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平成22年3月23日

平成22年度豊島区予算案に対する公明党意見開陳

公明党豊島区議団

西山 陽介

 私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、平成22年度豊島区予算として一般会計並びに国民健康保険事業会計、老人保健医療会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計、従前居住者対策会計の5特別会計予算案に賛成する立場から意見開陳を行います。

意見を述べる前に、一言御礼を申し上げます。今回の予算審査に当たり、理事者の皆様には、資料要求を始め事前調査に快く応じていただき、また私どもの質問に対して、その意を酌んでくださり、丁寧にご答弁をいただきました。大変にありがとうございました。

さて平成22年度予算審議に当たって、我が党は、現下の歳入環境悪化の影響を受け止めつつ、1.区民目線に立った行政運営となっているか、2.未来を展望し時代の変化に適応した事業展開となっているか、3.事業の改善、見直しなど行政の質の向上に取り組んでいるか、4.我が党の予算要望に応えられているか、などを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

始めに款別意見を申し述べる前に、予算編成全般について概括的に述べさせていただきます。

平成22年度予算は、景気後退に伴う個人消費の下落とデフレの影響により、区財政においても、課税人口は増加しつつも特別区民税の減収、各種交付金の減など、一般財源歳入の減収が見込まれる中での大変厳しい編成を強いられました。しかしながら、こういう時だからこそ区民生活を守らなければなりません。区民の命を守り、行政サービスの水準を維持しながら、債務の圧縮、将来負担の軽減、さらには各種基金などの確保に取り組み、新規・拡充事業の精査や大規模な施設改修等を延期し、財政調整基金からの取り崩しを極力抑えるなど、現下の経済情勢に対応した予算編成が行われました。

「安全・安心都市」実現に向け未来を展望する施策の展開を目指しつつ、「身の丈」に沿う財政規模を堅持し、サービス水準を維持する健全財政運営を反映する予算編成をされたものと理解するものであります。

一般会計予算では、総計プラス予算となった要因の1つである「子ども手当」については、その財源について当初、鳩山首相は「子ども手当の財源はいくらでもある。財源については国で全責任をもつ」と声高であったにも関わらず、結局恒久財源が捻出できずに、現児童手当との併給措置との形で、地方に負担を求める結果となる予定であります。

昨年予定されていた「子育て応援特別手当」を一方的に支給取りやめを行ったのは一体何のためだったのか。全額国費で賄うものが「子ども手当」であり、国の子ども手当法案は基礎自治体から見れば、単年度児童手当拡充事業と言わざるを得ません。また23年度以降の本格的な制度設計についても、明確にされていない実態が浮き彫りとなっております。

また、これを機に税制改正が行われ、これに伴って住民税や所得税の扶養控除廃止となった場合、それに連動した負担増が、50項目にも及び、保育料や公営住宅の使用料など、様々な影響があることが必至であります。混乱がないよう切望いたします。

  事業費や投資的経費が対前年度比で増加する中、人件費はマイナス4億9900万円と減少していることは、業務の見直しや正規職員削減などに寄る行財政改革の賜物と評価するものであります。しかし、今後5年間は、学校や保育園の改築・改修の実施段階にあり、生活保護や高齢者世帯の増加による扶助費の伸びなど、厳しい財政状況が続くことが予想されることを考えると、さらなる人件費の抑制が必要であり、この度表明された「新・定員管理計画」の、平成27年度までに200人の定員削減を目標とする着実な推進を期待するものであります。

また、法令等の整備状況を踏まえてということを大前提に、この4月から国民健康保険課では、窓口業務委託が導入されますが、伴って職員の意識改革・能率改革にもつながることを期待するものであります。

いずれにしても、歳入減少の中、区民サービスを向上させるため、人件費を抑えていくことが不可欠でありますが、どうしたら区民の期待を担い、区民満足を得られるか、更なるサービスの質向上を追求されることが大切だと考えております。

最近、数値的景気回復が聞こえ始めておりますが、景況実感が未だ感じることが出来ない中で、区財政も予断を許さない状況が続くと予想されるため、業務委託を含め、ありとあらゆる手法を講じつつ、健全財政の運営に尽力されることを大いに期待するものであります。

それでは以下、款別に意見を申し述べます。

始めに議会・総務費では、セーフコミュニティ認証取得事業について、これは昨年第3回定例会の辻薫議員の一般質問で、自殺予防対策について取り上げた際、「セーフコミュニティ認証取得を視野に入れながら、健康都市、そして安全・安心都市の実現に向け、豊島区からの取り組みを積極的に進めていきたい」との高野区長の答弁から始まったものであります。

その後いち早く認証取得の取組開始宣言をされ、平成22年度の最重点施策と位置付けられましたことに対し、深く敬意を表するものであります。同認証取得への取り組みは、科学的な視点と強力な部門横断的な連携・協働により、これまでの地域コミュニティの活動を最大限に活かすものであり、東京で初めての認証取得に向けて、全庁挙げて取り組まれるとの高野区長の決意を改めて伺いました。

過日南池袋二丁目A地区市街地再開発組合による事業計画(案)が示され、いよいよ具体化に向けて実施計画が始動されます。新庁舎整備につきましては、建設計画策定に向け、資金計画の更なる検証、各課レイアウト作成や総合窓口の検討に着手されますが、区民のための新庁舎であるとともに、地球にやさしく未来を担う区民にも負担をかけない、将来展望という観点での計画構築を推進していただくことを改めて切望いたします。

続いて職員人材育成については、定員管理計画を進めていく上で、より能力の高い新規職員を採用され、全職員が一丸となって区政に対する区民満足度と区民からの信頼と期待を得るべく、常に意欲と能力の向上を図っていただきたいことを強く願うものであります。

今後ますます行政側の管理・監督・監視などモニタリング能力と適切な評価・指導等が必要とされますし、その存在は不可欠であると考えます。時間がかかる能力であり、その積み上げが人材育成の一端であると考えます。

そして女性の視点・発想・意見というものを組織発展のカギとして、女性管理職登用を目指す追い風を区全体の風土として起こされるべきと望んでおります。行政の健全性は財務面とともに、人材面での経営資源にも直結するものと考えております。多彩な人材の能力、生産性を最大にするような、人材育成と働きやすい職場環境の充実、職場風土の向上を目指して頂きたいと申し上げます。

全小学校区で展開を目指す区民ひろばについては、多世代にわたるコミュニティーの場所として、施設改修にも配慮されることを望みます。また、自主運営の進め方については、運営協議会の方々のやる気を支援するためにも、NPOに対する理解が進むよう、工夫を凝らした、粘り強い説明を望むものであります。

 

福祉費について申し上げます。

千川小学校跡地での特別養護老人ホーム整備については、これまでの地域住民が小学校発展のために尽力してきた経緯をくみ取っていただき、資産活用の手法を取り入れ、地域住民と十分協議の上、区民との協働で取り組まれるよう要望いたします。

生活保護費については、新年度における職員増と2課体制により期待される効果として、自立支援の強化につながること、また資産調査や不正受給に対する取り組みを望みます。扶助費は132億円を超え、対前年比16.6%増となった今、区として国に対し全額国庫負担を求めていくこともあわせて要望いたします。

現下の待機児増加の状態は、単に保育所に入れないということにとどまらず、緊急に保育を必要とする制度が本来目的で利用できないなど、大きなしわ寄せが出てきていることは周知のとおりであります。「特に支援を必要とする児童・家庭に対し、迅速・適切な対応が図れる体制を強化する」との予算編成方針の課題にあります。重点事業として、5カ年で園児300人増員、これら検討の中で、保育施策にセーフティーネット利用枠確保の検討が必要であります。一時保育制度に区立園全園に本格実施することなど、真に保育に関わるセーフティーネットとして緊急に保育を必要とする子どもたちと、保護者の安全・安心に更に制度の充実を求めるものであります。

衛生費について申し上げます。

去る3月1日から8日までは、「女性の健康週間」であり、私ども公明党議員も街頭に立ち、がんの検診受診率向上を訴えてまいりました。

がん対策を最重点施策とする豊島区は、その取り組みの先進自治体として、がん対策条例とがん対策基本計画の策定に大いに期待し、がん撲滅への成果を全国へ発信されるよう区長の強力なリーダーシップを望んでやみません。

がん検診受診率の低迷要因は、98年国の補助金が一般財源化され急激に受診者数が下落したことに端を発しており、欧米諸国が、8割以上の受診率を占める背景は、国費で実施している点にあります。

その意味で、21年度、公明党の強力な推進で導入された乳がん、子宮頚がん「無料クーポン券」における豊島区の実績は、年度途中とは言え、20パーセントを上回る結果は評価されるべきであり、早期がんを発見できて良かったという区民の喜びの体験も含め、がん検診のきっかけづくりとして、その後押しとなり、まさしく命を守る施策として評価されるものであります。

また、子宮けいがんの予防ワクチン接種に対する公費助成も、がん教育と合わせ、ぜひ中学生の女子全員を対象に全額助成されることを要望いたします。また従前より要望しておりました新規事業“ヒブワクチンの助成”予算化については高く評価すべき事業であることを申し添えておくものであります。

今後の在宅医療を推進するにあたって重要事項である、医療と介護と患者家族をつなぐ「コーディネーター」については、どこまでも家族の側に立ってよく話を聞いてくれる人として、例えば在宅介護経験者も対象として頂きたいとの介護現場からの声を実現されるよう要望いたします。

 

 清掃環境費では、低炭素地域社会の実現に向けてCO2削減対策のうち、中小規模事業者への支援については、省エネコンサルタント派遣事業、エコ事業者普及促進助成事業などを通じ、積極的な事業展開を望みます。また環境に配慮した事業者に対して契約上の配慮をもった制度設計や、事業者の資金調達での優遇措置、大規模排出量事業者との排出量取引制度の確立を図られるなど、プラン2010に掲げられた目標達成に向けて着実な推進を期待するものであります。

 都市整備費では、条例改正により本年1月1日から、新築マンションの入居者等の町会等への加入に関する協議が義務化されました。また大規模マンションにおける入居者用防災備蓄倉庫の設置や地域貢献としての災害対策施設を設置するための協議が行われていることを伺い、関係者のご努力に感謝申し上げます。また新設されるマンション対策担当課が、マンション居住区民にとって、現状課題の解決に向けて、効果ある施策が展開されるよう望むものであります。

土木費では、コミュニティバス導入事業化へ向けては、乗り合いタクシーの検討などとともに、運行ルートについても、さらになる区民ニーズを的確にとらえた上での実施を要望致します。

 

教育費より申し上げます

区立幼稚園の定員充足率は、4・5歳児ともに、ここ5年間の推移が減少傾向にあります。一方、保育園は、待機児童が大幅増の状態であり、過日出された「教育ビジョン2010」(案)に、認定子ども園導入に対し「検討を進める」とありますが、縦割り行政組織の垣根を越えて、幼保連携のシステムを早急に考えていただきたいことを要望いたします。

学校施設整備については、その敷地面積は23区平均より約1,500㎡も下回る状況にあります。今後も10年スパンで学校の改築計画が進むところでありますが、子どもスキップの実施は、現実に学校選択の大きな要素ともなっており、また教育の平等性という観点からも、全小学校での実施が望まれることから今後、施設管理と連携して、用地の取得も含め、積極的に取り組まれるよう要望いたします。

合わせて学校のトイレについては、障害のある児童・生徒や、教職員及び学校開放時の高齢者対応に向けて、極力早い時期での改善を望みます。

発達支援が必要な児童・生徒を対象とする情緒障害等通級指導学級の人数が3年間で3倍に増加しました。しかし、先入観から、保護者への理解が進まず、結果的に学校現場で児童・生徒、保護者に限らず教職員の皆さんも苦労されているのが現実です。そこで、特別支援は特別ではなく個々の子どもたちを支援するとの認識に立ち、“(仮称)個別支援学級”を小中学校全校で開設することを提案致します。

 学校図書費については、昨年の予算特別委員会でのわが会派の要望を受けて、大幅に拡充され、教育委員会の重点施策と位置付けて頂きましたことを高く評価しております。財政難であっても、将来豊島区を背負って立つ、子どもの心の栄養だけは削ることなく、引き続き学校図書の充実を図っていかれるよう望みます。

教師力向上の視点として、最大の教育環境は教師であるともいわれますが、子どもに光を当てた教育を推進するためには現場の先生方が元気で、子どもと向き合う時間を増やすことが重要であると考えます。しかし、現在学校現場では新学習指導要領の先行実施をはじめ、いじめ、不登校、生徒指導や一部保護者からの要望対応、また昨年は新型インフルエンザによる学級閉鎖など様々な課題があり、先生方は大変多忙な状況であると聞いております。

先生方のエネルギーが子どもたちに注がれ、子どもと向き合うための先生方の多忙化を解消することは、教育委員会として大いに支援していただくことを期待しております。教員のメンタルヘルスケアの体制充実とともに、小中学校における校務量実態調査や会議の縮減方法などについて検討する教育委員会内での、より実効性ある仕組みづくりにも取り組んでいただきたいと思います。さらに教育としまを標榜する「目指す教師像」実現に向けて、教育長並びに教育委員会のご尽力を大いに期待するものであります。

今やインターネットバンクが普及している社会の進展を考えた時、納税者のライフワーク

に合わせ、行政側が益々、区民側、利用者側スタイルの大勢に合わせていく、そういう時代

であります。歳入面では今年度区税、国保料等がコンビニエンスストアで納付できるように

なり、区民の利便性が向上しました。今後はクレジットカードによる納付決裁も着実に実施

されるよう、更なる拡充を期待しております。

納付目的に関わらず、区民が事務的用件で来庁することをなるべく軽減していく方向性が

必要と考えております。その分納付などに関する相談をしっかり受け止める、顔と顔が見える行政サービスにシフトさせていく観点をさらに検討されるよう要望いたします。

5特別会計より介護保険事業会計について申し上げます。

私ども公明党は、全国で「介護総点検」を実施し、高齢者が介護を受けている場所は「7割強が自宅」で、潜在的には、病院や介護施設よりも住み慣れたわが家で介護を受けたいと願っている方が多くいることがわかりました。介護家族者や要介護者のための介護ライブラリー事業の利用促進については、更なる周知を起こしていただき、情報発信基地として区民への普及啓発に取り組んでいただきたいことを望みます。

介護保険サービス事業者等育成事業では、今年度は訪問による監査指導を中心に実施しておりますが、今後は、介護度を改善させることを重視した介護サービスがますます重要となってまいります。要介護度の改善に向けて、介護事業所に対し、高齢者本人の特性を十分に踏まえたチームケアや技術力向上の研修を強化すべきと要望いたします。

本区における介護保険料収納率については、絶対値としては低いとも思えませんが、23区中最下位はいただけません。介護保険料収納について、被保険者への公正・公平の視点で、所管課として収納に対する適切な取組を実施していくべきであります。そのためにも保険料納付者への利便性向上を図るべきであります。今後も人的体制整備と専門性が発揮され、保険料収納率の改善とともに、介護サービスの質についても合わせて向上するよう要望いたします。

 

これまで述べてまいりました通り、公明党豊島区議団は、平成22年度豊島区一般会計予算並びに5特別会計予算の可決に賛成をいたします。

終わりに円滑公平な運営に努められました正副委員長の労に感謝申し上げます。また退職、転出される理事者の皆様方には、区政発展のためのご尽力に対し敬意と感謝を申し上げます。

以上をもちまして公明党の意見開陳を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。