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平成24年 第1回豊島区議会定例会一般質問 公明党 中島義春

「豊島区を世界一安全なまちに」

平成24年2月21日登壇

私は公明党豊島区議団を代表いたしまして、「豊島区を世界一安全なまちに」と題して、1、平成24年度予算について、2、防災対策について3、省エネ環境施策について4、その他として災害時ホームページ代理掲載について一般質問をいたします。

はじめに平成24年度予算についてお尋ねいたします。

本予算は、区政施行80周年に当たり、セーフコミュニティの認証取得をめざし、同時に欧州経済をはじめ世界的にも厳しい経済情勢の影響が色濃い中で編成されることとなりました。また震災を契機とした防災対策も加わり「安全・安心創造都市」の実現に重点的に取り組むこととし、さらに1億2千万円を超える80周年記念関連事業も計上しております。しかしながら、厳しい財政状況の中で限られた財源を充てて執行するからには、一時的、単発的な事業でなく将来にわたって区民の安全・安心を確保していくものでなければなりません。

セーフコミュニティを構成する各事業の内容については、これまでも我が会派が訴えてきた取り組みであることから承知はしておりますが、本予算が区民の安全・安心を持続的に推進していけるものとして、その具体的な取り組み内容や特徴について、まずはお聞かせ願います。

次に今後の財源対策についてお伺いいたします。本予算は当初算定の段階で約56億円の財源不足が見込まれ、財調基金の取崩しや起債の追加、施設改修の先送りなどの財源対策を行ったとお聞きしております。今回、特別区民税の増加も所得増によるものでなく、年少扶養控除の廃止や特定扶養控除縮減による、税制改正の影響であり、25年度以降については、現状の経済状況のままであれば、他の歳入科目についても減収が見込まれ、加えて国民健康保険事業など特別会計への繰出し金は増加の一途をたどり、生活保護費や他の福祉費の歳出も景気低迷、高齢化の影響が年ごとに拡大していくわけであります。

また、財政難により「緊急財政対策本部」を設置した目黒区の平成24年度末の財調基金見込み額は、48億円あるのに対し、本区の見込み額は、目黒区よりなお低い34億円であります。そのような環境の中で、今後5年先、10年先の財政状況はどのようになっていくのかが懸念されるわけです。

そこで対策として考えられるのが、第1に施設改修の大幅な見直しであります。本区が示す公共施設の再構築・区有財産の活用計画には、今後の財政上、実現の見込みが疑わしいものも見受けられますが、いかかでしょうか。しかしながら同時に区民生活の活性化を損なうことなく見直しを行うためには、これまでにない方法で区民の理解を得、その生活実態を掌握していくことも求められます。今後の公共施設の再構築・区有財産の活用について、どのように取り組んでいくおつもりなのかお答えくだい。

第2に全ての事業の総点検であります。本区の方針としても持続可能な財政基盤を確保するためにすでに25年度以降の予算の検討に着手し、歳入歳出全般にわたり、聖域なく事業の総点検を行うとのことです。

また、これまでにもビルド・アンド・スクラップによる事業再構築に取り組んでまいりましたが、さらに掘り下げて区民生活にとって真に求められている事業とそうでない事業を峻別し、再構築していかねばなりません。

そこでこの総点検の取組み内容についてお示し願います。さらに、この事業の総点検の方法のひとつとして挙げられるのが外部あるいは第3者による事業評価です。これも現場の実態を十分に掌握していない人が行っても逆効果であり、区民生活と行政執行の両方の現場を知悉している人が行う必要があると考えます。また、あの「事業仕分け」に見られたような、単に行政が行う事業について対立構造的な評価でなく、共に区民生活の将来を見据えて取り組む共同的な評価が強く求められていると考えます。さらにより多くの人に評価の過程や課題を知ってもらうために、公開性が高まる仕組みにも力を入れなければなりません。こうした観点から本区が今後行うべき外部・第三者評価の方法・手法について具体的にお示し願います。

第3に財政の健全性を堅持するための対策についてお聞きいたします。かつて厳しい行財政改革に取り組まねばならなかった要因としては言うまでもなく、負債の増加であります。しかしながら、本予算編成時のように財源不足を補うためには起債によらねばならないときもあります。しかし今後、これによって財政の健全性が損なわれていくような事態は回避していかねばなりません。すなわち応急措置的な対応ではなく、事前予防的な対応がますます求められているのです。そこで年度ごとの償還計画に基づき、長期的な起債総額を定め、起債限度額を設定する必要があると考えますが、いかかでしょうか。当然、基金の積立目標を設定するのは言うまでもありませんが、これも実現可能な計画を作っていかねばなりません。今後、財政の健全性を堅持するために取り組むべき対策について、お聞かせ願います。

現在、国においては「地域主権型道州制」などの議論が始まっております。今後、いつの日か行政区域が大きく変化していくことも想定されます。そうした時に本区が推進してきた参加と協働やセーフコミュニティに代表される安全・安心を創出する取組みなどが十分に生かされた街であることが、その後に誕生する新たな行政区に大きな影響を与えていくと考えられるのであります。

将来、豊島区の住人であったことを誇りに思えるような、特徴のある街を作り上げておくことが重要であると考えるものです。80周年を迎える平成24年度が未来に向かって意義ある施策の展開を実行する年であることを期待いたします。区長の展望をお聞かせください。

次に防災対策について質問いたします。

私たち公明党は今までの一般質問等でも再三質問してまいりましたが、まず、「木造住宅密集地域の防災対策」について伺います。

東京都は、昨年の東日本大震災を契機に、東京の大きな弱点である木造住宅密集地域の改善をこの10年間で、集中的かつ重点的に取り組み、地域内の不燃化を高めることを発表いたしました。そしてこの1月に「木蜜地域不燃化10年プロジェクト実施方針」を示しております。

それによると、まず「不燃化特区制度」を創設して特区を指定いたします。制度の本格実施は平成25年度からとなっていますが、その前に先行実施する地区、言い換えればモデル的な地区を本年2月に募集し24年度中に選定するとしています。

さて、東大の地震研究所は関東地域の地震発生時期について今後4年間のうち発生確率は70㌫であるという、ショッキングなデータを発表しております。

このようなデータをただ聞き流すわけにはいきません。本区には居住環境総合整備事業地区として東池袋4,5丁目、池袋本町、上池袋の3地区を抱えております。

そこで、このモデル地区ともいえる先行地区の募集に、23区いや日本一稠密都市である本区は積極的に手を挙げていくべきと考えますが、区長の見解をお聞きします。

さらに、本区には染井地区など密集住宅地は多く点在しております。事業中の3地区に当たらない密集住宅地域についても、今後どのように改善していくのか、本区独自の整備方針について基本的な考えをお聞きします。

次に都の不燃化特区のスキームについてお尋ねします。この事業の骨子を見ますとコア事業を1つ以上含むことが要件となっています。東池袋地区であれば現在行なわれている都市計画道路81号線がコア事業にあたると思います。また上池袋、池袋本町地区には都市計画道路補助73号線・補助82号線があります。これが整備されれば地域の不燃化推進に向け大きく前進するものと確信いたします。それに伴ってさらにJR、東武線の踏み切りの立体交差化が行なわれれば開かずの踏み切り解消にもつながります。都は整備地域内の主要な都市計画道路を指定し、整備を加速させるとしていますが、まさしく上池袋、池袋本町地域がそれにあたると考えますがいかがでしょうか。

また、東池袋で事業中の防災道路BC路線整備事業は、都市計画道路と違い、強制力がないため、道路拡幅の進み方はきわめてゆっくりですが、過日、財産価格審議会の一員として現地を見まして、事業が一歩一歩着実に進捗していることを実感いたしました。これからも、引き続き推進していくべきです。

今までの対策では、居住者の高齢化、建て替え意欲の低下、敷地が狭小で建て替えが困難、権利関係が複雑で合意形成に時間がかかり、不燃化促進が思うように進みませんでした。特に、個々人の立場が違えば、共同化等に向けた合意形成を得ることはまさに至難の業となっています。

そこでお聞きします。今回の東京都のプロジェクトについてでありますが、これに対応して区も独自の具体的な提案を作成し、都に働き掛けていただきたいと強く要望いたします。基礎自治体としての区は、地域の住民とフェイストウフェイスで付き合ってきた実績があります。都の事業であるとはいえ、地域住民の合意形成を得ることに側面から区も支援しつつ関与していくべきと考えますが区長の考えをお聞きします。

次に、不燃化促進に係る住民の意識についてお尋ねします。

関係者の合意形成を得るうえで大事な点は木造住宅密集地域の不燃化に対する、意識啓発、危機意識の共有があげられます。前回の質問でもお聞きしましたが、阪神淡路震大震災等を経験された方をお招きしての講演会等、生の声を聞く事業を、地域密着型で行なえるよう行政は支援するべきと考えますがいかがでしょうか。

また住民意識をまず把握することから政策の見直しを始める視点が重要です。そのためには地域住民の意識、考え方を知るためのアンケート等も必要でしょう。上池袋1丁目では、道路幅員が1メートルにも満たない道路沿いの居住者に3年前アンケートを取りました。しかし、その後なんら進展がありません。アンケートのとりっぱなしになってしまっているのではないかと危惧されます。街づくり協議会のような大きな範囲では、地域内での不燃化の進み具合はまちまちであるため危機感も違います。狭隘道路沿いの周辺住民を対象に勉強会のようなものを立ち上げることに、区は支援すべきと考えますがいかがでしょうか。知識や経験がある区行政が積極的に関わることが求められていると考えます。将来的には建物の共同化、地区計画の策定など地域全体のゾーンを整備して不燃化等防災政策を進めていくべきと考えますが、お考えをお聞きします。

昨年の決算の時にも質問いたしましたが、木造住宅耐震改修助成制度について伺います。木造住宅密集地域には狭隘道路が多く、この制度が使えず避難路をふさぐ恐れがあります。建築法令に適合していない不適格建物が数多く存在し、区は不適格建物への耐震改修助成は個人の資産形成につながるとして、躊躇していますが、国では防災に関して、その考えが改められつつあります。災害後の復興費と平時における減災対策として支出する費用を比較すると、圧倒的に減災のための費用のほうが少ないのです。不燃化を促進するうえから要件緩和は必要と考えますがいかがでしょうか。

また東池袋地区の防災道路整備事業を他地区にもひろめ、道路整備事業として指定した道路沿いの土地を積極的に購入すべきと考えます。今後どのような地域にひろげていくつもりがあるかお伺いいたします。

さらに意識啓発の一環として平成21年~22年にかけて上池袋2丁目、3丁目で「復興街づくり訓練」がおこなわれました。これは震災後2ヶ月目を想定して、街をどのようにするか、住民と区と街づくりの専門家のあいだで復興プランを練り上げるというものでしたが、現状把握からスタートし、災害後の倒壊家屋等を想定、復興するにあたり公共施設の公園、道路の確保、復興共同住宅等をどうするかなど住民が考えることで、大変有効なシミュレーションであったと評価しております。

この訓練に、スタッフ要員として参加した阪神淡路大震災で被災された方は、「訓練で、今、皆さんが言っていることは、実際に、阪神淡路大震災の復興の際に住民の皆さんから言われた意見と同じです」という感想がありました。平常時からこのような訓練を行なうことは現状を知るいい機会になり、いざ災害時に大いに役立つことと思います。安全な街を作るうえで今何をしなければいけないのかという行動を促すきっかけにもなるでしょう。

防災意識を高めていくための今後の計画について区長のお考えをお聞きします。

次に、マンション対策について防災面からお尋ねいたします。

私は昨年防災・震災対策調査特別委員会の委員長として仙台市、釜石市を委員のみなさんと視察してまいりました。14年ぶりの行政視察が各委員皆様の合意のもと実施できたこと感謝申し上げます。首都圏においても近い将来、大地震が発生するといわれている私たちにとって、東日本大地震は他人事でなく、その規模の大きさ、被害が今までの想定をはるかに超えるものであったことなどは、今後の豊島区の防災・震災対策に活かせるものと確信いたします。

「百聞は一見に如かず」、体験された方々の生の声はいつまでも大切にしたいたいと思います。中でも都市型災害ということで、仙台市で2箇所のマンションを視察いたしました。

最初に長町街苑パークマンションを拝見いたしました。土台部分が液状化現象により被害を受けておりました。周辺の土地が沈下することで壁が崩れておりました。震災後は居住者が1階の防災センターや2階の集会所を活用し、各戸から食料を持ち寄り、炊き出しを行ったとのことでした。またガスは都市ガスが止まったものの、管理人室のプロパンガスを活用できたことが自主活動を可能としたのでした。マンションの住民は災害前においても訓練されておられたとのことでしたが今回のような事態を想定した訓練はしておりません。にもかかわらず混乱もなく比較的スムーズに避難や炊き出しができたのは、居住者同士日ごろから面識があり、絆があったからではないかと考えます。

次に訪れたサニーハイツ高砂というマンションは、廊下等で繋がる実質2棟からなる建物でした。しかし、地震による倒壊の現象が顕著に見て取れました。この2つ建物の距離は地上付近で20cmほどの隙間であるのに対し、14階上の屋上で見ると1メートル近くにもなっており、全体が大きく傾いていることを確認しました。

各戸の玄関脇の壁の崩壊や部屋における傾きは想像以上のもので、とても住みつづけることは難しいと思われました。近く取り壊される予定と伺いましたが、この取り壊しの決定に至る合意形成のスムーズさは奇跡とも言えるものです。

マンションの自治会長は日ごろからこまめに住民間の意思疎通を図っていたことから、「マンションの取壊し」という結論を全員の要望としてまとめることが出来たとのことでした。居住者の多くは高齢で、中には外国に滞在している方もおらようです。それぞれの立場の違いから合意形成には困難を伴うことが予想されましたが、自治会長と居住者の間には日頃から信頼関係が形成されており、それがスムーズに合意ができたものとわかりました。

さらに、今回の視察では、津波による大きな被害を出した釜石市を訪れました。特に被害が大きかった鵜住居地区では鵜住居小学校、東中学校の子どもたちが日頃からおこなっている防災教育が生かされ、率先実行した避難者として活躍したことは、震災にあって大変明るくうれしいニュースでした。両学校とも膨大ながれき共々、廃墟と化していましたが、津波は学校を丸呑みしたのみならず1次避難場所2次避難場所近くまで押し寄せ、子どもたちが逃げた最終避難場所を見させていただき、子どもたちの機転の利いた行動がなければ大惨事につながったことが容易に想像できました。

また、釜石市のボランティアセンターにおける支援の業務の様子やプラットホーム・スクウエア(千代田区:非営利型株式会社)によるキッチンカー・プロジェクトによる釜石復興への支援活動を傍らで拝見させていただきました。

このように大変有意義な視察でありましたが、マンション対策に絞って申し上げますと、「実践的な訓練と命を守るためにはどうしたらいいか」、このことを日ごろから各個人が考えることが何より必要ではないかということです。そのためには、コミュニティの活性化により地域力をつけることが必要と考えます。地縁団体として活動している町会をはじめ防犯活動団体等の横のつながりをさらに強めていくことが重要ではないかとの思いを深くいたしました。

本区の分譲マンション実態調査報告書にも、マンションのコミュニティ力不足の課題が述べられています。

マンション管理への住民の関心の低さやマンション居住者間及び地域とのつながりが希薄なこと、さらには、防災訓練の実施率の低さ等々はマンションを巡る課題でり、今回、仙台市のマンション管理組合長さんの話をお聞きし、再認識いたしました。

豊島区のマンション住民が抱える諸課題を何とかしなければ大震災が起こった時に取り返しのつかない被害や二次被害を引き起こすのではないかと痛切に感じました。

防災の意識啓発をうながすために各マンションの防災訓練やマンション住民同士や地域の住民との交流を深めているイベントなどをホームページで紹介するようなことでマンション住民の意識を変えていくことが重要ではないでしょうか。

またマンション管理組合の方々が相互に情報交換できるような場と機会を区はどんどん提供していくべきではないでしょうか。

世田谷区では3月に区内の分譲マンション管理組合役員や入居者らを対象とする「マンション交流会(仮称)」発足させます。そこでは大規模修繕や維持管理など分譲マンションが抱える課題について、それぞれのマンションでの事例を情報交換するほか、講演会、管理会社や法制度の情報提供などが行なわれます。

また江東区でも「無関心なマンション住民をどう引きき込むかなど、同じ目線で悩みを共有できる」マンション同士の交流の場を設けています。さらに中央区でも行なっており、各区とも意識啓発の場をもうけています。これらの取り組みは、来るべき災害に備えるばかりでなく、地域でより豊かなに暮らすうえで必要なことと私は考えます。

そこでお聞きいたします。本区はマンション条例を策定するとお聞きしましたが、このような私の提案を含め、この条例でどのような目的で、マンション住民にどのような行動を期待して制度化を図るお考えなのかをお聞きします。

マンション対策の最後ですが、品川区は17日、民間マンションと大規模災害時に避難所として施設の一部を提供してもらう協定を締結しました。23区では、行政と民間マンションの管理組合が避難所用の施設提供で協定を結ぶのは初めてです。災害時の避難所を増やすなど、面的な地域防災体制の構築には、今回のケースのような民間との連携が鍵になると考えます。運営等に関しては責任範囲の明確化や居住者の権利保護などについて十分に配慮していくことが必要になるとおもいますが、池袋駅など大勢の帰宅困難者が予想される本区でもこのような取り組みが必要と考えます。

大災害を想定して、マンションなどの建物、マンション住民が公共のためにどのような関与の仕方が望ましいのか、地域社会を統括するものとして、また防災対策本部本部長として区長はどのように考えているかお伺いいたします。

次に、災害時のヘリコプターの活動拠点の確保についてお聞きします。

阪神淡路大震災、新潟中越地震、東日本大震災においてヘリコプターは人命救助、物資の搬送等大変な活躍をしております。

東京都の地域防災計画では、迅速な救出・救助、消防活動、物資輸送等に資するためにヘリコプターの緊急離着陸場所を国や区市町村及び関係機関と協議のうえ、あらかじめ確保する、としております。

しかしながら、本区内には離発着が可能なヘリポートがまったくありません。健康診査センターのビルの屋上にはヘリポートはありますが、大震災時、エレベーターが使えないことが予想され、一刻も争う救急患者を屋上のヘリポートまで搬送できるでしょうか。災害の時間帯によっては救急車両の活動も制限される可能性があります。ヘリコプターによる緊急患者・物資の輸送、消火活動などのために、区内にヘリポートの確保は必要であると考えます。都の防災計画には大学や都立高校のグランドなどをヘリポートとして指定しているところもあり。面積も3000㎡ぐらいの大きさで指定されています。本区でも例えば学習院大学や都立高校などに協力を依頼できないものでしょうか。

区内でのヘリポートの必要性と、今後どのように取り組まれるかお伺いいたします。

あわせて、震災時に、ヘリコプター等による上空から被害状況を確認することは、地上の救助機関や災害対策本部と連携し、迅速・効率的な応急対策活動が可能となります。

そのためにも、区の避難施設となる、救援センター等の屋上に、上空から視認できる施設名などを表示するヘリサインの設置が必要と考えますが区の見解をお聞きします。

次に防災に関する福祉的配慮の推進について質問します。

東日本大震災の発生に伴い、障がい者を取り巻く防災対策や避難支援計画の“不備”が浮き彫りになっております。津波被害を免れた自宅で生活を続ける“在宅障がい者”も同様に、行政の支援から取り残された、と聞き及んでいます

「周りに迷惑が掛かるから…」とやむなく避難所から自宅へ引き返す災害弱者の方々もおります。

震災など自然災害のたびに、多くの障がい者が犠牲になり、被災後の支援も行き届かないケースが後を絶ちません。

さらに避難所では、公平・平等との理念の中で、障がい者を含む緊急性の高い災害弱者に対して即応できていない課題もあります。今こそ、当事者の声をもとに、災害時に福祉的配慮を推進する計画が必要と考えます。

昨年第4回定例会では、わが会派の一般質問において、障がい者をはじめとする災害弱者向けの防災ガイドラインの作成や、実践的な避難・誘導訓練の実施について提案をさせていただきました。

本区においても地域防災計画の段階的改定の検討が進んでおりますが、福祉救援センターの設置については、知的障がい者や自閉症の方など、指定救援センターへの避難が困難な方にとって不可欠であり、災害時支援物資の備蓄や自家発電機の設置等の体制をさらにきめ細かく整備すべきと考えます。

また認知症高齢者や妊産婦、乳幼児、病弱者など一般の救援センターでは生活に支障をきたすことの多い要援護者の為にも配慮が必要ではないでしょうか。

今後の福祉救援センターのあり方について、福祉的視点でのご見解を伺います

次に民間入所施設等への支援体制の整備について質問します。

災害時において、グループホーム等の施設使用が可能な場合でも、介護及び援助を継続しながら、途絶したライフラインに起因する生活物資の確保を施設職員のみで担うことは多大な困難が予想されます。

民間福祉施設等への避難者支援体制について、人的支援など、体制整備についてお考えを伺います。

次に在宅要介護者の生活支援について質問します。

東日本大震災では多くの介護職員が家を流されるなど被災したため、深刻な人手不足に陥り、「災害時には、緊急医療と同様に“緊急介護”も必要だと痛感した」との報道もありました。また物流の途絶により通常備蓄している介護用品などの不足や要介護者のもとに届かない課題も浮き彫りになりました。

在宅要介護者にとって、被災直後から困ることは、「排泄ケア」「食事ケア」「清潔ケア」が主な課題です。これら在宅要介護者に対する生活支援についても、災害時支援措置が講じられるよう計画されるべきと考えますが、ご見解を伺います。

次に人工透析・酸素吸引者への支援体制の整備について質問します。

東日本大震災でも、人工透析や酸素吸引を必要とする人たちへの対応の必要性があらためて浮き彫りになりました。ライフラインの途絶や交通機関の停止が長期化した場合、生死にかかわる事態にもなりかねません。

人工透析・酸素吸引者への支援体制についても整備する必要性があると考えます。ご見解を伺います。

次に、電力・省エネ・環境施策について質問いたします。

東日本大震災に伴う電力危機の問題により、特に昨年の夏は企業や家庭が工夫して節電に取り組みました。また、お隣の練馬区では、特定規模電気事業者(PPS)を含めた一般競争入札で、一部の公共施設の2012年度の電力を購入すると発表しました。年間約1300万円の経費削減を見込むとしています。

対象は、小中学校や地区区民館など計123カ所で、年間電力使用量は計約2000万キロワット時で、区はこれまで東京電力から約4億6000万円で購入していました。

もともと練馬区は2010年度から、区内の一部施設でPPSからの電力購入を始めており、経費削減効果が認められたことから、今回大規模な入札に踏み切ったとのことです。

PPSはガス会社や商社などが設立。火力などを使い、自前施設で発電しており、全国に約50社あります。東京23区内では世田谷区も12年度から一部の公共施設の電力を、PPSを含めた希望制指名競争入札により購入する方針を打ち出しているとのことで、同様の動きは都内19区でもなされているとマスコミ報道がされています。

今後もCO2削減という視点も含め、節電対策は継続していくものと考えられます。単に、我慢して節電するというのではなく、努力すればするほどメリットがあるというような配慮も必要であります。今夏は、家庭及び企業において、節電対策への取り組みにさまざまな工夫がなされたと思います。

そこで伺います、そうした有効な身近でできる節電対策の取り組みを区民や事業所に紹介できるようなパンフレットやホームページでの紹介を行うべきと考えます御見解をお聞かせください。

また、3.11以降、本区での節電対策の実績と、節電を実施しての総括をお示し下さい。区民に節電をよびかける以上、公共施設の節電計画を明らかにすることは重要なことであると考えますが、今後の公共施設のエネルギー施策とともに、どう区民に呼び掛けていくのかお示し下さい。

更に、本区おいても、練馬区や世田谷区と同様に電力入札を実施すべきであると思われますが、お考えを伺います。

次に、建築物における先進環境技術の導入についてお尋ねいたします。

東京都は、東北震災前から、公共施設の省エネ性能を向上させるため、最新の省エネ設備や多様な再生可能エネルギー設備を盛り込んだ「省エネ・再エネ東京仕様」を策定し、電力使用量とCO2削減量のさらなる削減を目指しております。

その中でも、最近注目を集めている自然換気機能を設置することにより、施設運営の面において熱源3%、冷房空調の動力12%と、合計で約15%の省エネにつながると言われております。さらに、民間団体の調査によりますと、居室床面積一万平米クラスのオフィスビルで1時間に3回の換気を行うと、快適性はもとより、CO2排出削減量換算で年間49トンの削減効果があると試算しております。

今後の節電を考えた場合、風という自然の力を活用した、自然換気機能の採用などは更に重要だと考えます。

そこで伺います。本区においても一部の施設で実績があると伺っていますが、先進環境技術を今後の公共施設及び民間の建築物に対し、積極的に採用し、周知していくべきと考えます。御見解をお聞かせください。

また、既存公共施設のCO2削減や耐震化を進めるにあったって、窓ガラスや電球など非構造物に対しても注目が集まってきました。特に高性能なフィルム=エコフィルムは、紫外線、赤外線を大幅にカットし、且つ災害時の飛散防止の役割を果すことができます。名古屋大学が民間と共同で開発した同フィルムは、通常のガラスと比較して近赤外線=熱源等を85%、紫外線を99%カットし、3.11以降の節電対策で中部地方の公共施設の節電、省エネ対策で爆発的に増えているとのことです。

学校や高齢者施設の弱者を災害から守るという観点と、施設内の冷暖房に使われる光熱費・CO2削減という観点からも、大いに有効と考えられます。新しく整備する施設はもちろん、既存施設への設置を進めるべきと考えますがお考えを伺います。

最後にその他として、遠隔地の自治体と連携して災害時ホームページ代理掲載について、お尋ねいたします。

東日本大震災をきっかけに、災害情報の発信機能の確保が重要なテーマになっています。

役所が甚大な被害を受けた際に、HPの更新用サーバも使用不能になる可能性もあり、そうした非常時に住民への情報発信手段が断たれることを防ぐ有効な手段として、今、注目されているのが、災害時に遠隔地の自治体にホームページを代理掲載してもらう仕組みです。

実際に今年の「3.11」の際、甚大な被害を被った岩手県、宮城県、福島県の各市町村のウェブサイトは、発災直後から、サーバ・通信機器・通信回線の損壊やアクセス急増などの影響で、閲覧できない状態が続きました。

そのような状況の中、被災地の一つである宮城県大崎市では、平成12年に姉妹都市の締結を結んだ北海道・当別町との連携・協力により、震災当日から当別町のウェブサイトに「大崎市災害情報(大崎市災害対策本部)」ページを開設してもらい、被害の状況、避難所の情報、ライフラインに関する情報を途絶えることなく、毎日発信し続けることができました。

現在、多くの自治体では、周辺の市町村が同じシステムを共有したり、同じ施設を共同で用いたり、相互に連携する対策を講じていますが、東日本大震災のように被災地域が広域にわたると、近隣自治体間では、お互いを助け合える状況ではなく、的確な情報発信が困難になりかねません。

大規模災害では、むしろ離れた自治体の方が頼りになる可能性が高く、姉妹都市、友好都市など、遠隔地でありながら定期的に人が行き来して交流を深めている自治体と災害時の協定を整えていくことが重要であることは、今回の震災で得た教訓の一つでもあります。

本区では、既に自治体間で災害協定を結ぶなど十分な対応がなされていますが、ホームページの代理掲載などを含め、今一度、災害時の協力体制を見直す機会ととらえていただきたいと考えますが、お考えをお聞きします。

本区は、今年区政80周年を迎え、WHO認証のセーフコミュニティ取得のための、現地視察も過日おこなわれ、認証取得に大きく前進いたしました。防災面からも、世界一安全なまちにすべく、高野区長ともども我が会派団結してがんばって参ります。以上を持ちまして、私の一般質問を終わります。長時間、ご清聴ありがとうございました。

平成24年第一回定例会中島義春質問に対する答弁(2012.2月21日)

高野区長答弁

ただいまの中島義春 議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

平成24年度予算についてのご質問のうち、まず、区民の安全・安心を持続的に推進する取り組み内容と特徴についてのご質問にお答えいたします。

中島議員がおっしゃるように、公明党の会派の皆さまは、特に高齢者や子どもの問題、自殺あるいは児童虐待、そしてがん対策など社会的に弱い立場にある方々への活動を続けてこられました。これは正に、WHOセーフコミュニティの考え方と同じ視点にたつものであると思っております。

おっしゃるように、豊島区を世界一安全なまちに向けて最大限の努力をしたいと思っております。それでは、お答えに入らせていただきます。

具体的な展開としては、セーフコミュニティの実現に関しては、「高齢者、障害者」「都市環境」「子ども」「心身の健康」の四葉のクローバーになぞらえた四つの分野にわたり11項目を重点的に展開してまいります。区政における、すべての分野を網羅しているといって過言ではありません。

これらの分野の既存事業に加え、セーフコミュニティの原動力である地域力の活性化を促すために、キーステーションに位置づけている区民ひろばでの「地域のきずな推進プロジェクト」をはじめ、40項目もの新規拡充事業を計上しました。

特徴としては、東日本大震災を教訓にして、高度な防災機能を備えた都市づくりは、まさに最優先で取り組まなければならない喫緊の課題であります。従って、帰宅困難者対策、自助共助の育成、情報基盤整備など、新たに20事業、約3億円を計上しました。また、さらに新たに策定した「総合的な震災対策の推進に向けた基本方針」を未来戦略推進プランに位置づけることによって、まさに「待ったなし」の首都直下地震に備えるべく、震災対策の強化に向けた取り組みを着実にかつ積極的に進めていくこととしております。

セーフコミュニティはコミュニティ・地域の絆の回復という豊島区にとっての最も基本的な課題に対応する「まちづくり活動」であり、ご指摘のように、持続的に推進していくことが、なによりも、重要であると考えています。

認証の取得自体は、決してゴールではなく、新たなスタートでもあります。セーフコミュニティの定着と区民のみなさんとの協働による取組みの拡大を図りながら、次の再認証に向けて、これまでの活動によって生まれた波を持続するとともに、さらに大きなうねりにしてまいりたいと考えています。

次に、公共施設の再構築・区有財産の活用の状況についてのご質問にお答えします。

本区では、平成15年10月に「公共施設の再構築・区有財産の活用(本部案)」を作成しました。

当時は、相当厳しい財政状況の中、財政事情に見合った行財政構造への転換を、新たな目標として成し遂げる必要がありました。そうしたやむにやまれぬ事情があったとはいえ、本区は、比較的早期に施設再構築を行った自治体の一つであったと思っています。

その後、本部案は基本計画へ位置づけられ、現在でも施設整備の基本方針となっています。この基本方針にのっとり、未来戦略推進プランで具体化され、可能なものから実行されています。

まず、施設再構築の現在までの状況ですが、学校跡地の整備計画を例に挙げても、南長崎中央公園・スポーツセンター、(仮称)西部地域複合施設など、計画にそって順調に整備されているものもありますが、高田小学校や第十中学校、朝日中学校などのように予算の関係もあり計画延伸され、いまだ実行されていないものもあります。また千川小学校のように、特別養護老人ホームや保育園の整備を追加するなど区民ニーズへ応えるため、当初の計画を変更したケースもあります。

次に、今後の公共施設の再構築・区有財産の活用への取り組みについてのご質問にお答えいたします。今後の財政状況や地域の区民の皆さまの要望、需要の実態等を十分精査し、慎重に検討してまいりたいと考えています。

それらに関連して、平成24年度には5年ぶりに施設白書の更新を予定しております。白書では、再構築計画を検討するうえで必要となる、施設の現状を様々な角度から整理・分析し、区民の方にもわかりやすくお示ししたいと考えています。

次に、総点検の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、歳入・歳出の全般にわたり、聖域なく行う総点検を既に開始しており、各事業の詳細に分け入り、十分な評価を加え、必要な見直しを行ってまいります。

そこでは、コストとサービスを正確に把握して費用対効果を検証するとともに、区有財産の実態を必ず現場でとらえ、資産として本当に有効活用できているか十分に検討することなど、当然、各部局において、全事業にわたって日頃よりなされるべき検証・評価ではありますが、時間の限られる予算編成時期に至ってからではなく、今から、できるところから、総点検を始めようというものであります。

既に、「無駄なし検討委員会」を立ち上げ、「事務の総点検」については成果をあげつつありますし、政策経営部では、外部評価を含む新たな取り組みや「事業総点検」のための総合的なヒアリングなどを準備しながら、同時に政策経営のシステム全体、すなわちビルド・アンド・スクラップの制度や枠配分制度を含む予算編成制度や行政評価、定数管理などのあり方についても、総点検を始めています。また、「施設」、「歳入」、「計画」「システム」の総点検も順次開始しております。

いずれにしましても、単にこの数年間の急場を凌ぐしのぐ ためのみの方策ではなく、将来にわたって持続可能な財政運営を可能にする視点で、全部局の創意工夫を引き出し、低水準の歳入状況でも耐えうる行財政の体質を作ってまいりたいと思っております。

次に、外部・第三者評価についてのご質問にお答えいたします。

本区の行政評価につきましては、すべての事務事業を評価対象としていることから、従前より事業総点検の機能を果たしてきたものと認識しております。

かねてよりご提言をいただいている外部評価につきましては、区としても十分検討を重ね、24年度中に実施することといたしました。

詳細な手法については、さらなる検討が必要と考えておりますが、概要といたしましては、多くの区民の方に参加いただくため、公開の場で実施すること、また評価を単なる意見にとどめず実効性を高め、同時に区として最適の事業運営を図るため有識者、区民、職員が関与する、まさにご指摘の協働型、参加型の評価システムを構築できればと考えております。

次に、起債限度額の設定についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、これまでの本区の財政運営上の教訓として、借金をどのようにコントロールするかということが最も重要な点であると認識しております。教訓をふまえ、現在は、基本計画において、起債残高と基金残高のバランスの回復というものを計画目標として定めております。

従いまして、起債につきましては、可能な限り抑制し、基金残高に至るまで起債残高を下げようと、常に努力しているところでございます。これまでのところ、13年連続で、元金償還額が新たな起債発行額を上回り、残高を下げ続けてきておりますし、予算における起債依存度も今のところ低水準であると認識しております。

しかしながら、厳しい歳入状況が続いており、何より学校改築をはじめとする複数の建設事業があることから、今後の起債発行額は相当に増加することも予想され、計画目標の達成についても、厳しい判断を求められる局面が想定されます。

従いまして、ご提案の「起債限度額」の設定を含め、改めて新規建設・大規模改修など投資的経費の中長期計画を見定めまして、起債のあり方を総点検してまいりたいと思います。

次に、財政の健全性を堅持する取り組みについてのご質問にお答えいたします。

ご指摘の基金積立につきましても、先ほどの起債発行と同様な視点で計画作成に取り組んでまいりたいと思っておりますが、何よりも健全性の堅持に必要なのは、この貯金と借金のコントロールであろうと認識しております。

この点は、行政の場合、民間と異なり、これらが非常に見えにくい制度になっていることから、資産と負債が現在どうなっているのか、将来どうなるのかについて、どこまで「見える化」を図れるかがポイントであると思っております。

本区に限らず債務問題を契機に、発生主義をとらない単式簿記である現在の公会計の方式について、様々な見直しが求められました。本区では、早くから財務諸表の作成・公表を図ってまいりましたし、「固定資産台帳」の整備や基準モデルの導入についての検討にも努めているところでございます。

今後は、単に複式簿記システムの導入を検討するだけでなく、現実に「健全性の堅持」を実現できる実践的なシステムにするため、会計、負債と資産、事業評価にわたる総合的な経営情報システムづくりが必要でございます。今後、政策経営・施設管理全体の総点検を行う中で、十分に検討してまいります。

次に、未来に向かって意義ある施策の展開についてのご質問にお答えいたします。

今、豊島区は、セーフコミュニティの認証取得をはじめ、施策の集大成としての安全・安心創造都市の実現に向けて、まさに官民一体となって取り組んでいることについて、かつてない注目を集めています。

招集挨拶でも申しましたように、今こそ、区民のみなさんが誇りに思えるまち、誰もが訪れたいまちとしての本区のブランド力を高める、まさに千載一遇のチャンスではないかと考えているわけであります。

さらに、政策発信力を強化することにより、シティプロモーションを推進しながら、政策効果を最大限に高めてまいります。

ご指摘いただきましたように、区制施行80周年を迎える平成24年度は、未来に向かってはずみをつけ、大きな一歩を踏み出していく契機の年にしたいと考えています。

 

次に、防災対策についてのご質問にお答えいたします。まず、不燃化特区制度モデル地区への応募についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、当区は多くの木密地域を抱え、道路・公園等の基盤が未整備であるため、防災上大きな課題を抱えております。また、昨年の東日本大震災以降、首都直下型地震発生の可能性が高くなっているとの報道もあり、特に木密地域の災害に対する危険性がより一層危惧されます。今こそこれらの地域の改善についてスピードアップを図る必要があると実感しております。

したがいまして、このたびの東京都のプロジェクトを積極的に活用し、木密対策を強化してまいります。具体的な応募の考え方としましては、第一に、不燃化特区のモデル3地区に現在事業中の東池袋4・5丁目、上池袋、池袋本町の3地区から応募いたします。第二に、モデル地区以外の地区についても、25年度から本格実施となりますので、整備プログラムを作成し、積極的に応募してまいります。

次に、事業地区以外の密集住宅地域の整備方針についてのご質問にお答えいたします。

現在事業中の3地区は、防災・居住環境についての課題が特に多いため、他地区に優先して事業を進めておりますが、その他の木密地区につきましても、課題が多いことは十分認識しております。

したがいまして、こうした地区の改善は、地区特性に応じた手法を用いることが重要と考えており、地域の実情に応じ、新たな地区への木密事業の導入も積極的に検討いたします。また、地区計画制度や東京都の新防火制度も極めて効果的と考えておりますので、こうした制度の活用も積極的に検討してまいります。

次に、都が指定する都市計画道路についてお答えいたします。不燃化特区制度において、整備プログラムの中で定められるコア事業は、都が指定する都市計画道路の拡幅整備事業や市街地再開発事業などの強制力を持った事業であることが要件になります。したがいまして、ご指摘の都市計画道路補助73号線や補助82号線も該当することになり、特に補助73号線については、23年の第4回定例会で整備推進の請願が採択されております。この課題については、地元はもとより、池袋全体のことと考え、池袋西口開発委員会からも強い要望をいただいている訳でございます。今後は、指定に向け、東京都に働きかけてまいります。

次に、区独自策の都への提案についてのご質問にお答えいたします。

地域防災力の向上のためには、地域ごとの課題を十分捉えたうえで、その対策を講じることが不可欠です。したがいまして、地域の課題を熟知しているのが区でありますので、現在の事業が進捗していない原因を一つ一つ分析し、これらの解決策を区の独自施策として提案していきます。都には財政面などの側面支援を要望していくことで効果的かつ現実的な事業促進が可能になると考えております。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたさせます。

 

鮎川都市整備部長答弁

防災対策についてのご質問のうち、まず、震災体験者による講演会等の開催についてのご質問にお答えいたします。

地域の防災力を向上させるためには、住民の危機意識が共有されることが重要であり、いざ災害が発生したときでも、住民の主体的な行動として現れると考えており、また、事前準備も大切であり、発災時には、準備以上のことはできないとも言われております。

したがいまして、これまで上池袋2・3丁目で行われた復興訓練や22回の出前講座を実施してまいりました。今後も、震災復興まちづくり訓練や講演会などで被災者の声を聴くなど、危機意識を共有できるよう支援をしてまいります。

次に、狭隘道路沿道住民を対象とした勉強会及び地域の整備についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘の狭隘道路の沿道住民へのアンケートについては、その時点では残念ながら、現状のままを望む回答が多かったため、その後の取り組みにつながりませんでした。

ご指摘のように、狭あい道路の沿道を集中的に改善するために取り組むことも有効と考えますので、今後は、都の10年プロジェクトの活用を検討し、沿道住民に対して地域の危険性についての勉強会や個別のヒアリングを行うなど、地元の意向の把握、地区計画や新防火規制の導入、建物の共同化など、地域の整備について検討を進めてまいります。

次に、木造住宅耐震改修助成の要件緩和についてのご質問にお答えいたします。

本区の市街地は、木造住宅密集地が約4割を占めており、延焼の拡大が懸念されることや、これら木造密集地を中心に4m未満の道路が多く、地震災害が拡大する可能性が高い地域でありますので、建築物の耐震化や不燃化、狭あいな道路を拡幅整備することは、事前復興の視点からも極めて重要なことであると認識しております。

安全で安心な市街地の形成には、建築物の耐震化だけを進めるだけではなく、建築物の不燃化、狭あいな道路の拡幅整備などの事業を重層化し、総合的に進めることが、その地域の安全度が向上するものと考えております。

ご指摘にもあるように、これらの地域には、建築基準法に適合していない建築物も数多く存在しております。

木造住宅の耐震改修助成の適用にあたっては、建築基準法違反の建築物につきましては、基本的には対象外としております。

しかしながら、違反建築物の実態は近隣の方に影響を及ぼさない程度の軽いものから、地域の安全を損なう重大なものまで様々であり、建築基準法違反があるというだけで助成が受けられないということは、災害時における安全性を第一に考えれば、事業効果からいっても問題があります。

したがいまして、木造住宅耐震改修助成の要件緩和につきましては、現段階で見直しを行う考えはありませんが、その運用につきましては、敷地ごとに建物の規模や建築時期、前面道路の現況幅員も異なりますので、不燃化を促進する観点だけで定めるのではなく、周囲の状況等を勘案し、個別に判断させていただきたいと考えております。

次に、防災道路整備事業についてのご質問にお答えいたします。

東池袋で事業中の幅員6メートルの防災道路は、拡幅にともなう沿道建物の建替えにより、地域の不燃化を促進するとともに、緊急時に車両の通行が可能になるという、防災上大きな効果が期待できます。

現在、居住環境総合整備事業を展開している上池袋地区においても、防災道路整備についてのアンケート調査などを行っており、拡幅整備事業導入の可能性を探っているところです。事業導入に当たっては、地域住民が災害に対する危機意識を共有することにより、地域全体の合意形成を図るとともに、沿道地権者のご理解・ご協力が不可欠になります。

したがいまして、今後は、上池袋地区・池袋本町地区においても、対象となる地域についてきめ細かい対応を図るとともに、対象地権者の合意を得たうえで、東池袋の防災道路と同様の手法により、順次事業に着手し、積極的に用地を取得してまいります。

次に、防災意識を高める今後の計画についてのご質問にお答えいたします。

昨年7月に策定した都市・住宅復興編の震災復興マニュアルは、平成20年度に基礎調査を行い、21年度に実施した、上池袋復興まちづくり訓練の成果を地域協働復興の理念として整理し、22年度には、庁内検討組織で横断的な実施体制を検証して作り上げたものです。

マニュアルの策定後には、区の職員はもとより、地域の皆さまに対する普及・啓発活動を継続しております。

昨年9月には、マニュアル策定にご支援をいただいた明治大学の中林教授を講師としてお迎えし、区議会議員の皆さまにもご参加をいただいて管理職の職員研修を行い、10月には一般職員の研修も実施いたしました。

さらに、10月から今年の1月まで、町会や区民ひろば運営協議会の皆さまを対象として、震災復興に関する出前講座を合計22回実施し、延べ494名のご参加をいただきました。

復興マニュアルは、棚に飾っておくだけでなく、いざという時に迅速に使えるよう、日々更新していくことが必要です。また、何と言っても地域の方々の防災意識の高揚が現実の災害対策には不可欠です。

そのために、区の職員に対する定期的な研修を継続していくことに加え、多様な機会を通じて、区民の皆さまとともに震災復興を考え、議論する場を設けてまいります。

特に、都の木密地域不燃化10年プロジェクトでは、東京都が施行する都市計画道路事業を特定整備路線として位置付け、沿道まちづくりを区が一体的に進める制度構築を検討していることから、こうした対象地域での集中的な出前講座の実施や、復興まちづくりを立ち上げる初期を担う救援センター運営調整会議での復興を見据えた実務的な協議など、事前復興の観点から効果的な手段を講じてまいります。

さらに、24年度に実施する池袋本町地区の震災復興まちづくり訓練を皮切りに、25年度以降も継続的な訓練を展開してまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

斎藤総務部長答弁

防災対策についてのご質問のうち、まず、マンション住民の防災意識向上についてのご質問にお答えいたします。

現在、本区の住宅戸数の約8割が共同住宅で占められており、マンションは区内における一般的な居住形態となっております。

そこで、区は、平成22年11月に実施いたしました、分譲マンション実態調査を通じて、防災意識への取り組みの実施率の低さ、居住者間や地域住民とのつながりの希薄さなど、様々な問題点を含め、区内マンションの実情を詳細に把握したところでございます。

この結果を受けまして、現在、学識経験者・マンション関連団体・区職員によるマンションの適正管理に関する検討組織を設置いたしまして、総合的な対策の検討を開始しているところでございますが、中でも防災対策の充実につきましては、重要テーマの一つと位置付けて重点的に検討してまいります。

また、今般策定いたしました、総合的な震災対策の推進に向けた基本方針案におきまして、マンションの防災対策の支援を掲げたところでございますので、マンションにおける防災訓練の実施、マンション防災の手引きを作成・配布するなど、ご提案いただきました手法も含め、実行可能な対策から着手いたしまして、マンション住民の皆様の防災意識の向上に努めてまいります。

次に、管理組合相互の情報交換の場の提供についてのご質問にお答えいたします。

本区では、分譲マンションの管理組合の方たちを対象に、分譲マンション管理セミナーを年2回実施し、情報提供及び意識啓発を図るとともに、テーマごとにマンション管理士をコーディネーターに迎え意見交換を行うかたちの交流会を平成20年度より開催しております。

参加者ご自身の関心の事柄について、他のマンションの事例を直接聞くことができることや、マンションの成功事例を共有する機会になるといったご意見をいただいております。

一方で、参加者の経験や意識の違いにより、お互いに満足できる話し合いとなりにくいといった面や、発言者が固定され、時間が足りないといった意見も多くあり、参加者の満足度が低下している状況も出始めておりました。こうしたことから、現在は、相談したい事項をあらかじめ提出していただき、個別相談会の形に改めて実施をしております。

平成22年度に実施した分譲マンション実態調査においても、約70パーセントのマンションに居住者組織がなく、交流機会がないとの回答でありました。マンション同士の交流機会や地域との交流を深めることは、災害時においての初動をスムーズに行うためにも、たいへん重要なものであると考えております。

今後は、交流会等マンションの横のつながりを求める方々のニーズを的確に把握し、それに合わせた運営方法の検討と、ITを利用した時間の制約を受けない交流会の参加方法についても検討していきたいと考えております。

次に、マンション条例についてのご質問にお答えいたします。

共同住宅の適正管理は、居住者が快適に住み続けることが出来るだけではなく、良好なストック形成を図るうえでもたいへん重要であると考えております。

その一方で、私有財産の集合体である分譲マンションは、価値観や年齢、所得の異なる区分所有者間における合意形成の難しさ、大規模な建物・設備を維持管理していく上での専門性、賃貸化や利用形態の混在など、戸建て住宅とは異なる課題を抱えております。

さらに近年、防犯、防災への対応、居住者間または地域とのコミュニケーションづくり等、管理組合に期待される役割も広がりをみせております。

平成22年度にマンションの管理状況や管理組合の意識等の調査を実施したところ、年数を経たマンションでは、長期修繕計画の未作成や町会の未加入等、竣工時に対応していないものが現在もそのままとなっている状況が明らかになりました。

こうしたことから、「マンション適正管理推進会議」を設置し、これまでのマンション施策を踏まえつつ、新たな状況に対応した支援策の検討を行うことといたしました。

新築時に協議が義務付けられている「集合住宅条例」と同様に、既存のマンションに対しても条例やガイドラインを作成する必要があることから、「(仮称)豊島区マンションの適正な管理の推進に関する条例」を年内中には策定したいと考えております。

条例の主な内容でございますが、第1に、マンションの適正な管理の推進として、長期修繕計画の作成や見直し、区分所有者及び居住者名簿の整備等の規定を設けたいと考えております。

また、防災・防犯への対応として、防災マニュアルの作成や要援護者の把握、防犯カメラの設置等の規定を設けるとともに、居住者組織の構築または活性化についての規定を設けたいと考えております。

ご提案の交流会の設置につきましても、この条例を策定する過程で検討してまいります。

こうした制度のもと、日頃のマンション住民のコミュニケーションが活性化し、災害時においても自助・共助の機能が十分発揮できる仕組みづくりの構築を目指したいと考えております。

次に、マンション建物・住民の関与の仕方についてのご質問にお答えいたします。

一言にマンションと申しましても、建築年数や規模などによって条件は様々でございますが、最近建築された大規模マンションに関しましては、耐震性・耐火性に富んだ安全性の高い建物であると考えております。区は、こうした大規模マンションは、地域防災上も重要な施設であるとの認識に立ち「中高層集合住宅建築物の建築に関する条例」に、大規模マンションを建築する場合には、地域貢献のための災害対策施設の整備に関して地元協議を義務付けるなどの対策を講じてまいりました。

この度、品川区と大規模マンションとの間で締結された協定は、マンションと地域、あるいは災害時におけるマンションの公共的な貢献に関して、新たな可能性を示した好例であると受け止めております。

品川区の事例では、マンション管理組合の側から区に協定締結の申し入れがあったと聞いておりますが、本区におきましても、こうした申し出があれば、積極的に応じてまいりたいと考えております。また、品川区の事例をつぶさに研究

いたしまして、区からの働きかけができるものかどうかについても、検討してまいります。

しかしながら、マンションの実態調査によれば、区内のマンションの現状は、管理組合の組織化など居住者のコミュニティ形成を図ること、また、来るべき大規模修繕への対策を促すこと、あるいは防災対策の強化等に取り組んでいくことが、当面の最優先課題と言わざるをえません。今後、こうした課題を解決していきながら、併せて、マンション住民の地域コミュニティへの参加についても推進し、マンションが地域の安全・安心に貢献できる施設となっていくよう、対策の充実を図ってまいります。

 

次に、ヘリポートの必要性についてのご質問にお答えいたします。

災害時には、道路の被災や交通渋滞等によって救急搬送、物資搬送が困難になる事態が想定されるため、災害用ヘリポートの必要性は、区としても強く認識しているところでございます。

ただ、ご案内のとおり、区内にはオープンスペースが乏しいことから、現在、正式に東京都の「災害時臨時離着陸場」の候補地として指定されている地点はございません。

この間の経過を確認いたしましたところ、学習院大学、区立総合体育場、長崎中学校が東京都の指定を受けていた時期がございますが、平成15年の東京都地域防災計画の見直しの際に、指定から外されております。ヘリコプターの離着陸には、進入経路上で、着陸地点から250mの範囲内に62.5mを超える障害物があってはならないなど、厳しい条件が設けられておりまして、周辺に高い建物や防球ネットが建つなどの状況変化によって、指定から外れ、現在に至っているところでございます。

将来的には、造幣局周辺の開発に伴って整備する予定の新たな公園において、ぜひとも災害時臨時離着陸場の指定を受けたいと考えております。また、新たに都立高校なども含めて再検討を行い、東京都に対して区内の施設を指定するよう要請してまいりたいと存じます。

次に、ヘリサインの設置についてのご質問にお答えいたします。

災害時には救助活動などにヘリコプターが有効活用されますが、空中には目印がないため、ヘリコプターが自分の現在位置や目的地を正確に把握するため、学校の屋上に大きな文字で学校の名称を記す「ヘリサイン」の設置が推奨されております。

本区におきましては、9都県市によって定められた仕様に従いまして、順次対応中でございまして、すでに、小学校8校にヘリサインを設置済みでございます。今後も、校舎の改築、屋上改修などの機会をとらえて、ヘリサインの設置を計画的に進めてまいります。

次に、災害時ホームページ代理掲載についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、災害時において被災した自治体の情報発信は大幅に制約される恐れがあります。東日本大震災では、本区の防災協定先である岩手県一関市が、沿岸部の陸前高田市、また宮城県気仙沼市のホームページを代理掲載して、大きな成果を上げました。

本区は、これまでにも12の自治体と防災協定を結び、災害時の相互支援体制の充実に努めてまいりましたが、この震災の経験を活かし、ご提案のございましたホームページの代理掲載など災害時の情報発信に関する応援体制についても充実してまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

大門保健福祉部長答弁

防災対策についてのご質問のうち、まず、福祉救援センターのあり方についてのご質問にお答えいたします。

現行の「豊島区地域防災計画」においては、救援センターの開設・運営の項目の中に、「福祉救援センター等」を位置づけ、通所型と介護型の二つのタイプに分けております。

高齢者受け入れ計画施設としては、特養ホームや区民ひろばなど43施設を、障害者受け入れ計画施設としては心障センターなど6施設を、また乳幼児受け入れ計画施設としては保育園25施設をリストアップしております。

しかしながら、今回の東日本大震災で得た多くの教訓から、福祉的配慮の必要な方々への対応については、単なる場所の確保だけでなく、一般の救援センターとは異なる配慮が必要であると認識しております。

すでに、本区の社会福祉事業団が運営する特養ホームなどと意見交換を始めておりますが、本格的な協議を早急に行うよう調整しております。そのために、現在、協議すべき課題の整理に鋭意取り組んでいるところであります。

一例を申し上げますと、要介護高齢者の場合は「嚥下障害」をお持ちの方がおりますので、非常食についても十分な配慮が必要と考えております。また、「たんの吸引」についても電力がストップした場合に電池式などの対応が必要と考えております。こうした、それぞれの事情に応じた対策を整理し、優先順位をつけて一つ一つ対応していく必要がございます。

さらには、場所と資材だけでなく、支援を十分に行うためには介護福祉士などスキルを持ったマンパワーの確保が欠かせない要素と考えております。特養ホームはマンパワーを確保しておりますが、区民ひろばにも、こうした人材をいかにして確保するかが今後の課題であると考えております。

次に、民間福祉施設等への支援体制の整備についてのご質問にお答えいたします。

先ほどの福祉救援センターとも重複いたしますが、介護などを必要とする避難者には、それぞれの状況に応じた生活物資が必要となります。ご指摘のようなライフラインの途絶により、その確保を施設の職員だけで対応することは極めて困難と考えております。

そこで、福祉救援センターに必要なスキルを持ったマンパワーの確保と、民間福祉施設等の生活物資に関する支援とを、お互いの「助け合い」によって解決できないものかと模索しております。

今後、検討を進める中で、条件が整いましたら24年度中にも施設を運営する法人と協定を結ぶなど、相互に有益なかたちでこの難問に応えてまいりたいと考えております。また、今後、新たに整備する特養ホームも含め、25年度までの3か年の中で幅広いネットワークが形成できるよう、重点的に取り組んでまいります。

次に、在宅要介護者に対する生活支援についてのご質問にお答えいたします。

本区が進めようとしている「地域包括ケアシステム」により在宅で生活できる要介護者が、災害時にも可能な限り在宅での生活を続けていくためには、様々な支援が必要になるものと考えております。

必要に応じて、福祉救援センターにおいて支援しながら、震災後の時間経過の中で、少しずつ物流が回復したとしても、在宅での生活へ復帰するためには、ご指摘にありますような排泄ケア・清潔ケアが必要となります。

あるNPO 法人の調査によりますと、サービス対象者の「家族が困っているという印象を受けたこと」について質問したところ、上位 3 位が「排泄ケア」「食事ケア」「清潔ケア」という結果になっているとのことであります。

また、介護・看護従事者として、「震災を経て、排泄ケアについて普段からサービス対象者の家族に知っておいて欲しかったと感じた点」について聞いたところ、1 位が「パッド、おむつの買い置きの必要性」、2 位が「パッド、おむつの最適な選び方・交換方法」、3 位が「下剤、浣腸の理解と準備」とされています。

今後、こうした各種の調査結果を踏まえ、「福祉救援センター」への対応と合わせて、たとえば、在宅高齢者への見守りや、備蓄物資の搬送ボランティアの組織化などについて、救援センターの運営マニュアルの中に組み入れていくことも検討してまいりたいと考えております。

次に、人工透析・酸素吸引者への支援体制についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、今回の震災においては、人工透析や酸素吸引者への対応が大きな課題であることが浮き彫りになりました。医療に関する分野ですので、区が直接対応することには限界がありますが、対応できる医療機関等の情報を伝達し、必要に応じて被災区域外の医療機関への搬送体制を整備するなどの検討を加える必要があると考えております。

いずれにいたしましても、福祉救援センターの機能強化、民間施設への支援など、東日本大震災から得た貴重な教訓を踏まえつつ、豊島区の地域特性や資源に照らし合わせながら、できるかぎり速やかに、より実践的な体制が構築できるよう全力を傾注してまいります。

私からの答弁は、以上でございます。

 

鈴木清掃環境部長答弁

省エネ環境施策についてのご質問のうち、まず、節電対策の取り組みの発信についてお答えいたします。

東日本大震災に伴う電力危機の問題により、企業や家庭が節電に取り組んでおり、そうした節電対策について、情報発信していく必要があるのは、ご指摘のとおりでございます。

区といたしましては、これまでも、広報紙やホームページ、事業者向けパンフレットなどにより、身近な節電対策をPRしてまいりましたが、今後も、より一層、積極的に発信してまいります。

次に、節電対策の実績と総括についてのご質問にお答えいたします。

昨年夏の電力不足に際しましては、区としての電力不足対応の基本方針を策定いたしました。区関連施設全体で電力使用量を対前年比15%以上削減する目標を立て、区民の皆様のご理解をいただきながら、施設開館日の縮減なども行い、22.3%の削減を達成いたしました。

この当初の目標を大きく超える削減率の達成は、区民の皆様のご理解・ご協力によるものと感謝申し上げる次第です。

こうした夏の節電取り組みの成果を踏まえ、現在、11%の削減目標を掲げ、「冬の節電アクション」の取り組みを進めているところでありますが、厳冬による電力需要増加の状況にありましても、一定の効果が期待できるものと考えております。

さらに、今後も、節電には社会全体で取り組む必要があるため、率先して節電計画とその結果を公表し、区民の皆様の節電行動を促していきたいと考えております。

次に、電力入札の実施についてのご質問にお答えいたします。

東京電力以外の電力としては、すでに一部の小・中学校において、清掃工場で発電した電力を使用しております。今後は、他の小・中学校につきましても、環境負荷の少ない電力を導入するとともに、本庁舎など他の公共施設について、東京電力以外の電気事業者の供給力なども見極めながら、本年7月を目途に、電力入札を順次導入したいと考えております。

次に、先進環境技術の導入についてのご質問にお答えいたします。

区では、区有施設の省エネ性能を向上させるため、平成21年3月に「としまカーボンマイナス施設づくりガイドライン」を策定いたしました。

これに基づき、区の施設を新改築、または大規模改修する際には、省エネルギーシステム、高断熱化、再生可能エネルギーの導入、そして、ご提案のガラスの遮熱フィルムについて検討の対象としております。

こうしたことから、現在基本設計中の(仮称)西部地域複合施設についても、自然換気機能の導入を検討しているところでございます。

なお、遮熱フィルムの導入につきましては、新築時には、より省エネ効果の高いガラスを採用いたしますけれども、既存施設の改修にあたっては、コスト面を検証のうえ、設置を検討してまいります。

なお、遮熱フィルムでございますけれども、豊島区の中小企業等温暖化対策支援事業の省エネ設備助成のメニューのひとつとして盛り込み、その普及を図っているところでございます。

ご質問にありますように、今後も、公共施設について先進環境技術導入の検討を進めるとともに、民間の建築物の省エネ化についても支援を続けてまいります。

以上をもちまして、中島義春議員のご質問に対する答弁を終わります。