s-yosuketop

「震災の教訓生かし“連帯の心”で安全・安心の豊島を目指して」

平成23年11月30日登壇

公明党  西山 陽介

 

私は公明党豊島区議団を代表して、「震災の教訓生かし“連帯の心”で安全・安心の豊島を目指して」と題し、

一.防災機能・震災対策強化について、

一.区民ひろばにおける地域コミュニティについて、

一.地域による支えあい体制づくりについて、

一.区有施設を活用した保育事業等について、

一.教育課題について、一般質問します。

1.はじめに防災機能・震災対策強化について質問します。

私たちは3月11日の東日本大震災を目の当たりにして、改めて防災・震災対策は、行政だけではなく、鉄道、通信、集客施設などの事業者と地域住民が連帯して、全体のまとまりの中で対策を講じていくべきと考えさせられました。豊島区民の命を守り、副都心池袋を抱える本区として、事業所や来街者の安全確保を果たすためにも、防災力の抜本的強化が求められています。

東京都では大震災の検証を行い、「防災対応指針」として発表しましたが、本区における総合的な震災対策の基本方針策定にどのように反映させるのか、また「(仮称)震災対策基本条例」の検討など、今後の防災機能・震災対策強化について、高野区長の認識と決意について伺います。

○帰宅困難者対策について、3点伺います。

第1に一斉帰宅の問題です。3.11では池袋周辺だけでも、約1万人が滞留者になりました。首都直下型地震では、この滞留者はおよそ8倍とも考えられています。

大雨による、また大雪に対しても首都圏公共交通が停止する可能性があります。鉄道結節点である池袋駅を始め、他交通機関の停止が長時間にわたると判断された場合、この一斉帰宅抑制を地元行政として、どのように手を打たれていかれるのか、今後の方策について伺います。

第2に帰宅困難者の受け入れ施設の確保です。学校・大学等を含めた公的機関、そして民間事業所に対して、一時待機場所提供の協力を求めていかれると思います。これら施設と協定を結び、一時宿泊や避難ができるよう体制整備を構築する必要があります。

この体制構築と共に、一時待機場所が反映されたマップ作成や、ITを利用した新たな情報提供ツールを構築すべきと考えます。これらの取り組みについてお考えをお示しください。

第3に備蓄のあり方についてです。帰宅困難者向けの支援体制は民間施設等に備蓄を要請する必要性があると考えます。JR東日本では首都圏のターミナル駅に飲料水と毛布を備蓄し、駅ごとに地元自治体と協議することが発表されています。

また区民ひろばや幼稚園、保育所を始め、小中学校や子ども関連施設などにも分散備蓄が必要であります。民間施設、公共施設における備蓄物資のあり方についてご見解を伺います。

○次に救援センターについて質問します。

本区での多くの救援センターは区立小中学校を指定しています。子どもの命を預けている場所と言っても過言ではありません。3.11では帰宅困難者向けに救援センターが開放された所がありました。逆に教育現場の職員だけでは対応しきれないと、判断された学校もありました。

先の決算特別委員会でも取り上げましたが、救援センター開設時での、教育現場と救援センター機能の住み分けは、十分に協議していただきたいと思います。あらゆる想定の中で、この役割と責任分担などについて今後の方向性を伺います。

東京消防庁では自治体向けとして「図上型防災訓練マニュアル」を本年5月に公表しました。当初は風水害を目的としていましたが、「大震災以降、需要は確実に高まっている」との見解を出しており、自治体での積極的活用を呼び掛けています。このうち避難所運営の体験型訓練「HUG(ハグ)」が注目されています。避難所のH、運営のU、ゲームのGを並べてHUG=ハグ訓練と呼ばれております。

基本的な流れは、①季節や天候などの条件を想定し、救援センターに見立てた学校の体育館や教室の平面図を用意する。②避難者の性別や年齢などの情報が書かれた「避難者カード」を状況に応じて、平面図上の適切な場所に配置していく。③これらの途上で、「物資が届く」など次々に想定される事態に対応していく訓練であります。

先月22日には静岡県下田市で「災害ボランティア養成講座」で同訓練が行われました。救援センターは職員・地域と一体となって運営されるものと想定します。とはいえ、皆初めてのことばかり、地域住民同士が円滑なコミュニケーションを図ることが、スムースな運営につながるものと考えられます。ぜひとも本区におきましても、この体験型図上訓練HUGを活用すべきと提案いたします。お考えをお示しください。

○災害時の給水について質問します。

先月16日には豊島区総合防災訓練が4会場にて行われました。その際、池袋小学校会場では、給水訓練が行われ、断水時の想定として、西池袋公園にある給水拠点よりトラックで運ばれるものでした。災害時この方法で、35か所の救援センターに給水されるには、効率性に問題は無いのでしょうか。

東京都では都議会公明党の提案により、消火栓からの「仮設給水栓方式」が検討されています。東京都との協議に応じて、救援センター各地で給水がスムースに行われるよう、仮設給水栓方式を準備しておいてはいかがでしょうか、お考えを伺います。

○障がい者の防災対策について質問します。

災害時要援護者体制は、地域によりなかなか支援体制の構築に温度差が出てきております。今一度、安否確認、避難誘導、要援護者の特性に応じた福祉避難所の体制整備など、緊急検討課題であると考えます。

特に障がい者の防災対策について取り上げます。先の東日本大震災による障がい者の被災状況調査を進めている、福島県点字図書館館長の中村雅彦氏によると、障がいがある人は、無い人に比べて、死亡率は1.3倍も高い状況とのことでした。

車いすの方は玄関先で津波に流され亡くなっていた。部屋の中はバリアフリーなのに、いつものヘルパーさん自身が被災して来られなかったために、玄関から降りられず、逃げ遅れた。人工呼吸器をしていて、逃げ遅れた、など。あと少しの支援で助かる命があったと述懐しておりました。

このように災害時、障がい者が独力で被災状況を把握したり、避難すべき場所へ移動することは困難であります。聴覚障がい者はテレビ・ラジオ放送などからは情報が得難く、視覚障がい者は道路など、移動中の危険個所の状況把握が困難であります。

昨年、我が党からの一般質問の答弁では、「要援護者ご自身が実働訓練に参加いただくことは(中略)今後、体制が十分に整った後に、改めて実現の可能性を検討したい」また「支援の内容や危険回避策を理解しておく必要がありますので、(中略)安否確認や支援者向けの図上訓練など、実際に役立つ訓練を検討する」と述べられております。

障害者団体等からのご要望もあり、地域においては防災訓練などを通じて、健常者が普段から学んでおくべきこと、これらに対応するため、障がい者の側に立った防災マニュアルやガイドラインの作成とともに、実践的な避難・誘導訓練が不可欠と思いますが、ご見解を伺います。

○防災地図について質問します。

現在豊島区では区内6か所の備蓄倉庫に物資と資器材、30か所のミニ備蓄倉庫に物資を、また救援センター35か所に資器材が準備されています。この情報は豊島区防災地図裏面に記載されています。防災課では工夫を凝らして毎年改定されていると伺いました。

私はこれまで機会あるごとに地図裏面の内容を紹介してきました。この防災地図の所有世帯は決して高いとは言えず、また記載情報の認識があまりにも周知されていないと感じました。そこでこの防災地図を「災害時家庭版マニュアル」とする内容に出来ないものでしょうか。救援センター地区別や、または行政地域である12地区別の内容に改めるものです。

地域に特化した防災・震災時情報を記載し、災害時にはこの防災地図情報があれば、いざというときの区民の行動指針となるものであります。いざというときにすぐに見ることが出来、また持ち出しも簡易な防災地図の有効活用を提案します。ご所見を伺います。

○防災啓発について質問します。

発災直後には、公助機能は限界があり、地域や近隣の助け合いである共助力が左右されます。日本火災学会の資料によると、阪神・淡路大震災のうち、兵庫県淡路地域においては、生き埋めや閉じ込められた際の救助は、自助、共助で97%に上ります。地域や町会ごとの連帯、また地域内にある事業所との連携により、共生意識を高めていくべきと考えます。

地域を歩きますと、大災害時でも、近所で火災が発生したらすぐに消防車が来てくれるだろう、けが人が出たら、すぐに救急車が来てくれるだろう、現時点でも楽観している場合が少なくありません。自分の命は自分で守る、隣近所の安否は隣近所同志で確認し合う、地域で連帯するための防災啓発を今後も強化するべきと考えます。

あわせて家庭内での災害時の約束事を決めて、確認しあうことが重要であります。年に1度、「(仮称)家庭防災会議の日」などを命名して、取り組みやすいツールを提供するなど、後押しして家庭内での自助力を向上させる取り組みはいかがでしょうか。今後の防災啓発について、区のお考えをお示しください。

2.大きな項目の2番目として、区民ひろばにおける地域コミュニティについて質問します。

地域区民ひろばは小学校区での着実な実施に伴い、年々事業数や利用者数の増加がみられ、また、池袋本町地区では自主運営がスタートするなど運営協議会活動も活発化しています。

こうしたことから区民ひろばは当初の目的である地域コミュニティの活性化に大きく寄与しており、十分にその役割を果たしているものと評価しております。

今年6月のセーフコミュニティ事前審査では、区民ひろばにおける取り組みに対する評価は、とりわけ高く「クミンヒロバ」を世界共通の標準語としてはどうか、という話があったと伺っています。そして、区民ひろばでは、従来にも増して様々なセーフコミュニティに関する事業の充実、実施がなされていると認識しており、本審査に向けた準備も整えられていることと思います。

一方で昨今の社会状況では無縁社会という言葉があらわすように、希薄化するコミュニティを浮き彫りにし、東日本大震災以降、ますます地域の絆の重要性が叫ばれています。

こうした中、区民ひろばは地域コミュニティの拠点として、真に地域の人と人をつなぐ、絆を深めるための役割が期待されるところであります。

そこで伺います。セーフコミュニティ認証に向けて、拠点として機能面の強化が重要であると考えますが、本区における地域コミュニティの形成について、お考えをお聞かせください。

いつまでも元気で充実した毎日を過ごしたい。そんな健康志向が高まる中、手軽で健康維持に役立てようと、本区では一昨年、電位治療器を10台新規に設置され、14のひろばで16台が稼働しています。

電位治療器は、血液の流れを良くし、体の調和をとり、健康を維持するとされており、頭痛や肩こり、慢性便秘、不眠症の軽減などが期待できるものであります。ほとんどのひろばには、1か所1台ですが、特に区民ひろば朋有や南大塚では大変に好評で、空き待ちをしなければならないと聞いています。

練馬区のある施設では、施設利用者の4割がほぼ毎日、電位治療器を利用しているそうで、8台の設置でもフル回転、一時待合室がいっぱいになるほどとのことです。

また福島県のある自治体施設は、豊島区の特徴である、多世代交流機能を目的としている施設に5台を設置。毎日50人が利用され、治療効果を感じているとの声が上がるほどです。市担当課は、結果的に医療費の削減につながるのではと期待を寄せています。

この実例にように単なる施設サービスにとどまらず、利用施設の満足度向上にも貢献しています。本区の課題は「全ひろばに配置されておらず、複数台の設置がない」ということであります。ひとりぽつんと20分間黙って座るには、なんとも寂しい限りです。並んで座っている利用者同士が、話に花が咲き、知らない者同士が何度も顔を合わせるうちに親しくなる。人の笑顔が生まれてくるものであります。

導入された電位治療器が一層活用されるよう、全区民ひろばで複数台設置され、地域の絆を結びあう一助とすべきと提案いたします。お考えをお示しください。

 

3.大きな項目の3番目として、地域による支え合い体制づくりについて質問します。

昨年の高齢者実態調査に基づき、今年度アウトリーチ事業などで、高齢者総合相談センターの職員が、民生委員さんの協力を得て、区内の高齢者の実態をつぶさに掌握されましたことは大いに評価するところです。

全国の自治体では、この一人暮らしの高齢者の支援策について、様々な取り組みが行われています。どの地域でも、ポイントは、「孤立化防止」とともに、実際の「生活支援」にあり、困ったときに駆け付けられる「相談窓口」の充実と、地元地域やNPOとの協働など、総合的には自助・共助・公助の3つの区分の連係強化と、ITなど時代にあった便利なツールの活用を前提にした、『新しい福祉』の施策構築が行政の大きなテーマであると思います。

横浜市では、一人暮らし高齢者世帯などを対象に、地元NPO法人と区役所、区社会福祉協議会、地域ケアプラザ、ボランティアなどが協力した、一人暮らし高齢者の見守り活動や買い物支援などが行われています。

品川区では、一人暮らしの高齢者などを支援するため、区が社会福祉協議会に委託し、自宅の電球交換や買い物の付き添いなどの身近なサービスのほか、視覚障がい者や視力が低下した高齢者に対し、代読や代筆を行う取り組みがあります。

また、ITを活用したユニークな支援策としては、愛媛県松山市シルバー人材センターと地元スーパーが協働して、タブレット端末を活用した見守りと買い物、困りごとサービス事業も話題を呼んでいます。タブレット端末を持って、注文や配達で家に訪問することで、一人暮らしの高齢者の安否確認にもなっています。

本区においても、この度、池袋本町地区において、高齢者の買い物支援と空き店舗を活用した高齢者の立ち寄り所の地域サロンを行う「地域支えあいサポートシステム」が、地元NPOと商店街の熱意で準備が進められているところであり、ご協力いただく関係者に対し心から敬意を表するものです。継続的成果が発揮されるよう、自発的な地域事業に対し、行政として、下支えの支援を要請するものであります。

そこで伺います。この事業は東京都の事業を活用したものですが、この目的と概要、特徴、協力体制、更に実施していく上での課題についてどう認識しておられるのか伺います。

今後、多様化する高齢社会のなかで、様々な人、場所、民間事業者を組み合わせ、地域資源を有効に活用することで、多様な「支えあい」の仕組みが必要であると考えます。

更に本区においては地域区民ひろばが、各地域で独自の特性を生かし、人と人の輪を広めつつあります。区民ひろばを有効に活用して「支えあい」のコーディネートも可能ではないかと考えます。区と社会福祉協議会が中心となり、行政として、部局をまたいで共助による支えあいの新しい福祉に取り組み、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために必要な支援に取り組むことを強く要望します。

今後の地域が地域を支えあう新しい福祉の本区の考え方と方向性について、お考えを伺います。

 

4.大きな項目の4番目として、区有施設を活用した保育事業等について質問します。

はじめに4点伺います。

第1に、東京都初となった区民住宅の空き室を活用しての保育ママ事業は大変好評を博しており、提案した我が党として高く評価しております。さらなる待機児童解消に向け、空き室のあるソシエを保育ママへの転用として拡大すべきと考えます。特に長崎5丁目のソシエ等での保育ママ事業は可能性が高いものと考えておりますが、いかがでしょうか。ご見解を伺います。

第2に南大塚保育園の3階についてです。これまで職員寮として使用していましたが、現在では倉庫になっています。このような区有施設を保育ママなども含めて待機児童対策に活用することを提案しますが、ご見解を伺います。

第3に千早区民ひろばの2階についてです。こちらは以前要町児童館として使用されてきた施設でしたが、昨年、要町保育園の施設改修のため、仮園舎に改修してから活用してきました。

そして本年3月、要町保育園改修が完了し、園児達は以前の施設での保育に戻りましたが、その後は仮園舎は倉庫にされている現状です。地元住民からは、せっかく園児が使えるようにした施設が物置と聞き、如何なものか、との声も多く聞いております。

倉庫が必要であれば、このような駅に近い素晴らしい施設をデッドスペースにするのではなく、他の区有地に仮設倉庫を作ってでも、待機児童対策に活用するべきではないでしょうか。

この千早区民ひろば2階を早速来年4月から保育施設として活用すべきと考えます。あわせて当該施設は要町保育園の斜め前という至近距離に位置することから、要町保育園の分園とする可能性や、または施設型保育ママとして検討するよう要望します。お考えをお示しください。

第4に現在建築中の長崎4丁目「愛の家」の保育園が来年3月には完成する予定です。この保育園の仮園舎は目の前にありますが、ここを分園としての活用の可能性について伺います。

待機児童の解消は区政の重大課題です。直ぐにも使用可能な施設をぜひ積極的に活用され、待機児童解消に、とりわけ0歳児、1歳児向けに取り組んでいただきたい。区の積極的なお考えを伺います。

関連して、区立幼稚園の預かり保育について伺います。

私ども公明党がかねてより要望してきた区立幼稚園における預かり保育事業が南長崎幼稚園において、今年6月よりモデル実施されております。この実施状況と保護者の声などについて、また未実施の池袋幼稚園、西巣鴨幼稚園での実施について検討状況を伺います。

あわせてこの預かり保育事業が来年度入園希望の動向に影響があったのかどうか、ご所見をお示しください。

5.最後に教育課題について、3点質問します。

○はじめに防災教育についてです。

災害時に自分の命を守れるか否かは、究極的には自分の判断と行動にかかってきます。改めて防災教育に力を入れ、生き抜く力を培う場が求められます。

ご存じのように釜石市では、中学生が小学生や保育園児の避難を手伝い、多くの命が救われました。同市の防災教育に携わってきた群馬大学大学院の片田敏孝教授は「『知識』ではなく『姿勢』を与える教育」の重要性を指摘し、「自然災害に向き合うとき、主体的に自分の命を守りぬくという意志が重要なポイントになる」と述べています。

内閣府は、過去に日本を襲った地震や風水害などの災害を子どもたちに伝える為、防災教育冊子「災害史に学ぶ」を9月から自治体や公立図書館に配布しました。立命館大学災害史の北原糸子教授は「自分の住む場所でどんな災害があり、どうすれば命が守れるか、『津波てんでんこ』のように学校で必ず教え、記憶を途切れさせないことが重要」と述べています。

あわせて家庭での取り組みを啓発して、子どもが家庭を促し、ひいては防災力と意識が高まることに期待します。

豊島区にとって今後取り組むべき防災教育の視点について、お示しください。

○次に学校における放射線学習についてです。

本区では放射能対策として、空間放射線、プールの水、土壌、給食食材などについて、様々な情勢に応じて線量測定を実施され、区民の要請、特に子どもの保護者の不安に応える努力をしていただいています。放射線は自然界から受けるものや、医療等でも受けることがあるにもかかわらず、一部では過剰反応のきらいも伺えます。

この機会に学校における放射線学習を教員向け、また児童生徒向けに実施することを提案します。正確な知識を得てこそ、的確な判断が生まれるものと考えます。ご見解を伺います。

○最後に、特に配慮が必要とされる子どものアレルギー疾患についてです

我が党はこれまで、アレルギー疾患のお子さんの支援について、たびたび取りあげてきました。教育委員会はじめ、各学校現場では例えば、食物アレルギーなど、各人に沿った除去食を提供するなど、事故なく対応を実施していただいており、高く評価するものであります。

アレルギー疾患はまれな疾患ではなく、学校やクラスに各種のアレルギー疾患をもつ児童生徒がいることを前提とした学校保健の取組が求められるところであります。

児童・生徒の健康管理情報は、保護者より「保健調査票」の提出を義務付け、毎年情報更新をしています。そして学校生活で特に配慮や管理が必要な場合は、「学校生活管理指導表」の提出を求め、関係者との協議を経て運用されています。

国のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインとともに、この学校生活管理指導表の活用が示されて3年になりました。この管理指導表の提出は医療機関の文書料の扱いで保険適用になっておりません。

特に食物アレルギー疾患のお子さんを持つ保護者からは、「子どもの健康上の理由で、毎年の管理指導表提出に文書料の負担が重い」との意見が多く寄せられています。

今年9月22日から、食物アレルギーなどによるアナフィラキシーショックを和らげるアドレナリン自己注射薬=「エピペン」の保険適用が開始しました。有効期間が短く、1本1万2000円ほどの高額であったため、処方を躊躇する保護者がいるなど、家庭での経済的負担が指摘されていました。

一番つらい思いを既に強いられているのは、子ども自身であります。子どもの安心と、学校の安全をより確実にさせるためにも、この学校生活管理指導表にかかる文書料の負担軽減を検討していただきたいと、強く要望いたします。ご見解を伺います。

以上で一般質問全部を終わります。ご清聴ありがとうございました。

高野区長及び理事者答弁

会議名:平成23年第4回定例会(第16号11月30日)

○区長(高野之夫) ただいまの西山陽介議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。

帰宅困難者対策についてのご質問のうち、まず、一斉帰宅抑制策についてのご質問にお答えいたします。東日本大震災を経験し、私は、帰宅困難者問題の規模の大きさ、事業所・関係機関と連携して効果的な対策を実施することの難しさを痛感いたしました。ご指摘の一斉帰宅の抑制は、帰宅困難者の量的な抑制を図り、混乱を最小限にとどめるために、大変重要で、有効な対策であると考えております。区は、これまでも池袋駅での混乱防止対策訓練の参加者に対して、一斉帰宅抑制をPRしてまいりましたが、大震災以降は、豊島法人会など事業者団体の勉強会で、従業員を帰さないことの重要性を訴えてまいりました。事業所側の意識や対応も一定の変化が見受けられ、一斉帰宅抑制の必要性が浸透し始めていると感じております。また、事業所に対して、事業所防災計画の策定及び訓練の実施を指導している東京消防庁は、今後、帰宅困難者対策を考慮して、従業員を帰さない訓練の実施に取り組むと聞いております。さらに、本年9月に内閣府と東京都が共同設置した、首都直下地震帰宅困難者対策協議会では、一斉帰宅抑制の基本方針を決定しており、国や東京都においても、事業所等への働きかけを強める動きが進んでおります。現在、策定中の池袋駅周辺混乱防止対策計画においても、一斉帰宅抑制を基本方針の一つとして定め、事業所の自主備蓄や情報提供手段の確保など、実効性を担保する施策も盛り込んでいく予定でございます。こうした、国、東京都、防災関係機関等による取り組みと連携し、あらゆる機会を捉えて普及啓発をさらに強化していくことで、個々の事業所、従業員一人一人に一斉帰宅抑制の必要性を徹底してまいりたいと考えております。

次に、受け入れ施設の確保についてのご質問にお答えいたします。大震災の当日、区内では、大学・ホテル等による自主的な帰宅困難者の受け入れが行われ、大きな混乱なく乗り切ることができました。こうした実績を踏まえ、既に、区は区内六大学と帰宅困難者の受け入れを含めた防災協定の締結に向けて協議を始めております。今後、ホテルやホールなどにも協定締結を呼び掛けて、受け入れ施設の確保に向けて、さらに努力をしてまいります。ただし、それらの施設が災害時に必ず受け入れることができるとは限らないため、事前に決定してマップに記載することは困難であると思われます。当該施設の建物には被害がなく、施設利用者数に余裕がある場合でなければ、受け入れは不可能なのであります。今後、ITを活用して、迅速に各施設の状況を集約するシステムを構築する必要があると考えておりまして、来年2月に池袋駅で予定している東京都・埼玉県等との合同訓練において、デジタルサイネージ等を活用した情報提供に関するテストを行い、来年度以降、本格的な情報提供システムの調達を目指してまいりたいと思います。

次に、民間施設、公共施設における備蓄物資のあり方についてのご質問にお答えいたします。現在は、民間施設に対して、帰宅困難者対策のための備蓄、受け入れ等を義務付ける法的根拠はなく、JR東日本のような大企業を中心に、自主的に備蓄する動きもありますが、最終的には事業所の判断に委ねられているのが実情でございます。こうした中、東京都は年明けに事業所に対して3日間分の備蓄を求め、とりわけ集客施設に対しては顧客の保護を求める条例の制定を目指しております。この条例によりまして、事業所に備蓄等を求める法令上の根拠が定められることになりまして、対策を進める大きな力になるものと期待しております。また、発災時には、道路渋滞等により、備蓄品を迅速に各施設に搬送することは困難であるため、区内の公共施設でも、利用者向けの備蓄が不可欠であると考えております。既に、補正予算等で緊急に対応が必要な小・中学校、保育園、福祉施設への分散備蓄を行ったところですが、今後も段階的に充実させてまいりたいと思います。

次に、救援センターの役割と責任分担についてのご質問にお答えいたします。東日本大震災では、児童・生徒を保護している最中に周辺事業所の従業員や近隣住民が避難してきたため、対応に苦慮した学校がありました。この経験を生かして、今後は区内に大きな被害がない場合でも、帰宅困難者対策を想定し、震度5弱以上であれば、区長部局の職員を学校に派遣する方向で地域防災計画の見直しを進めているところでございます。より具体的な役割分担といたしましては、教職員は児童・生徒の保護に従事し、区長部局の職員は帰宅困難者・避難者対応に従事することを想定しております。また、自治体によっては、学校の授業中に発災した場合には、初動対応を教職員が行うこととしている場合もあり、本区においても、こうした非常時の対応について、今後、教育委員会と協議し、災害対応がスムーズに行えるよう、体制を整えてまいります。

次に、体験型図上訓練の活用についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、HUG(ハグ)は、避難所運営について、ロールプレイング方式で課題を解決していくゲーム形式の訓練技法であり、避難所運営について、実践的に訓練を行うことができるツールとしての注目を集めております。内容的に、救援センターでの合同訓練のような大規模訓練には適さない面がありますので、救援センター運営調整会議を担うことになる地域防災リーダーを対象とした講習会などで活用について検討してまいりたいと思います。

次に、仮設給水栓方式についてのご質問にお答えいたします。総合防災訓練で行った車両輸送による給水訓練は、上水道が断水した場合を想定したものでありまして、断水地域に対しては、効率が悪くとも、給水タンク、ペットボトル等によるほかに有効な給水方法はないものと考えております。ご指摘の仮設消火栓方式は、消火栓にスタンドパイプを設置するなどの方法で給水するもので、災害時においても使用可能な消火栓があれば、継続的に大量の水道水を供給できる点で優れた方式であります。さきの都議会第3回定例会において、東京都水道局長が、「関係機関と具体的運用方法の協議を進め、普及拡大を図る。」と答弁していることから、遠からず本区にも協議があるものと考えております。今後、水道局と十分調整いたしまして、車両運送、仮設給水栓などの手法を組み合わせまして、必要な地域に迅速に給水を実施できるよう検討してまいりたいと思います。

次に、障害者の防災対策についてのご質問にお答えいたします。本年5月、学識経験者、民生・児童委員、ハローワークなど、障害福祉関係者で構成されております、第3期地域自立支援協議会を設置いたしました。今期は、本協議会に防災部会を新たに設け、障害者の視点に立ったマニュアルの必要性についても議論を始めたところでございます。災害時に情報を得る方法や、避難をする方法、家具の安全対策など、災害への備えと災害が起きたときの行動をわかりやすくマニュアル化した防災の手引きを、来年度の完成を目途に取り組んでまいります。また、ご指摘のとおり、障害者の方が実際に避難訓練を体験し、地域の方が障害者の誘導サポートを体験するという観点からも、実践的な避難・誘導訓練が不可欠であると認識しております。障害者団体の皆さんからの訓練参加要望も受けておりますので、今後、さらに積極的な参加が図られるよう、関係部署間で密接に連携をとって、鋭意取り組んでまいります。

次に、災害時家庭版マニュアルについてのご質問にお答えいたします。防災地図は、区の防災対策を区民の皆様にお知らせし、防災意識の向上を図るための資料として、救援センター・街頭消火器・消防水利等を地図上に表示し、地域危険度や防災資器材・備蓄品等の情報を網羅して、作成・配布しているものでございます。年々、工夫を凝らして充実を図っているところですが、毎年、全戸配布するには多額の経費がかかることから、転入者及び希望者への配布にとどめておりまして、そのため、ご指摘のとおり、すべての家庭に行き渡っているとは言えないのが実情です。また、全国版ではなく、地域別に作成して、身近な防災情報・防災知識を盛り込むというご提案は、区民の皆様の防災意識を喚起する上で効果的であると受け止めております。今後、地域防災計画の改定を段階的に数年かけて行う予定でありますが、大幅な見直しが想定される来年度の改定状況を踏まえながら、防災地図を保存版の災害時家庭版マニュアルとして作成することを検討してまいりたいと存じます。

次に、今後の防災啓発についてのご質問にお答えいたします。防災の基本は自助・共助であることは、防災訓練・出前訓練など、あらゆる機会を捉えて訴えてきておりますが、まだまだ区民の皆様に十分浸透しているとは言えない状況にあります。(仮称)家族防災会議の日を定めるというご提案ですが、国が「防災の日」「防災とボランティアの日」を設定し、家庭で防災対策を話し合うことを長年推奨してきたにもかかわらず、十分に定着をしていない現状をかんがみますと、別の方法によって効果的な対策を探る必要があるのではないかと考えます。東日本大震災では、岩手県釜石市において、子どもの防災教育に力を入れたことが功を奏し、登校していた児童・生徒の避難率100%という「釜石の奇跡」を生みました。本区においても、小・中学校での防災教育を強化しております。それだけに、子どもから保護者への意識啓発の効果が期待できるものと考えております。さらに、PTAとの連携を深めて、これまで防災訓練に余り参加してこなかった若い子育て世代に対して、自助・共助の重要性について周知徹底を図ってまいります。新たな世代への働きかけを強化することによって、ご提案いただきました家族防災会議の重要性について、広くご理解を得ることができるものと考えております。

 次に、区民ひろばにおける地域コミュニティについてのご質問のうち、まず、地域コミュニティの形成についてのご質問にお答えいたします。区民一人一人の生活を根底から支え、住みよい安心なまちづくりの基盤となるのは、地域コミュニティでございます。地域コミュニティの形成には、区民同士の交流や連帯意識づくりが大切であり、区民の様々な活動の推進を支援していく必要があります。区民ひろばの年間利用者数は、事業の実施やサークル活動などで、延べ約72万人に及びます。また、本区の特色である運営協議会は年々活発化し、自主運営もスタートするなど、地域活動の中核を担うものとなっております。こうしたことから、区民ひろばは、地域コミュニティの形成に欠かすことができない存在となっており、セーフコミュニティの認証に向けても、その役割は欠かせないものと考えております。今後は、地域福祉の視点から、コミュニティソーシャルワーカーの配置をするなど、様々な地域課題を解決できる仕組みづくりについても検討を進めまして、一層の地域コミュニティづくりの推進に努力してまいります。

次に、区民ひろばにおける電位治療器の設置についてのご質問にお答えいたします。電位治療器の利用頻度は各ひろばで異なり、一日の平均稼働率は、全ひろばで約40%となっておりますが、利用の多いひろばでは約80%にも及び、空くのを待っている状況もございます。電位治療器の複数台数の設置が地域の絆を結び合う一助となるということは、ご指摘のとおりと考えております。現在、区民ひろばの利用者に対し、利用者同士のコミュニケーションを深め、人と人との絆を結ぶために必要な事業や設備についてのアンケート調査を予定しております。その中で、ご提案の電位治療器の設置や複数台設置についても、利用者の意向を伺って、コミュニティの向上、そして健康維持に大いに活用できるとの確証が得られるならば、未設置を含めて、複数の設置に前向きに取り組んでまいりたいと思います。

次に、地域による支え合い体制づくりについてのご質問のうち、まず、地域支え合いサポートシステムについてのご質問にお答えいたします。この事業は、本区が推進するセーフコミュニティのモデル地域である池袋本町地区において、NPO法人が買い物支援サービスや交流サロンを設置運営し、この地区に居住する高齢者等の日常生活を支えるとともに、地域コミュニティの推進と商店街の活性化を図ることを目的としたものであります。事業の特徴といたしましては、商店街の若手経営者を中心とした地域サポーターが、地元商店会と協力体制を組み、高齢者宅に御用聞きに伺い、商品の注文・配達はもちろんのこと、家屋の簡単な修繕や、通院・外出のサポートなどにより、日常生活を支援することにあります。また、各店舗ではパソコンを店頭に設置し、酒屋で買い物をしながら野菜の注文ができるなど、ITを活用したユニークなサービスが展開されることも特徴と考えられます。事業立ち上げ時においては、地域サポーター40名、会員となる高齢者を50名と想定し、来年2月の事業スタートに向けて準備中でございます。また、交流サロンにつきましては、地域の高齢者が気軽に立ち寄り、世間話や趣味、サークル活動ができるスペースとして無料で開放するものであり、一日20名程度の利用を見込んでおります。このような事業は、特別区のような都市部においては先駆的な取り組みでありますが、会員となる高齢者の獲得やサービス件数の多寡が今後のランニングコストに影響するものと考えられ、こうした点が現時点での課題と認識しております。高齢化が進展する中、全国で600万人、国民の20人に1人がいわゆる買い物難民となっており、これに対応した各地の取り組みが、先日、NHKで放送されました。今回の事業のように、行政の主導によることなく、地元の商店街や町会の皆さんが協力し、自らの意志でこのようなサービスを実施することは、大変誇らしい取り組みであると考えております。区といたしましては、今回、この事業の立ち上げを支援するものでありますが、WHOセーフコミュニティの認証取得に向けた地域の取り組みとして期待し、その推移を注視してまいりたいと思います。

次に、新しい福祉の本区の考え方と方向性についてのご質問にお答えいたします。人口の減少や少子高齢化、核家族などの社会構造の変化と世代間の価値観の多様化やプライバシー意識の高まりなどを背景に、地域住民相互の社会的なつながりが希薄化する傾向にあることは否めない現実でございます。また、厳しい経済状況が続くことでゆとりが感じにくくなっていることも、こうした傾向を強める要因となっております。地域生活における生活課題がますます多様化・複雑化し、公的サービスにも限界がある中で、これまでの家族間や近隣関係だけで、支え合いに加え、新たな支え合いの構築と展開が喫緊の課題になっていると考えております。ご指摘の様々な人、場所、民間事業者を組み合わせ、地域資源を有効に活用することの重要性につきましては、全く同じ認識でおります。また、その活動場所として、世代を超えて活用できる区民ひろばの意義が大きい点についても同様に捉えております。こうした中で、社会福祉協議会とともに事業展開を進めているコミュニティソーシャルワーカーについては、今後、地域包括支援センターの圏域ごとに順次配置したいと考えております。その際の活動のポイントとして、積極的に区民ひろばに出向き、町会や民生・児童委員、青少年委員を初め、地域のボランティアやNPOなどの方々と信頼関係を構築してこそ、支え合いのコーディネーターとして機能するものと認識しております。このように、地域社会を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、誰もが、いつまでも、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、様々な社会資源の基盤整備に取り組むと同時に、高齢や障害の有無にかかわらず、一人一人が地域を支える重要な担い手として活動できる社会を目指していくことが、本区の変わらぬ考え方と方向性であると考えております。したがいまして、現在、改定作業を進めております次期の豊島区地域保健福祉計画の中にも、こうした新たな支え合いの基盤づくりを引き続き重点施策として位置付けてまいりたいと考えております。

なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては子ども家庭部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁を申し上げます。

○子ども家庭部長(山根 斎) 区有施設を活用した保育事業等についてのご質問のうち、まず、区民住宅を活用した保育ママ事業についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、区民住宅ソシエの空き室を活用しての施設提供型保育ママ、いわゆる、すくすくルームにつきましては、本年4月に、ソシエ駒込を活用して新設し、保育児童定員12人の駒込すくすくルームとして運営を開始したところです。本事業は、区民住宅の空き室の有効活用と待機児童解消の両方に寄与するもので、ほかの地方自治体からも高い注目を得ており、これまで数多くの視察がございました。運営方法につきましても、新たな試みとしまして、人材確保と研修を機動的に行うために、NPO法人への委託を活用し、施設運営もより効率的・効果的に行っております。平成24年度に向けましては、長崎五丁目のソシエ長崎及び西池袋五丁目のソシエ西池袋を活用し、合計で十数人の受け入れ枠の拡大を図る予定で、現在、準備を進めております。

 次に、南大塚保育園3階の待機児童対策への活用についてのご質問にお答えいたします。南大塚保育園3階の旧職員寮のスペースの活用は、ご指摘のとおり、従来から課題になっており、種々検討してきた経緯がございます。南大塚保育園の改修の際、保育室としての拡大を検討いたしましたが、園児の避難路の確保やトイレの改修、給食搬送設備の整備等で多額の改修経費が必要なこと。また、3階を活用した場合の保育の実施方法などで課題が多く、結局、活用を断念したところです。ご提案いただきました保育ママとしての活用につきましても、施設にはエレベーターがないため、外階段を使用しての施設利用になること、マンションなどの居室と異なり、トイレが保育室から独立しているため、乳児保育園については使用勝手がよくないこと等から、保育施設としての活用は難しいものと判断しております。

次に、区民ひろば千早の2階の保育施設への活用についてのご質問にお答えいたします。区民ひろば千早2階の施設につきましては、平成21年度から平成22年度に実施した要町保育園の改修工事の際の仮施設として活用していたこともあり、トイレが子ども向けの仕様に改修済みであるほか、保育室として活用できる適切な広さの和室等もあり、ご指摘のとおり、保育施設としてそのまま活用できる施設・設備の条件が整っております。したがいまして、現在の施設利用との調整とともに、今後の施設活用計画や大規模改修計画との調整が必要になりますが、要町保育園の分園として活用するために、積極的に検討を進めてまいります。

次に、愛の家保育園の保育施設への活用についてのご質問にお答えいたします。社会福祉法人愛の家保育園は、近隣2カ所に設けた仮施設で保育運営しながら現在改築中であり、2月ごろには新園舎が完成する予定でございます。仮施設2カ所のうち、一つは改築する園舎の向かい側で近接していることから、臨時的な待機児対策として、分園の運営を法人に相談したところでございます。しかし、既に新年度から新園舎での保育を保護者に周知していることから、仮園舎での保育の継続に保護者の理解を得られないだろうということ。また、規模を拡大した保育園の運営に自信が持てないということで、積極的な回答は得られませんでした。そこで、その施設を借用した保育施設の展開ができないか、別途、現在検討しているところでございます。今後とも、喫緊の課題でございます待機児解消のため、以上の施設以外にも区有施設の空きスペース等の有効活用を積極的に検討してまいりたいと考えてございます。

○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。まず、区立幼稚園の預かり保育についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、豊島区では、教育ビジョン2010の重点課題の一つとして預かり保育を進めることを掲げております。まず、実施状況と保護者の声でございますが、南長崎幼稚園では、子育て支援の一環として、平成23年6月から預かり保育をスタートさせました。これまでに8割を超える在園児が利用し、1日平均の利用人数は月を追うごとに伸びております。保護者からは、「安心して預けることができる」「気分転換・ストレス解消になった」「ゆとりを持って家事を行うことができた」等の声が寄せられており、子育て支援に寄与できているものと考えております。

次に、池袋幼稚園、西巣鴨幼稚園での実施についてでございますが、南長崎幼稚園での実施・検証状況を踏まえ、3園で構成する園長会において、実施の方向で協議を重ねております。保護者のニーズに応え、区立幼稚園のさらなる充実を図るためにも、平成24年度からは3園で実施できるよう、鋭意検討しております。

次に、預かり保育事業の来年度入園希望の動向に対する影響につきましては、入園児募集時に、預かり保育の拡大を望む問い合わせが多く事務局に寄せられたことなどから、保護者の期待の大きさを感じております。現在のところ、来年度の入園希望者数は、3園合計で、今年度と比較いたしますと、今年度59名から来年度は83名へと、約40%増となっております。幼児教育は教育の基盤であり、今後とも一層の充実に努めてまいります。

次に、教育課題についてのご質問のうち、まず、防災教育の視点についてのご質問にお答えいたします。東日本大震災の教訓は、「自分の命は自分で守る」ということを私たちに再認識させてくれたことであります。東日本大震災の経験は、家庭ぐるみで地域の方々と協力し、地元で行われる防災訓練に積極的に参加することの重要性が強く意識させました。子どもたちの態度も、守ってもらう立場から守る、貢献する立場に変わってきたことは、今後の防災教育の重要な視点となると捉えております。千川中学校では、教育委員会の指定を受け、保護者や地域と協働して防災行動力の育成を研究テーマにして取り組んでおります。地域防災訓練に参加し、D級ミニポンプの操作訓練や防災倉庫の合同点検、あるいは備蓄物の搬送訓練に積極的に取り組むことで、自らの役割を自覚し、地域の役割を利用するようになってきております。このことは、保護者の防災に対する意識の変化につながるものと期待しております。こうした児童・生徒と学校、保護者、地域が三位一体となって防災行動力を身に付けていくことが、今後の防災教育の重要な視点であると考えております。

次に、学校における放射線学習についてのご質問にお答えいたします。放射線学習につきましては、7月に立教大学と連携して、教員を対象とした研修会を実施いたしました。また、東京都教育委員会主催の研修会にも区内の教員を参加させてまいりました。文部科学省では、放射線副読本を作成し、各小・中学校へ、今後、配布を予定しております。教育委員会といたしましては、ご指摘のとおり、正しく放射線を理解し、放射線から自らの身を守る方法などについて、適切に判断できる子どもの育成を目指しております。こうした副読本を活用して、教員が学級活動や中学校理科などで指導できるよう、各学校に働きかけてまいります。

次に、学校生活管理指導表に係る文書料の負担軽減についてのご質問にお答えいたします。現在、豊島区では、アレルギー疾患のある児童・生徒の学校生活を、より安心で安全なものとするため、学校生活管理指導表を提出していただいております。これらをもとに、学校と保護者が、学校生活における配慮や管理について相談をいたしております。学校生活管理指導表は、診断書と同様の性格であるため、文書料が各医療機関で設定されておりますが、学校生活の管理・指導に必要な書類であることから、保護者の経済状況に左右されずに提出していただけることがとても重要であると認識しております。文書料の設定につきましては、各医療機関の裁量となるため、一律料金となっていないのが現状でございます。このため、文部科学省では、日本医師会に対して保護者の負担にならないようお願いをしているところであり、日本医師会でも地域の医師会に対する説明会などで配慮をお願いしていると聞いております。また、一方では、医師に責任が発生するため、有料にした方が医師に責任感が生じてよいとのご意見もございます。料金の設定につきましては、このように様々な見解がございますが、教育委員会といたしましては、保護者の負担軽減につながるよう、豊島区医師会と協議を重ね、効果的な対応に努めてまいります。

以上をもちまして、西山陽介議員の質問に対する答弁を終わります。