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平成27年第四回定例会 木下一般質問
「一人ひとりの力を生かした地域づくりをめざして」 

2015.11.24登壇
私は、公明党豊島区議団を代表して、「一人ひとりの力を生かした地域づくりをめざして」と題して。
1、今後の区政運営について。1、安心のまちづくりについて。1、今後の情報施策について。1、その他について一般質問を行います。
11月13日、フランスで大規模な同時多発テロが発生、尊い命を落とされた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、残虐な無差別テロ行為に断固反対の意を表するとともに、このような凶悪な犯罪から国民の生命、財産を守るため、世界の国の協働と国民の連帯を強く望むものであます。本年5月26日、27日には私の故郷三重県伊勢志摩で、『2016伊勢志摩サミット』が予定されており、2019年にはラグビーのワールドカップ。4年後の2020年には東京オリンピックと世界から大勢のお客様を迎える一大イベントが目白おしです。あらゆる英知を結集して、安全な国日本、世界一安全な街東京、安心・安全の我が街豊島の構築に官民挙げて取り組んでまいりたいと思います。我々も努力してまいります。
それでは発言通告に基づいて順次質問いたします。区長の積極的な答弁を期待します。まず大きな項目の1番目、今後の区政運営につきましておうかがいします。わが会派からも一般質問、予算、決算委員会で質問しておりますが、新庁舎完成後、劇的な変貌を遂げようとしていく本区の施策面、財政面、街づくりの方向性など、区民の皆様方に丁寧に説明する意味でも改めて確認させていただきます。
まず、平成28年度予算編成の基本的なお考えを伺います。大型の施設整備計画が進んでいくなか、「豪華ハコモノ整備に使う予算があるなら、福祉、子育ての充実に予算を、大型開発優先からくらし優先」と、高野区政があたかも施設だけを優先して、福祉サービスの後退を招いているような報道もあるようですが、来年度予算編成における施設整備と福祉・くらし分野について基本的なお考えを伺います。将来の安定的な行政サービスを考えると、想定外の財政需要も過去何度も経験されていると思います。
【高野区長答弁】
ただ今の、木下広議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
今後の区政運営についてのご質問のうち、まず、来年度予算編成における施設整備と福祉・くらし分野についての基本的な考え方についてのご質問にお答えいたします。
私は、区民の皆さんの生活を支える福祉・くらし分野と、区の将来を見通した計画的な施設整備とは、どちらも区政運営上の重要課題であると捉え、同じように重視しています。
例えば、福祉・くらしの緊急課題である待機児童対策については、常に実情の把握に努め、予想以上に需要が伸びている現状を受けて、今年度当初の計画を大幅に見直し、最大限のスピードで待機児童ゼロの実現に取り組んでいるところです。
さらに、生活の困窮に直面している方々への支援については、新庁舎4階に設置した「くらし・しごと相談支援センター」を中心に、高齢者やニートと呼ばれる若者たちへの就労支援の充実を積極的に図ってきました。また、とりわけ厳しい生活実態にあるひとり親家庭の自立・就労支援、さらには学習支援にも、関係部署が連携して取り組み始めようとしております。
来る12月1日、厚生労働省の太田政務官が本区の生活困窮者自立支援事業と総合窓口の視察にみえますが、これは本区の先進的な取り組みが評価されたものと受け止めております。
一方、急速に進む高齢化に対しては、地域包括ケアシステムの構築を進める一方で、施設入所へのニーズに少しでも応えられるよう、今年度は2か所の特別養護老人ホームの開設にこぎつけ、さらに区内で最も早く整備された特養ホーム“養(よう)浩(こう)荘(そう)”の建替え・増床(ぞうしょう)への支援にも着手いたしました。そして、施設入所者数の増加が見込まれることを受けて、区外への特養ホームの整備についても調査研究を進めております。
このように私は、区民の皆さんの福祉・くらし分野にこそ目を注ぎ、皆さんが安心して生活できるまちづくりを進めることが私に課せられた大きな使命であると考え、実践しております。
ただし、福祉・教育を基本としながらも、一方で、街の活力を維持し高めていくこともまた、重要な区政の課題なのであります。2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催が5年後に迫り、東京が世界中の注目を集める中にあって、新宿・渋谷など次々と変わりゆく副都心から池袋が後れをとり、取り残されていくようなことがあってはなりません。
国際アート・カルチャー都市の推進、そして、その顔ともなる旧庁舎周辺のまちづくりは、豊島区が東京の中にあっても
ひときわ活力と魅力にあふれ、将来の世代にまで誇りに感じてもらえるまちづくりにつながる、まさに100年の計であります。
私は、28年度におきましても、区民の皆さんの現状を十分に踏まえて福祉・くらし分野の充実を図るとともに、区の将来を切り開く活力あるまちづくりにも必要な投資を行い、両面のバランスを慎重にとりながら、予算編成を行ってまいる所存であります。

『木下質問』
起債残高の抑制と基金とのバランス等将来にわたる長期的な区財政の健全化についての方針と、施設整備が進む今後4年から5年の短期の財政の見通しについてお答えください。

【高野区長答弁】
次に、長期的な区財政の健全化方針と短期の財政の見通しについてのご質問にお答えいたします。
まず、長期的な区財政の健全化方針でありますが、将来に わたり、安定的な行政サービスを提供していくためには、健全財政と言えるところまで改善した現在の本区のスリムな財政構造を、何としてでも堅持していく必要があると考えており ます。
したがいまして、今年度に策定する予定の平成28年4月 1日を基準とした平成29年度からの「第7次定員管理計画」に基づき、職員定数の計画的な削減に取り組むことで人件費を圧縮し、公債費につきましても、新たな起債の発行を可能な 限り抑制することで経費の縮減を図り、70%台の適正範囲となっている現在の経常収支比率を維持していきたいと考えております。また、年度間の財源調整機能を果たす財政調整基金の残高目標を、引き続き120億円以上に据え、この残高の 確保にも努めてまいります。さらには、基金残高と起債残高のバランスの維持を最重要課題とし、将来にわたり、持続可能な財政運営を行ってまいります。
今後4年から5年の短期の財政見通しでありますが、現在、平成28年度当初予算の編成作業とともに、将来推計を行っている最中であります。したがいまして、今回のご質問では明確な数値をお答えすることはできませんが、今後5年間は造幣局跡地防災公園整備事業や旧庁舎跡地活用事業を新たに盛り 込むことになり、一時的な投資的経費の増大が見込まれます。
この投資的経費を含む短期の財政見通しにつきしては、3ヶ年という期間ではありますが、「予算の大枠」という形で平成28年度当初予算とともにお示ししたいと考えております。

『木下質問』
つぎに、今後の区政運営についてのうち、旧庁舎跡地及び周辺まちづくり方針についてお尋ねします。
新庁舎整備という100年に一度の大事業が完成した現在、今後は旧庁舎跡地の民間活用及び周辺施設整備に全精力を傾け、「国際アート・カルチャー都市」の顔となる、国際的な新たな文化にぎわい拠点創出を決定して、今後は区民のご理解を得ながら確実に推進していく必要があります。
サンシャインの開発以来である、大規模かつ最先端なオフィスによるビジネス拠点と、8つの劇場による文化にぎわい拠点の創出、そして新区民センターの計画では、女性が安心して楽しめる画期的なトイレ整備等池袋副都心再生の要となるものであり、全国で注目されている新庁舎開発スキームと同様、都市再生のモデルとしていかなくてはなりません。
特定都市再生緊急整備地域の指定も追い風となり、この機を逃すことなく、遠い将来をも見据えた新しい都市づくりに挑戦していただきたいと思います。
豊島区の将来を左右するこの重要プロジェクトを、確実に成功させるため、いくつかの質問をいたします。
まず、最初は区民への説明責任についてうかがいます。去る10月下旬、区内3か所で区民説明会を実施し、多くの区民の参加者のもと、数多くのご発言やご意見を頂いたものと聞いています。また、再度、12月に豊島公会堂で説明会を実施するとのことであります。
このプロジェクトを推進するうえで、区民への説明責任を果たし、広範な区民の皆さまにご理解いただくことはなによりも大切であると考えます。徹底した区民への積極的な説明、広報をのぞむものであります。そこでお聞きいたします。招集あいさつでも若干触れられておりましたが、10月下旬の説明会において、本計画に対する区民の受け止め方、反応について概略で結構ですのでお聞かせください。

【高野区長答弁】
次に、今後の区政運営についてのご質問のうち、旧庁舎跡地及び周辺まちづくり説明会における区民の受け止め方、反応についてのご質問に、お答えいたします。
旧庁舎跡地及び周辺まちづくりは、官と民が英知を結集して、「国際アート・カルチャー都市」の顔となる、豊島区の新たな文化にぎわい拠点として整備し、都市機能の更新で大きく後れをとっている、池袋の存在価値と魅力を輝かせていく役割を担っています。現在、全精力を傾注して取り組んでいるところです。
去る、10月に実施した「旧庁舎跡地・周辺まちづくりに関する説明会」では、池袋駅周辺のまちづくりをはじめ、建物イメージ、新ホールや新区民センターの計画内容など、最新の検討状況について、区民の皆様に報告いたしました。区内3か所で概ね200名の参加と、各会場10名程度の皆様からのご発言がありました。「池袋を変えるのは今しかない」、「早く新ホールを整備してほしい」との計画に期待を寄せる声や、「もっと歩行者空間を確保してほしい」、「ホール運営には民間の力を」などのご注文を頂く一方で、「総事業費はいくらか」、「これまでの計画の決定過程を明らかにしてほしい」、「もっと広く区民周知を」など、様々なご質問、ご意見を賜りました。
さらに説明会終了後には、発言者数を上回る33名の方から意見書のご提出を頂きました。その多くは、「まちを変える大きな原動力になる」、「第一級の舞台が身近な池袋で鑑賞できる日が楽しみだ」といった、新たなまちづくりやホールを期待するもので、区民の皆様の期待の大きさを痛感した次第です。
12月8日の説明会では、計画内容の説明とあわせ、これまで頂いたご質問を整理して、お答えを示す予定で準備を進めております。区議会の皆様には、4回の説明会が終了したのち、詳細をご報告いたします。

『木下質問』
つぎに、区民の関心も高いと思われる資金面についてお聞きします。
まず、地代191億円の評価についてです。事業者の提案は、76年分一括の全額が191億円であり、今年度末の定期借地契約時に支払うとのことであります。この地代について、これまで区は売却に近い額との評価をしており、今年度末の定期借地契約前に改めて評価を行う予定であると聞いています。そこで改めてお聞きしますが、事業者公募にあたって行った評価の内容と、今後行う予定の評価の時期、また、評価結果の議会報告の有無についてお示し下さい。そして評価によってこの191億円が動く可能性はあるのか、ないのか、についてお聞かせください。

【高野区長答弁】
次に、事業者公募にあたっての地代の評価の内容、今後の評価の時期、議会報告、地代の変動等についての、ご質問にお答えいたします。
平成25年度のプロポーザル実施要項を公表する前に、地代の水準を把握する目的で調査した、敷地の概算評価額は、191億円から205億円であり、この概算額から70年分の一括地代を、最大でも140億円程度と見込んでおりました。プロポーザル実施要項では、この見込み額は公表せず、新庁舎整備推進計画に掲げた必要経費141億円を目標額として、公募を開始したという経緯でございます。
また、審査委員会の審査を経て決定した、事業者の提案額
191億円という額に対しては、定期借地権設定契約前の、来年1月を目途に改めて不動産鑑定を行い、その結果を議会に報告の上、定期借地権設定契約のご審議をお願いする予定です。
不動産鑑定は、その敷地の時価と標準的な地代を求めるものであって、191億円そのものを評価するものではなく、その妥当性を判断する資料となるものです。したがって、不動産鑑定によって、191億円が直接影響を受けるものではありません。
地代については、新ホールの面積が増減した場合のほか、社会経済事情の変化により、提案額が不適当となった場合には、見直しの協議ができるとしています。このため、鑑定の結果、こうした状況が確認されれば変動の可能性がありますが、現時点では額が変動する要素はないと考えています。

『木下質問』
資金面のもう1点、支出にあたる周辺施設整備費用についてお聞きします。
新ホールについては、購入額が税抜きで69億5千万円と報告がありましたが、新区民センターの改築経費や、周辺区道の整備経費、中池袋公園の改修経費については、平成25年の10月に報告があったことが最後となっています。新区民センターは設計段階でもあり、どこまで数字がまとまっているかわかりませんが、新ホールを含めて114億円という施設整備費用が、現時点でどのようになっているのか、またはいつ報告できるのか、その理由も含めてお聞かせください。
【高野区長答弁】
次に、今後の区政運営についてのご質問のうち、旧庁舎跡地の周辺施設整備に要する費用の状況等についての、ご質問にお答えいたします。
まず、新区民センターの工事費についてご説明します。
一般的に区施設の改築工事では、施設規模や工事費をあらかじめの所与の条件として、その範囲内に収まるよう設計を進めていきます。しかし、今回の新区民センターの工事では、生活産業プラザの外壁に開口部を設け、その上で新築建物を接続させる、生活産業プラザの増築工事であるため、詳しい構造的な検証を行っていない設計前の段階では、施設の規模はもとより、そもそも2つの建物の接続ができるか、技術的検討から始めねばなりませんでした。特に、区民センターと生活産業プラザの接合により、500の十分なホールが出来るのかの検討が重要でありました。また、旧庁舎跡地や公会堂跡に建設される施設と、どのように統一感を図るのかも重要な検討課題でした。
このため、事前にお示しした概算工事費44億2千5百万円は、おおよその面積4,400平方メートル、平米あたりの単価は50万円で積み上げたものであります。
その後の検討を加える中で、施設規模、意匠等がほぼ固まりつつありますので、現在、工事費については、改めて積算の精度を高めており、来年当初にはお示しできるものと考えております。
また、周辺区道の整備、中池袋公園の改修にかかわる経費についてですが、旧庁舎跡地、新区民センター建物の計画と整合性を図りたいと考えており、整備内容については、これから固めていく予定ですが、現時点では、先にお示しした金額、
19億6千6百万円の範囲内で収めることができないか、検討してまいります。
さらに、新ホールの購入価格については、平成28年度秋ごろの売買契約締結をめざし設計協議を進めています。
事業者からの現在の提案は、消費税抜きで69億5千万円でありますが、この額が確定するのは設計が終了し、その金額の妥当性について、双方納得した上で合意する額が契約購入額となります。
いずれにいたしましても、消費税を含めて、改めて金額を整理したうえで、その財源構成も含めて、平成28年度の当初予算の中でご報告できるよう、精力的に協議を行っているところであります。

『木下質問』
最後に、これもまた区民の関心が高いと思われる今後のまちづくり面についてお聞きします。
新たなオフィスタワーと8つの劇場等によって、年間650万人ものにぎわいが生まれるとのことでありますが、庁舎移転前は160万人程度の集客であったと聞いています。そこに、周辺商業施設の来客数等を加えると、相当な集客数となることが予想されます。
そこで、安全安心で歩行者優先の街づくりを進め、街全体の回遊性を高めていくなかで、増加する集客数に対して、どのような対策をとろうとしているのか、お聞かせください。

【高野区長答弁】 次に、増加する集客数への対応策についてのご質問にお答えいたします。
池袋駅東口への来街者の多くは、サンシャイン方面へ向かっており、サンシャイン60通りは連日大変賑わっている状況となっております。そのような中で、旧庁舎跡地周辺が賑わいの新たな拠点として整備されることは、池袋駅東口に面的な広がりが生まれ、活性化に必ず貢献できるものと確信しております。開発者からの提案では、本開発により、
年間500万人程度増加すると見込まれ、1日に換算すると休日では2万人弱増加すると考えられます。しかし、池袋駅と旧庁舎敷地とを結ぶ道路の沿道には、道路際まで建物が並んでおり、道路拡幅による歩行者空間の確保は大変厳しい状況となっております。
そこで、来年度は旧庁舎周辺で交通量調査を実施し、現状と課題を把握するとともに、現状の道路等の敷地を有効に活用しながら歩行者にとって、安全で快適な歩行者空間の創出に向けて検討してまいります。現在池袋駅東口では、
環状5の1号線の地下道路の整備に併せ、旧庁舎敷地周辺を含めた駅周辺での通過車両をできる限り排除し、歩行者中心のまちづくりに向けた検討も行っております。今後は、それらとの連携を図りながら、例えば時間帯による車両交通規制や、歩道と敷地内通路及び広場空間の一体的整備、将来的には明治通りの交通規制による歩道拡幅などの可能性について関係機関と協議してまいります。
旧庁舎敷地開発のオープンに合わせ、それらの施策を積極的に進めることにより、来街者が安全に、快適に回遊できる魅力ある池袋が実現し、より一層の活性化が図られると確信しております。

『木下質問』
また、高品質かつ大規模オフィスが供給されることは、業務系が弱い豊島区にとっては待ち望んでいたことだと考えられますが、このオフィスが周辺エリアへ与える効果をどのように考えているのか、お聞かせください。
いずれにしても、プロジェクトの規模が大きいこともあり、一般の区民の方が一度に理解するにははなはだ困難は予想されますが、行政としてできる限りのわかり易いタイムリーな情報提供、区民の方がより目に付きやすい方法で周知に取り組んでいただくことを要望します。
【高野区長答弁】
次に、オフィスが周辺エリアに与える効果についてのご質問にお答えいたします。
近年の池袋駅周辺では、他の商業業務地区に比べ、大規模なオフィスビルが十分に供給されておらず、本社機能の立地も増えていない状況です。23区の事務所床面積の割合は、港区、千代田区、中央区の都心3区で49%を占め、豊島区はわずか3%となっています。
こうした中、旧庁舎跡地では床面積が5万平方メートルを超える『池袋の新たなランドマークとなる高規格・大規模オフィス』が誕生します。これにより、有力企業の誘致が可能となり、単に、就業者や来街者による昼間人口が確実に増加するだけでなく、明治通りの北側など、周辺地域への関係企業の集積や、これまでにない産業の創出なども想定され、新たなオフィスエリアの形成にもつながると考えております。さらに、購買力のあるオフィスワーカーが増えることは、街のイメージをよくするとともに、既存の商業施設の活性化や、新たな商業の誘導につながるなど、その波及効果は大変大きいと考えられます。
このように旧庁舎跡地開発では、品格のあるオフィスと、賑わいがある文化という2つの顔を持つ、池袋のシンボルとなる拠点が整備されることとなり、この開発が起爆剤となって、池袋全体が大きく変化していくと考えております。
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には、さらに西武鉄道旧本社ビル敷地に高規格の業務系オフィスがオープンすることとなっており、既存のサンシャイン等との相乗効果で、池袋駅周辺が国際的なビジネス拠点としての機能も高まり、長年の念願でもありました活気にあふれ、元気があるまち「池袋」が誕生すると確信しております。

『木下質問』
大きな項目の2点目、安心の街づくりについて、要望も含めてお伺いします。東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトは、3.11東日本大震災を教訓に首都直下地震を想定した、東京の防災街づくりとして4年前にスタートしました。23区最多の7つの特定整備路線を有する本区としても、防災街づくりの絶好のチャンスとして、これまで東京都と連携し、7路線実現にむけて区民へ様々な説明をしてきたところであります。道路整備は東京都が責任を持って行い、豊島区としては新しい道路周辺の地区計画、街づくりルール等を住民の皆さんのご意見を戴いて纏めていくこととしています。同事業は通常約20年近くかかる事業を10年という短期間で完成させるとして、いままでにない民間活力を活用した相談体制の充実など特別な対策がとられています。
私の地元長崎1、2、3丁目は、補助172号線の延長約1、6Kmと今回の特定整備路線でも最も長い距離であり、当然路線上の関係地権者世帯も多い区間です。平成24年から事業説明会など東京都が行う説明会に加え、区の不燃化特区事業、新たな地区計画の施策も含めて、説明会、アンケートを実施してきて、道路計画は本年1月には道路事業認可の公示がなされました。
今後は、いよいよ地権者の各ご家庭の物件調査、詳細測量、土地価格の鑑定、用地買収交渉、生活再建決定の段階にきています。
先日、地元の代表の方と東京都道路保全公社の木密用地課と区まちづくり課とともに特定整備路線事業の進捗状況の確認と今後について勉強会を行いました。そのとき、今年1月の事業認可後、いよいよこれから個別の生活再建についての話し合いを始めることが東京都道路保全公社から説明され住民の方々も計画に対する時間的な認識を新たにした様子でした。また、木密用地課長からは「アンケートで、詳細な用地取得・保証の話し合いを早めにしたいと要望のあった方から、用地交渉生活再建の話し合いを開始している」。との説明がありました。
参加された地元地権者の方からは、「早く自分の将来設計を決めたい、先が見えないのが一番不安。補償金が提示されていないので、次の手が打てない。今年に入って、民間不動産関係のチラシや民間業者からの土地売買の封書が多くて、どれが東京都、区からのお知らせかが気が付かない場合も多々ある。」「事業への協力はするつもりだが、測量だけしておいて、都や区からなんにも話がない。いつかは話があると思い待っていた。」という声が多く聞かれました。
立教大学の南側の補助172号線・西池袋通りが3.11直後に開通しました。従来の木密地域に22mの道路が整備され、電線の地中化が図られ、緊急車両が短時間で災害現場に到達できる安心の街が進むこととなりました。
私は、議員になりたての頃この事業説明会に出席し、担当者が大変なご苦労を重ねて、約十数年の苦闘の末完成した経緯は高野区長も充分ご存知のことと思います。この度の特定整備路線区内7つの道路整備は、この西池袋通りの7倍の仕事を、半分の時間でやり切る一大事業です。単純に考えても7×2で14倍の労力が必要になる計算で、それ相当の人と労力をかけなくては到底完成実現することは不可能だと思います。
また、地元の方から指摘されたように、ともすると「声の大きい人を優先する」という行政のやり方は、極めて反感を買うことになると思います。納税者である住民から信頼を無くすことこそ避けなくてはなりません。
そこでうかがいます。木密不燃化10年プロジェクトについての区の基本的な考えと現状の進捗状況をどう掌握し認識されているのか伺います。

【高野区長答弁】安心の街づくりについてのご質問のうち、まず、木密地域不燃化10年プロジェクトの基本的な考え方についてのご質問にお答えいたします。

首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえますと、区民の生命と都市機能を守るためには、本区における木密地域の改善を一段と加速させる必要があります。
不燃化特区と特定整備路線の2本柱で取り組む10年プロジェクトは、この両者の対策を密接に組み合わせることで、木密地域の改善対策として最大の効果を発揮することができると考えています。
豊島区には、23区で最大規模の特定整備路線の指定があります。区はこの沿道の全ての地域で不燃化特区の指定を受け、また東京都は、本年2月までに、区内の全ての特定整備路線を事業化しております。特定整備路線の整備は、木密地域の不燃化を進める大きなチャンスであり10年プロジェクトを実践する都と区の双方において、重要な局面を迎えているものと認識しております。
こうした中で、本区は、不燃化特区制度を活用した、不燃化への支援や専門家派遣による権利者の不安解消策を講じることとしております。また、これから本格化する道路事業の用地買収に備えて、かつて雑司が谷霊園や立教大学周辺で実施してきた手厚い建替え支援策について、特定整備路線の沿道でスタートするための制度を整えるとともに、特定整備路線沿道での地区計画などの都市計画の手続きを進めております。
これにより、用地取得交渉に関する地権者の不安を少しでも和らげ、また、秩序ある市街地更新を進めていくことが可能になると考えております。
来年度からは、こうしてこれまで整えてきた制度などを活用しながら、各地域の実情に応じたまちづくり事業を進めていくことが、特定整備路線の事業により、変化する市街地環境への対応策として、また従来から地域に潜在する課題の解決策として重要になってまいります。
したがいまして、区が主体的な役割を担い、区民の皆さんや区内各種団体とも協働することで、10年プロジェクトの期限である平成32年度まで集中的な対策を講じるとともに、平成33年度以降についても継続して、区内各地での街づくりを進めてまいります。
そして何よりもW.H.O セーフコミュニティ国際認証都市であります本区にとって区民の皆様の安全・安心の確保は、最大の責務であり、基本的な使命であるという考えを念頭において、東京都とより一層の連携を図りながら、10年プロジェクトに取り組んでまいります。

『木下質問』
私は、東京都に対してこの事業が予定通り実現できる体制強化、適切な人的、予算的な措置を強く求めることを要望します。答弁をお願いします。

【高野区長答弁】次に、特定整備路線の進捗状況と東京都の体制強化等の要望についてのご質問にお答えいたします。
補助172号線については、東京都が東京都道路整備保全公社に対して、測量・用地取得等の業務を委託し、事業を進めています。現在の状況は、約8割の用地測量が終了し、全ての権利者に対する意向調査により、早期契約を希望する方に対して、まず先行して、補償費算定のための物件調査と土地評価を行っている段階です。
こうした作業は、個々の事情により3か月から6か月程度の期間を要すると東京都から伺っておりますので、今後は順次、補償金額を提示するなど、用地取得交渉の段階に入っていくものと考えております。
このように、用地取得交渉が本格化する時期を迎え、東京都では、第四建設事務所の組織と人員の強化策を講じています。具体的には、用地折衝にあたる部署を本年度拡充し、組織を2つに分け、平成25年度と比較すると38名の増員を図り、また、各路線を幾つかの区間に分け、専属の担当者を配置するなど、効果的な事業執行に努めていると聞いております。
また、補助172号線については、東京都道路整備保全公社に業務を委託することで、区内の特定整備路線の事業を同時に進めていく体制としています。
しかしながら、最も大事な点は、人員を増やすのみならず、職員一人ひとりが、個々の権利者の立場にたって、親身な対応を心掛けることだと考えます。
今後、東京都には、こうした権利者に寄り添った対応ができるよう、区との連携も含めて、体制や予算等の強化策を検討するよう区として働きかけてまいります。

『木下質問』
更に、現在本事業が地権者にとって重要な時期にきており、個別の相談生活再建についての具体的なお話をする段階になったことを、東京都とよく協議して、少なくとも地権者に、積極的にお知らせをすることが必要と考えます。「大事な時に来た」という事実をお伝えした上で、あとは地権者のご判断に任せる、まずは最低限の説明責任をしっかりはたすように、区がバックアップするよう要望します。

【高野区長答弁】

次に、都の説明責任への区の働かきかけについてのご質問にお答えいたします。
現在、東京都は、早期契約の希望者を対象に補償費算定のための物件調査や土地評価を行っております。このため、この対象ではない路線全体の権利者にとっては、現在の進捗状況が分かりづらくなっているものと考えております。
本区としても、地域の方々から、現在の都の用地取得に関する状況が見えないといった声をお聞きしておりますし、こうした不安を少しでも解消することで、区と都の双方の事業を円滑に進めていくことが必要であると考えておりますので、こうした認識を都と共有するとともに、都に対して、進捗状況の周知方法の検討をお願いし、本区としても区の発行するまちづくりニュースを活用して、現在の用地取得に関する情報を周知するなど、都との連携をさらに強めてまいります。

『木下質問』
重要な事柄を知らない関係住民も数多くいることから、区としてもできる範囲で「一声かける」、声掛けをぜひ実施してほしいと思いますがご見解を伺います。

【高野区長答弁】次に、区としての声掛けの実施についてのご質問にお答えします。
区ではこれまでも、地区計画策定に向けた説明会や小規模なまちづくり懇談会等で、東京都にアドバイザーとして参加をいただき、用地に関するご相談などに個別に対応を図ってまいりました。
しかしながら、まだまだ道路整備の進捗等の情報が権利者の方々に行きわたっていないとのお声をいただいておりますので、今後は、区と都の両者が、区政連絡会への出席や出前講座、ミニ懇談会の開催回数を増やすなどにより、町会長など地域の代表者や権利者の方々に対して、直接、話しかけていく機会を増やすことで、さらに地域の方々との連携を深めていく方策を検討してまいります。

『木下質問』
続いて、2025年問題など、超高齢社会が加速する中、支援が必要な方をどう地域で見守り支えあっていくか?施設面での整備と介護・医療・介護予防等サービス面での充実とそれぞれの人材確保。地域の支えあい、見守り支援の地域協力員の力量等々、官においても民においても地域においても、すべてのパワーアップを図っていく必要があります。
先の第三回定例会で公明党の西山議員から今後の福祉をめぐる諸課題について、見守り支援事業担当の強化、高齢者・障害者等わかりやすい通報窓口を設置など具体的な提案を含め要望しました。昨日は利根川や江東区で高齢者の悲しい事故が報道されました。
私からは、支援が必要な方の見守り、支えあいについて、日本に古くからある「ご近所」を活用したご近所福祉の検討について提案したいと思います。
50~80世帯の「ご近所の福祉」を推進されている、住民流福祉総合研究所の方からお話しをうかがいました。本区でも他議員から紹介されたことがありますが、今後の地域福祉を考えるうえで重要な視点であると思いますので、改めて紹介させていただきます。
大きな災害が起こるたび「ご近所」という言葉が登場します。夜中の豪雨で防災無線が聞こえず、消防隊のレスキューが間に合わず、ご近所の一声で生命が助かった姿がマスコミに報道されるたび「やっぱりご近所でたすけあわなくちゃ」と痛感するが一月、半年すると忘れてしまう。同代表の木原孝久先生は20年このご近所福祉に取り組み、まず「支え合いマップ」をづくりを普及し、ご近所世話役さんや民生委員さん、福祉サポーターで大きな地図を広げて、見守りの「見える化」をはかってきました。
全国で既に展開された「ご近所福祉活動報告」を見ると、神奈川県の子安地域では、民生委員を交代する際、それまで取り組んでいた住民「支え合いマップ」を引き継ぎに使用。約50世帯ごとに6ブロックに分け、支え合いマップとそれをデジタル化した資料を使用し、民生委員の担当引継ぎを行い、担当が変わっても絶え間ない支え合いの継続ができている。同じく神奈川県三ツ沢地区では、全民生委員が支え合いマップ作りに取り組んでいる。その中で、民生委員全体の意識が変わり、「フォワードからミッドフィルダーへ」(ミッドフィルダ―とはサッカーの司令塔という意味)意識が定着している。
実際の支え合いマップづくりをしてみると、福祉ニーズがゾロゾロでてきます。車のないひとり暮らしが「車がないので買い物や通院に不便」とすると、病院への相乗りなどをしてくれる人を探す。宅配業者に買い物配達を手伝ってもらったり、食料品の車両巡回販売を隣町から来てもらうなどの支援を利用者と家族の要望を細かく聞きながら計画を立てます。
自助、共助、公助のうち町会や近隣の「共助」と個人の「自助」の間に“互助”という圏域を地域が気づき構築していくことを目指します。本区では中学校圏域の総合相談センター、小学校区の区民ひろば、区政連絡会の町会、民生委員さん、2名の見守り支援員等を展開されています。しかしながら2025年問題等を考えた場合、もう一歩、高齢者に寄り添う地域コミュニティつくりが必要と考えます。
そういう観点から、この「ご近所福祉」を視野に入れたコミュニティ作りは大いに参考になり検討すべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。

【副区長答弁】
安心の街づくりについてのご質問のうち、まず、ご近所福祉を視野に入れたコミュニティ作り及びご近所福祉サポーターの検討についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のように、「ご近所福祉」を視野に入れたコミュニティ作りは極めて重要な取り組みと考えております。
本区においても、民生委員の、自主的な取り組みとして、受け持ち地域で、日頃から気にかかるひとり暮らし高齢者などのマップを作成し、民生委員ご自身が不在の場合などに円滑な対応ができるよう、地区民生委員協議会の会長さんや行政の担当者とそのマップを共有しております。
しかしながら、ご質問にあるようなご近所の皆さまとのマップの共有までは至っておりません。
不十分な点を補完する動きとしては、各地域包括支援センター、すなわち高齢者総合相談センターごとに開催されている地域ケア会議では、町会・商店街や警察なども入っていただいて、気になる事例などの意見交換をしております。
『木下質問』
また、地域見守り・支えあい支援の人材として、本区においても、「ご近所福祉」で活躍されている「ご近所福祉サポーター」を検討すべきと考えますがお考えを伺います。

【副区長答弁】また、「サポーター」といたしましては、豊島区民社会福祉協議会が公募している「地域福祉サポーター」があり、すでに150名ほどの登録をいただいております。
このように、個々の動きとしては、ご近所福祉の方向と合致するものもいくつかあるかと思いますが、従来型の手法だけでは、支援が必要な方の見守り、支え合いの維持が困難になるのも事実であります。ご指摘を踏まえて、より効果的な福祉サポーターの仕組みづくりに今後努めてまいります。
『木下質問』
続いて、安心の街づくりについての3点目、住み慣れた地域で長く住み続けられる地域包括ケアシステムの動きの中で、高齢者の医療、介護、歯科、医薬、リハビリなど患者情報共有システム運用について、国、東京都、関係機関との連携についてお伺いします。
豊島区医師会は全国に先駆けて、医療と介護の専門相談「豊島区在宅医療相談窓口」を平成22年立ち上げ、誰もが安心して在宅医療・介護を受けることができる仕組みつくり構築にむけて先駆的に動き出しました。議会で推進してきた我々も積極的な取り組みに敬意を表しています。
更に、平成24年には「在宅医療地域資源マップ」を発行して、在宅診療医、訪問歯科診療医、在宅服薬薬局、介護関連施設、訪問介護、リハビリステーションの地域資源の情報提供に努められました。「相談窓口」には、東日本大震災後の被災地で地域支援に携わった優秀な医療ソーシャルワーカ―が常駐して子どもから高齢者までの看護や、ご家族の支援に、介護の現場からの問い合わせ、遠方の家族からの相談についても的確対応されており、「不安の無い在宅医療」の努力は大いに評価されています。
区医師会地域医療部の方々を中心に他業種の方々がSNSを使って情報交換する会員サービスも活発に活用され、「在宅医療連携推進会議・交流会」では模擬連携を使ったシステムで訪問診療医と介護等事業者等関係者が実績を報告、単身者在宅の看取りや他職種との連携が可能となりつつあります。
更に、患者情報の総合的なクラウド共有システムについては、東京大学の柏モデルと言われるカナミック方式と他の方式との共有化、統一した環境整備が急がれます。「在宅医療相談窓口」の先生から伺った一例を挙げますと、板橋区と豊島区でシステムが違っており、豊島区内の患者データが長寿医療センターは直接みることができない等、区レベルでの動きだけではどうしようもない問題・課題もあります。
そこで伺います、今後の地域包括ケアシステムにおける他業種の情報共有・在宅医療推進と自治体の連携はなにより重要と考えます。本区として現状と今後の課題をどう認識されているのか伺います。
【高野区長答弁】
次に、地域包括ケアシステムにおける他業種との情報共有等の現状と課題についてのご質問にお答えいたします。
在宅で療養する方にとって、医療と介護が連携し、自分の病状や身体的な状況に合った適切な対応がなされることは、安心して生活していくうえで、とても大切なことです。そして、医療と介護の適切な連携を実現するためには、患者さんに関する情報共有が不可欠なものと認識しております。
現在、23区におきましても、医師会を中心に情報共有システムの運用が進んできておりますが、ご指摘のように、一つの行政区をまたがって医療や介護サービスを受けている方の情報共有のあり方をどうすべきかなど、いくつかおおきな課題がございます。
現在豊島区においては、在宅医療連携推進会議のICT部会に所属する医師会の先生を中心に、複数のシステムを試行的に運用していますが、同様の課題が、医療や介護の現場で把握確認され、そのことが職種間の情報として共有され、ご指摘に愚ながっているものと考えられますので、今後の課題の解決とりわけ情報共有、連携のありかた、手法について、在宅医療連携推進会議での議論を深めてまいります。
『木下質問』
この事業は国、東京都、そして隣接自治体の医療機関などと綿密に連携を取っていく必要があります。また、患者さんの情報共有を考えると個人情報の扱いが、大きな課題として挙げられます、この事業における、個人情報の課題に関して区の認識と今後の検討方針を伺います。
【高野区長答弁】
次に、地域包括ケアシステム事業における個人情報の課題及び今後の検討方針についてのご質問にお答えいたします。
先ほど申しました情報共有システムの課題は、同時に、個人情報保護上の課題でもございます。どのような医療を受け、どのような医療サービスを受けているかということは、重要な個人情報に属するものと考えますが、どの機関の、どのスタッフまでが情報にアクセスできるのかは、厳密に管理する必要があります。特に、複数の自治体にまたがってある医療機関や介護サービス機関を利用する方の情報については、各機関においてその共有が図られることの適否かとともに、共有した場合、その情報の保護がどのように図られることのも課題となってまいります。
また、いわゆるマイナンバーの運用が、今後、どのような方向になっていくのかも、このシステムにかかわってくる可能性大であります。仮に、医療や介護の利用にマイナンバーカードを用いることになると、運用レベルを超えて、システムのあり方自体の再構築が必要となってきます。
地域包括ケアシステム事業の運用や在宅医療の推進は、在宅で療養される方が安心して医療や介護を受けられるよう、個人情報の保護にも十分配慮しながら、情報共有システムの適切な運用も実現にすることが欠かせません。今後適切な運用に向けて精力的に協議を進めてまいります。
『木下質問』
大きな項目の3番目、今後の本区における情報施策について伺います。我々がかねてから推進してきましたICTを活用した区の行政サービスが、新庁舎完成とともに大きく開花し、新しい住民サービスの可能性が広がり、大いに期待されるとともに、関係各位のご努力に敬意を表するものであります。特に、区民の命を守る総合防災システムには全国の大勢の自治体関係者の注目を浴びており、我々議員のもとにも問い合わせ、讃嘆する声が届いており大いに評価されるところです。私が初当選した平成7年、初めての決算委員会で、当時の加藤区長さんはじめ全理事者の方にe-mailアドレスをお持ちの方を聞いたところ、数名の手しか挙がらなかった時代から考えると隔世の感があります。
豊島区におけるICT化・情報施策は、これまで「行政情報化計画」を進めるために、2回にわたり年度計画を策定してこられ、時々の財政状況を勘案しながら、施策を進めてこられました。
平成18年度から平成22年度までを範囲とした「豊島区行政情報化実施計画」では、ひっぱくした財政状況によって、それ以前の他自治体から大きく立ち遅れた情報化を着実に進めることを目標に、文書管理システムや財務会計システムなどの導入を盛り込み取り組んでこられました。
平成23年度から27年度までを期間とした「豊島区第2次行政情報化実施計画」では、庁舎移転を契機に職員のワークスタイル効率化と来庁者へのサービスの向上を実現する事を目標に、情報システム全体の最適化を図り、その基盤の上に総合窓口や総合防災システムを構築することを盛り込みました。
私もいままで、区民サービスの向上と行政の効率化、行政コスト削減に資する情報化の推進を要望してまいりました。区HPの早期実現やICT教育を求め、LANの整備、コールセンター導入、IP電話の導入など推進してきました。
そこで伺います。本年は、第二次行政情報化実施計画の最終年度となり、庁舎移転を終えた現在、今まで取り組んできた2つの情報化計画についての区長の認識と評価を改めて伺います。
【高野区長答弁】
次に、今後の情報施策についてのご質問のうち、まず、2つの情報化計画についての認識と評価についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘にありましたように、豊島区は二次にわたる「行政情報化実施計画」に基づき、10年間で58億円余の積極的な財政投入を行い、ICT環境整備を進めてきました。この施策が新庁舎移転により大きく花開き、総合防災システムや総合窓口システムなど多くのシステムが注目され、全国から視察の申し込みが続いている状況にあります。情報管理課の対応が大きく評価され、国からも注目されております。
2つの計画の達成状況は現在集計中ではございますが、最初の計画に掲載した内容は、庁舎移転までに全て達成することができました。また平成27年度までを対象とした第二次情報化実施計画につきましては、「ICTを活用した高齢者支援」などシステム導入に至っていない項目もありますが、大きな目標は達成できたものと評価しています。
現計画の事業期間が残り4か月ありますので、計画の目標でありました「庁舎移転を契機に職員のワークスタイル効率化と来訪者サービスの向上」をもう一段高め、次にお話しする第三次情報化計画に進みたいと思っております。
『木下質問』
更に、平成28年度以降について、第三次行政情報化実施計画をどのような方針で進めようとしているのか、基本的なお考えを伺います。日進月歩の技術革新の速い分野の計画ということから、具体的にどういう内容を盛り込んでいかれるのか、そして注目されている、マイナンバー制度の活用もどのように計画に盛り込んでいかれるのかお考えをお聞かせ下さい。
【高野区長答弁】
次に、第三次情報化実施計画の方針及びマイナンバー制度の関連等についてのご質問にお答えいたします。
第二次情報化実施計画の最終年度を迎えたことから、現在、平成28年度を起点とした新たな情報化計画を策定するための準備を進めています。
これまでの2つの計画は行政内部の情報化に主眼をおき、職員が高速なネットワーク上で新しいシステムを使うことによって、区民サービスが向上されることを図ってきました。今後はそれとともに地域の情報化が進むよう、基盤の整備も盛り込んでいきたいと考えています。
第二次情報化実施計画で掲げました「区民の利便性向上」「行政事務の効率化と高度化」「地域社会の活性化」「信頼性・安全性の向上」という4つの目標は維持しつつ、この度構築しました「としまフリーWi-Fi」などの情報通信を活用した区民活動の活性化なども計画に盛り込めればと考えます。
なお、ご質問にありましたマイナンバー制度を活用した情報化戦略の動向は次期計画に大きな影響を及ぼすことはいうまでもありません。情報システムに個人番号を保有する場合にはセキュリティ面で細心の注意を施さなければいけませんが、一方でマイナンバーカードを活用して地域活性化を図るなど、新たな計画にマイナンバー活用を盛り込むことを検討してまいります。

『木下質問』
最後にその他として、18歳以上の選挙権が付与される新しい選挙制度が、来年夏の参議院選挙から実施されます。主権者教育の充実が望まれますが、特に期日前投票所の拡大について改めて要望します。我が党議員からもかねてから指摘し、他の議員さんからもご発言があったことは承知していますが、先日若い大学生の方から朝の街頭演説中に要望されました。投票所が便利な場所にあれば平日・夜間でも行けるとのことでした。
本区の特性であるターミナル池袋駅周辺の利便性の高い場所や、各大学での実施を要望します。

【選管局長答弁】
引き続きまして、選挙管理委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。
新しい選挙制度についてのご質問のうち、期日前投票所を池袋駅周辺、大学、区民事務所等に拡大することについてのご質問にお答えいたします。
本区の期日前投票所はこれまで、区民センター、東西区民事務所、池袋図書館の4か所で設置してまいりました。池袋図書館を除いては決して駅から離れているわけではなく、利便性は高いと思っております。また、期日前投票所での投票率も毎回伸びております。しかし、全体の投票率は豊島区においても低下傾向が止まらないのが現状です。このため、さらに利便性の高い場所に、具体的には池袋駅の西武、東武の両百貨店に期日前投票所の設置をお願いしているところです。両百貨店からは前向きなお答えをいただいており、まだ確定はしておりませんが来年の参議院選挙には開設できるよう努力してまいります。実現できれば区民の皆様にとって大きく利便性が向上すると考えております。
大学での期日前投票所の設置につきましては、現在、高知大学や山口大学等いくつかの大学で実施されており、広がる傾向を見せております。しかし、開設期間が2日から3日であること、開設時間も10時から17時までと非常に短期間となっています。地方の大学では、地元の学生が多いという状況があるため、短期間でも投票率向上に効果があるといえますが、都心の大学では例がありません。このため、どのような形で開設すれば最も効果的なのかを考えていく中で、その必要性を検討していきたいと存じます。
『木下質問』
また、公示の翌日は1か所だけですが、他の区民事務所等の実施を早めることも要望します。ご答弁を願います。70年ぶりに大きく代わる選挙法改正の今をチャンスとして、より広範な区民、特に若年層の政治参加の環境を整えていただくよう要望します。以上で私の一般質問全部を終了します。ご清聴誠にありがとうございました。

【選管局長答弁】
区民事務所等で公告示日の翌日から期日前投票所を開設することに関しては、投票管理者、立会人、従事職員の確保や施設の確保等、現時点では課題が多く、今後の検討課題とさせていただきます。
より広範な区民、特に若年層の政治参加の環境を整えていくことに関しましては、選挙管理委員会では、若年層がより投票しやすい環境の整備と選挙の大切さを理解してもらう啓発活動が重要だと考えております。
そのため、今年度から都立高校での啓発活動を開始いたしました。選挙に関する出前講座や本物の記載台、投票箱等使用した模擬選挙を実施し、少しでも選挙制度を理解してもらうとともに棄権することのないよう、お話ししているところです。
また、現在は大学生を中心とした投票率向上に取り組んでいるNPO組織が多数存在します。12月に実施する予定の千早高校での啓発事業にご協力いただくことになっておりますが、今後はこうしたNPO組織と協働し、若者向けの啓発活動を充実する中で、若年層世代が投票しやすい環境整備に努めてまいります。
以上をもちまして、木下広議員のご質問に対する答弁を終わります。