にお答えいたします。

WHOのセーフコミュニティ協働センターでは、地域単位の認証制度であるセーフコミュニティとともに、学校単位での認証制度として「インターナショナル・セーフ・スクール」を推進しています。

現在、世界では44校、わが国では大阪教育大学附属池田小学校がこの認証を取得しており、認証の基準やプロセスは、セーフコミュニティとほぼ同様の仕組みであります。

セーフコミュニティの取り組みにおいて、「学校の安全」は必要不可欠なテーマであり、平成24年度の認証取得に向けて、同時並行的に取り組むことが効果的であると考えたところであります。

この秋を目途として、教育委員会に対象校の選定をお願いしていましたが、このたび「朋有小学校」において、セーフスクールの認証取得に取り組むことが決まりました。今後は、「学校の安全」のモデル校的な位置づけとして、セーフコミュニティ推進協議会において、セーフコミュニティと一体的に活動を展開していくことになります。

豊島区の小学校は、これまでも積極的に安全対策に取り組んできました。

先に認証を取得した池田小学校では、大きな経費をかけて徹底した施設整備等が行われましたが、WHOが本来目指すところは、ソフト面からの取り組みであり、子どもを守る地域のネットワークと子ども自身の参加が、評価のポイントであると聞いております。

認証取得は決して容易なものではありませんが、教育委員会を中心に、学校やPTA、そして地域の皆さんが力を合わせることにより、必ずや世界認証を取得したいと考えています。議員の皆さまにおかれましても、ご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

 

3.(仮称)西部地域複合施設について

区長(高野 之夫)

次に(仮称)西部地域複合施設についてのご質問のうち、まず、財源についてのご質問にお答えいたします。

(仮称)西部地域複合施設整備にかかる経費につきましては、概算で約44億5千万円を想定しております。また、財源対策として千早図書館と千早地域文化創造館の売却益、約7億2千万円、社会資本整備総合交付金約5億円を見込んでおります。残りの約32億3千万円のうち、現時点では20億円程度を起債で対応する想定でありますので、12億円あまりの一般財源が必要となる見込みです。

財政的には依然厳しい状況ではありますが、移転予定の施設はかなり老朽化が進んでおり、大規模改修する場合でも、数十億円の負担が予想されます。いずれの場合でも相応の負担がかかるのであれば、施設の集約化・複合化によるメリットを生かし、新築で使い勝手のよい長寿命の施設整備を進める方が、ランニングコストなど中長期的に見ても効率的であると考えています。

公共施設の再構築にあたっては、限られた財源の中、様々な角度から優先順位を検討する必要はありますが、新庁舎と同時期の26年度に開設することにより、現在検討中の新庁舎と連動した同様の多様な行政サービスが利用可能となることや、千早図書館、千早地域文化創造館の老朽度を考慮すると、この時期が最適であり、厳しい財政状況であり、先般2年先延ばしいたしましたが、何としても建設しなければと起債をしてでも実施すべきと判断しました。

 

次に、社会資本整備総合交付金の適用条件についてですが、交付金を申請する場合、区が一定の地域における課題やまちづくりの目標を設定した社会資本整備総合計画を作成し、国へ提出します。同計画の期間は3~5年とされており、計画作成にあたっては、目標の実現等を評価するための評価指標を設定し、交付要綱に定める基幹事業を複数、計画に盛り込むことが必要です。

現在、文化振興によるまちづくりを目標とし、複合施設整備を含めた、周辺地域における社会資本総合整備計画を作成中であり、今後、国等と交付金申請に向けた協議を行ってまいります。

 

次に、区民事務所機能についてのご質問にお答えいたします。

新しい西部区民事務所の窓口業務につきましては、現在の区民事務所機能を大幅に拡充し、新庁舎で設置を検討しております「総合窓口」で取り扱う業務と同様のサービスを提供することを計画しております。

現在、区の窓口業務385種類のうち、転入・転出時に関連する業務で、専門的な審査等が必要な業務等を除いた100業務について、新庁舎での総合窓口で取り扱うことが可能かどうか、その業務内容を精査し、区民サービスの向上や実現性の検証を行っているところでございます。また、これらの業務を実施するため、総合窓口支援システムの導入準備を進めております。

新たな区民事務所では、この総合窓口支援システムを導入するとともに、住民票、印鑑登録、戸籍、税証明等の各種行政証明書の発行や各施設の予約等ができる行政キオスク端末を設置するなど、ICTを活用し、新庁舎における総合窓口と連携して、窓口業務のワンストップサービス化を目指してまいります。

この取組方針は、昨年2月に取りまとめられた区民ワークショップからの提案を具体化すべく、部内での検討に基づき決定したものでありますが、さらに今後、現在の区民事務所の機能を抜本的に見直し、窓口業務の充実に加え、福祉総合相談窓口との連携による行政サービスの大幅な向上、また、町会はもとより、設置を予定している地域協議会等の幅広い地域団体の支援を行う地域振興業務の充実、さらに、区民ひろば等の施設管理業務の拡充など地域における行政サービス、地域コミュニティ支援の拠点となる行政機関を目指して本格的な検討に着手してまいります。そのうえで、この検討の成果を新しい西部区民事務所へ結実させてまいります。

 

次に、施設整備のコンセプトについてのご質問にお答えいたします。

本区では、これまで、その地域特性と豊かな文化資源を活かし、魅力と活力のあるまちづくりの推進とともに、「文化による地域力の創出」を文化政策の基本的な考え方としてまいりました。(仮称)西部地域複合施設においては、こうした考え方をもとに、ミュージアム系機能・図書館系機能・公民館系機能の3つの機能と、「郷土資料」、「美術」、「文学・まんが」といった多様な分野が共存する、複合的な文化拠点を整備することとしております。

この文化拠点では、地域の文化資源を後世に継承するとともに、より豊かな未来に向け、新たな文化を育み、発信するためのさまざまな活動を区民の皆さんの交流を通して展開することを目指します。同時に、区民の活発な文化活動や生涯学習の舞台として、区民の活動をサポートしながら、その活動成果が地域社会に還元されるような事業展開を目指したいと考えております。

一方、この施設周辺の地域特性に目を向けますと、ご指摘のとおり、長崎アトリエ村や池袋モンパルナス、さらにはトキワ荘、横山光輝氏など、全国的にも強くアピールできる貴重な歴史的文化資源が数多く点在しております。

郷土資料館は、開設以来26年間にわたって、こうした地域資源の調査研究に基づく多くの知的財産を蓄積してきました。今後は、そうした蓄積を核としながら、多分野と連携・融合した文化拠点として再構築することで、地域に点在する様々な施設や文化資源を結びつけるセンターとしての機能を担うこととしております。

そうした機能のうえに立って、区民の皆さんの活発な活動や交流が加わることで、ご要望のような魅力的な広がりのあるまちづくりが実現するものと考えております。

 

次に、人員体制についてのご質問にお答えいたします。

地域の文化創造活動を推し進める拠点施設として、その機能を果たし、質を高めるために、とりわけ重要なのは人員体制の構築であると考えております。

地域に根差した運営を図るうえでは、地域の実情に明るく、区民の皆さんや地元商店街等との人的なネットワークを構築することは極めて重要であり、コミュニティ感覚を備えた人材が求められます。

一方、特に、ミュージアム系機能におきましては、区の貴重な財産である収蔵品を調査・研究し、次世代に継承していくための専門的な識見や経験とともに、広報・企画・実践など、多様な事業を展開するうえでの推進力を兼ね備えた人材の配置が必要となります。

このような観点から考えると、人選は極めて難しくなりますが、区民に信頼され、親しまれる施設になるよう、人員体制ならびに人材の登用につきましては、専門家をはじめとする関係者のご意見を十分に伺いながら検討してまいりたいと考えております。

 

4.その他として、予防接種事業について

池袋保健所長(村主 千明)

 

予防接種事業についてのご質問のうち、まず、ヒブワクチンの4月からの接種状況についてのご質問にお答えいたします。4月より1回3,000円の公費助成を実施しており、8月までの実績は延1,457件となっております。当初は医療機関への流通量が不足して、予約待ちの状態でしたが、ようやく充足してきており、助成数も増加傾向となっております。

次に、小児用肺炎球菌ワクチン接種費用の助成についてのご質問にお答えいたします。7価肺炎球菌結合型ワクチンは、日本では平成21年10月に承認され、平成22年2月から接種が開始されております。肺炎球菌による細菌性髄膜炎は、死亡例や重篤な後遺症例が多いことやワクチンの接種費用が高価で経済的負担が大きいことから、公費助成が必要であると考えており、今後実施に向けた検討を行ってまいりたいと考えております。

次に、任意予防接種の公費助成についてのご質問にお答えいたします。現在厚生科学審議会予防接種部会で、WHOが推奨する予防接種の検証が行われています。審議会の動向や他区の状況を見据えながら、任意接種の公費助成の拡大について検討してまいります。

私からの答弁は以上でございます。