○三十二番(小倉秀雄君) 私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、二十一世紀に向けて新たなる行政改革への挑戦と題して一般質問を行います。

質問に入ります前に一言御礼を申し上げます。それはオウム退去についてであります。一昨年八月九日、オウムが池袋本町に新東京総本部を構えて以来一年四カ月にわたり、地元、名取対策協議会会長を中心に地域住民の皆様は、署名活動、募金活動等種々の対策を講じ、オウム退去のための裁判を起こす準備まで進めてまいりました。

その間、前加藤区長・新高野区長を初め理事者の皆様にもご協力を願い進めてまいりましたが、ご存じのように昨年九月三十日、オウムの中枢部分である法務・広報部を池袋本町に置くとの前日の発表があり、荒木広報副部長が乗り込んでくるとの情報を察知した住民は、早朝よりバリケードを設置しテント村を開設し、断じてオウムを阻止するとの決意を固めました。その動きと同時に、高野区長も断固阻止の決議文を持って待機されました。合わせて区議会も立ち上がり、抗議文を作成、熊崎議長を先頭に現場で待機されました。そして、四百名を超える地域住民とともに荒木広報副部長を見事撃退したのであります。

爾来、地元では十一地区の全町会の協力のもと、二十四時間監視活動を粘り強く展開したのであります。二カ月間、延べ一万二千名を超える方々が参加をして、十一月三十日午後二時にオウムが完全撤退したのであります。私もマンション内での契約書、かぎの受け渡しに立ち会いをさせていただきましたが、感慨深いものがございました。特に、マンション管理組合の世話人の方の涙ぐんだ顔は一生忘れることはできません。この間、町会連合会・商店街連合会を初め多くの団体・個人の方々が応援、募金にご協力、さらに真心からの差し入れを賜り、心から感謝を申し上げる次第であります。さらに、十月二十四日に開かれた区民集会には千名を超える住民の皆様とともに、多くの議員の皆様も駆けつけてくださり、心から御礼を申し上げていただきたいとの名取会長の言葉を申し添えます。

今回の成功は、一にも二にも住民の皆様が一つの目標に向かって、団結して勝ち得た勝利であり民衆の勝利であると確信いたしました。私どもは、この貴重な経験を今後の地域活動に生かしていかなければと決意した次第であります。皆様、本当にありがとうございました。

さて、本年は二〇〇〇年、二十世紀最後の年であります。この年に当たって、私どもは二回のミレニアムに立ち会い、さらに、もう少しで二世紀にわたって存在する意義を確かめ合うべきであります。二十世紀は科学・技術の発達の世紀であり、そのために世界は大きく進歩し変革し、その代償も大きく環境破壊や人々の心もゆがんでしまいました。一方では、戦争の世紀でもありました。今世紀、戦争などによる人為的殺人の数は一億六千七百万人という説もあると言われております。これは古代から十九世紀までの戦死者の総数を上回るものであります。つまりこの百年間、毎日四千五百七十五人が殺された計算になります。私たちは、これらの反省に立ち二十一世紀こそ人間の世紀であり、生命の世紀としなければならないと決意を新たにするものであります。人間の世紀、生命の世紀を言い換えれば、対話の世紀とも言えると思います。そのような観点からも、本年は二十一世紀に向けて開幕の年であり助走の年でもあり、大事な年と言えるわけでございます。

さて、長引く不況もようやく脱却し、うっすらと明かりが見えてきた観がありますが、いまだ私たちの生活と地方自治体にとっては、実感として感じられるにはいまだ時間を要すると思いますが、国の自自公連立内閣の調和のとれた生活者の視点に立った政策が、徐々に国民の皆様に理解と確かな反応が出始めたと感じられます。日本商工会議所の一月の報告によれば、公明党などの強い主張を受けて中小企業が金融機関から融資を受ける際に、全国の保証協会が債務保証をする中小企業金融安定化特別保証制度の実施によって七千件の倒産が未然に防止され、その結果六万人の雇用維持に役立ったと報告がありました。

同制度が始まってから一年間の倒産件数は一万五千件余りで、民間調査機関が事前に予測していた年間二万二千件より、約七千件少なくなったと指摘しております。その結果、倒産企業の平均従業員数から推測して、計六万人が失職せずに済んだと試算しております。これを受けて通産省は、信用保証枠を十兆円追加するとともに取り扱い期間を一年間延長することとなりました。

また、二月一日、日本商工会議所が一月の早期景気観測調査によると、全産業の景況感を示す業況指数はマイナス四三・一となり、前月比〇・三ポイント改善したとして発表しております。業種別に見てみますと、建設業、サービス業で指数が悪化したものの、製造業、卸売業、小売業がいずれも改善したと発表されております。さらに、市場は敏感であり反応が早いものであります。平成十年七月以来、二年半ぶりに株価が二万円の大台を回復する動きも見られたことは、市場が自自公連立内閣を支持した結果であり、本年に希望が見え出したことは、自自公連立内閣が現在は財政再建より経済改革、つまり景気対策を重点的に図ることが大事であり、景気回復によって財政再建をなし遂げるとの方針が、一定の評価を得たものと判断すべきであります。野党の皆様は、自自公連立内閣を「数の横暴」とか「福祉のバラマキ」とか言っておりますが政治は結果であります。必ずや歴史が証明するものと確信するものであります。

さて、本区の平成十二年度予算案についてでありますが、地方自治体では直接景気浮揚策に取り組むことができませんので、厳しい財政状況の中でどのように財政再建をなし遂げられるかを問われることとなります。本区の平成十二年度予算は、高野区長が初めて編成された予算でありますが、厳しい財政状況の中、赤字団体への転落を食いとめるため財政運営に万全を期したと編成方針で述べておりますが、まさにそのとおりであり綱渡り予算であります。また、緊急避難的予算編成であったことも読み取れます。

一般会計予算規模は、九百六十八億八千万円で、前年度当初予算比マイナス十五億三千五百万円、一・六%の減にとどまったとしておりますが、実態は移管される清掃事業経費と介護保険制度による影響額を除いた平年度ペースですと、九百四十三億四千万円、四・一%の減となり昨年度の四・五%減に次ぐ過去三番目のマイナス予算と言えます。また、予算編成時には七十二億円の財源不足への対応として、内部努力の徹底、施策の見直しで五十三億三千四百万円、施設使用料の改定、徴税努力、さらに四カ所の未利用地の売却によって七億六千百万円、さらに本来なら平成十二年度に基金運用からの脱却を図るべき年度でありましたが、庁舎等建設基金から十一億三千万円を運用し、これにより基金はゼロであります。さらに、当初予算から三年連続の繰越金を五億円充当し、財政調整基金のほぼ全額の六億円をつぎ込んでの予算編成となっており今後補正予算編成にも支障を来たすのではないかと危惧するものであります。

自治権拡充による清掃事業移管、介護保険の実施等、不透明な部分があり一定の理解を示すものでありますが、これこそ綱渡り予算編成としか言いようがありません。区長は所信表明の中で「厳しい財政状況を踏まえた上で、今はまさに豊島区再生の基礎を固めなければならない時であります。より大胆に、一層意気込みを持ってさらなる改革に踏み込まねばならないと考えております」と決意を述べておりますが、そこで今後どのようにさらなる改革に取り組まれるのか具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

さらに、私は危惧する幾つかの点を指摘せざるを得ません。それは区有地の売却についてのルールづくりであります。私どもは区有地の売却には反対いたしません。むしろ売却もしくは定期借地権を活用するなど、財政再建に向けて大胆に取り組む必要性を予算要望の中でもうたっておりますからよいのですが、今年度のように予算編成の財源不足を補うためにだけに売却するということには、心から賛成しかねます。これでは単なる切り売りとなってしまいます。区有地は、区民の財産であり多額の税金を投入して購入したものであります。ゆえに売却するにしても、一定のルールづくりをしておく必要性がなければいけないと考えます。区民の方々に理解を得るためにも、後世の方々に何らかの形として残さなければいけないと考えます。そこで、売却した金額を基金として積み立てるべきであります。そして、五年、十年に分けて必要に応じ活用すべきでありますが、土地売却に伴う基金の設立についての区長の見解をお伺いをいたします。

さらに、本区にある未整備用地を調査してみますと、公園・児童遊園用地四カ所、約一千三百十一平米があり、居住環境整備事業用地十五カ所、約二千五百五十四平米、その外三カ所、約二千二百八十六平米があります。これらの多くは居住環境整備事業の代替地がほとんどでありますが、すぐ必要でない土地も見受けられます。そこで提案ですが、これらの用地を今はやりの時間貸しパーキングに活用すべきであると考えますがどうでしょうか。時間貸しパーキングであれば、必要なときにはすぐ解消もできる利点もあります。さらに、私は今後学校の統廃合も進む中で、学校跡地を含めて定期借地権で民間の活力を活用していくことも視野に入れた検討に入るべき時期に至ったと考えますが、区長は、これら未利用地活用と統廃合跡地利用に対する提案をどのように受けとめていらっしゃるかお伺いをいたします。

さて、私は、これまで本区の行財政改革について、本会議で何回も取り上げてまいりました。部課の統合縮小、職員の削減、議員定数の削減等提言をし、一定の成果が得られておりますが、二十一世紀に向けて新たなる行財政改革に挑戦する必要性を強く感じるところから改めて提言するものであります。それは経営的感覚を強く改革の中に取り組んでいくべきとの視点であり、未利用地の活用にしてもその視点に立った提案であります。今回の組織編成で企画部を政策経営部と改めた意義もここにあるものと思います。

私は、今回は経常経費の削減について取り上げてみたいと思います。本区の経常収支比率の推移を見てみますと、平成元年が五六・四%だったものが、平成三年に七四・七%になり、平成六年度で一気に八九・八%まで上がり、平成九年度では九一・四%、十年度では九三・四%となっております。これでは財政の硬直化は当然であり、重症であります。会社経営ではいかに経常経費を節減するかについて取り組んでおります。近来、これらの取り組みは環境問題をも含めた取り組みが顕著であります。その一つに、ランニングコストの削減があります。私は、今までも予算・決算委員会で、光熱水費を中心としたランニングコストの削減について具体的に指摘してまいりましたが、いまだ具体的なランニングコストの削減に向けて積極的な取り組みについて報告を受けておりません。本区では、予算シーリングの際、一律五%カットとか、一割カットと一律カットを打ち出しているだけで、根本的な経常経費削減に取り組んでいないように思えます。私は、今回質問に当たり、東京電力の協力を得て本区の電気使用料について検討してみました。

豊島区本庁舎では、年間約百二万五千キロワットの電気を利用して約二千二百五十八万円の電気使用料を支払っております。庁舎は、冷暖房は別でありますので月別の使用料は大きな変化が見られません。この電気の使用によってCが何と年間八十八・二トンも排出されていることも計算をされております。庁舎では冷暖房は別でありますので、照明設備を効率型のHf型の蛍光灯に変えることで、約二五%の省エネ、節減となります。本庁舎だけでも約五百六十四万円の節減となるわけで、本区の全施設の電気料金が平成十一年度予算で約七億四千九百万円余でありますので、単純計算で一億八千百万円の節減となります。当然全施設を一気にHf型に切り替えるわけにはいきませんが、一回変えれば平年度化するわけでありますので、検討すべき大きな価値があります。Hf型照明とはインバーターを用いることで、蛍光灯を高周波で点灯させる器具で、蛍光灯のちらつきも抑えることができるというものであります。

さらに、出先機関の産業プラザ、保健所、勤労福祉会館等の冷暖房を蓄熱式空調システムに変えることにより、冷房時一八%、暖房時一三%の節減が図られます。蓄熱式空調システムとは、夜間に夏は冷水や氷を、冬は温水を蓄えて昼間の冷暖房に使う空調システムであります。これで夜間の割安な電力利用ができますので、ランニングコストが大幅に軽減、さらに熱源容量を小さくするので、契約電力が低減でき、化石燃料比率の低い夜間電力を使用するので環境に優しいと言われております。これらについては、東京電力や社団法人日本エネルギー総合管理技術協会等で相談をすれば詳しく説明をしていただけるそうでありますので、できることから実施をすべきであります。

また、公明党では、一般質問で太陽光発電のことは提案をいたしておりますが、これからは限られた資源を大切にしながら最大の効果を生み、さらに環境に配慮した建物が求められております。民間のホテルオータニでは、先進的な循環型リサイクルシステムを導入しております。まず、すべての生ごみを乾燥、発酵させてコンポスト(堆肥)にしており、さらに天然ガスや灯油を燃焼させ自家発電をし、その廃熱を暖房や給湯として活用するコジェネレーション・プラントを設置しております。コンポストはホテル内の緑化推進、契約農家での有機野菜などで再利用されております。同プラントの導入で水道・電気・ガスの使用料金が約三分の一に抑えられています。本区でもこれから建設される学校、本町での防災センターを初め今後建設される施設には、省エネ、環境に優しい配慮した建物とされるべきと考えます。

次に、ランニングコスト軽減に関連して、縦割り行政の弊害の一例を申し上げさせていただきます。現在、パソコンは必需品となっております。本区でも区役所及び出先機関を含めて高速プリンターが百五十七台、学校関係で八十三台、計二百四十台が使用されております。問題はプリンターのインクリボンは使い捨てが多く、経費がかかるとともにごみとなり、環境破壊につながっております。そこで、現在ではリサイクルトナーカートリッジシステムが構築されており、民間企業では経費節減と環境に配慮して多く普及使用されております。そこで、本区の情報管理課に確認をいたしますと、情報管理課では既に使用しているとのことですが、他の部、学校施設を含めて全体では把握をしていないとの回答がありました。直ちに実態の調査を依頼いたしましたが、これこそお役所的発想であり、縦割り行政の弊害を顕著にあらわしているものであります。ちなみに私の試算によりますと、リサイクルトナーカートリッジに全部変えると、現在使用しているトナーカートリッジが単価三万六千円とし、年間使用回数を四回として、リサイクル品は半額の一万八千円で済みますので、一台、年間五万四千円の節減となり、二百四十台で合計一千二百九十六万円の節減となります。これらはまだほんの一例であると私は思っております。職員が民間企業並みの意識改革を図れば、優秀な方が多いわけでありますので、情報収集、英知を絞っていけば、まだまだランニングコストの削減は可能であると思います。現在、各々の部課で購入している事務用品も総務部で入札方式で一括購入するとか、まだまだ改善の余地が多くあるものと考えます。

いろいろ厳しいことを申し上げましたが、すべて区民の皆様方からいただいた尊い税金をより有効に活用し、一日も早い財政再建をなし遂げなければならないとの一念からの提言でありますのでよろしくお願いをいたします。

そこで区長にお伺いいたします。

今まで述べてまいりましたように、根本は全職員の意識改革でありますが、経常経費の低減化、ランニングコスト削減に向けてプロジェクトチームを編成して取り組むべきであると考えますが、区長の考えをお伺いをいたします。一つの部署で価値ある情報を入手しましたら、直ちにプロジェクトに情報を提供し、検討し全庁的に取り組むことができるわけであります。

次に、財政白書の中でも職員の年齢構成がもたらす影響として、職員の平均年齢が六十年度で三十八・六歳でしたが、平成十一年度では四十二・八歳となります。これは、行政改革により職員定数を削減し、新規採用を極力抑制した結果でありますが、このため平均年齢の上昇による人件費の増加とともに、退職者の集中化による退職手当の増額が危惧されております。このことによる財政措置とともに、アンバランスによる将来の区民サービスの低下の観点からも検討を始めるべき重要な課題であると考えます。そこで、区民サービスの観点からと職員の安定的雇用と配置転換等、機動的な組織運営と組織の活性化を図るための人材活用策について、検討委員会を設置して早急に検討すべきと考えますが、区長の見解をお伺いをいたします。

次に、区長は所信表明の中で、職員との意識の共有として職員との対話を強調されておりますが、私も全く同意見であります。今まで述べてまいりましたことは、区長一人で頑張ってもできるものではありません。職員一人一人の理解と協力がなければできません。そのためには、高野区長の決断と強いリーダーシップが求められることとなり、重要なかぎを握ることとなります。高野区長は、就任以来顔の見える区政を標榜し、一日区長室やホットほっと区民集会の開催を初め、街に積極的に顔を出して区民と対話をされておりますことは評価するものであります。

しかし、今抱えている財政危機を区民に理解と協力を求めるだけでは再建をなし遂げることはできないと私は考えます。それは身内である職員の理解と協力、さらに意識改革なしではできないものと考えるからであります。そのために、職員との対話をふやすべきであります。街の新年会に一町会まで顔を出している区長でありますので、同じ、いやそれ以上に職員ともっと接し対話を積極的にすべきであります。そこに豊島区再生のかぎがあると決めて、職員組合の旗開き等に積極的に出席するとともに職責別や年齢別での対話をすべきであります。そこに区長と職員の壁が取り除かれ、一体感が生まれ、ともに区民のために改善すべき課題について知恵を出し合い、時には公務員給与のあり方等で議論もあると思いますが、対話の中で豊島区の未来像、夢まで描ければ成功であります。私は、区長と職員が対話をすることは、対立するとか、労使交渉だという時代は終わったと考えております。あくまでも目的は同じであり、区長も職員も区民の方に顔を向けるべきであります。そこで、区長のご所見をお伺いいたします。

これまで、大変厳しいことを申し上げてまいりましたが、いずれも新たな行政改革に向けた挑戦であります。区長の勇気と決断に大いに期待するものであります。

次に、商店街のさらなる活性化策についてお伺いいたします。

最初にも触れましたが、貸し渋り策の特別保証制度により七千件の倒産を防止し、それによる六万人の雇用が維持されたと商工会議所の報告を紹介いたしましたが、豊島区にとっての倒産数の推移をまずお伺いいたします。

次に、一月、豊島区の今年度第二・四半期の景況調査が発表されました。調査対象は、製造業百十二社、小売業百六十七社、サービス業百十二社、建設業六十一社であります。製造業では、業況はほぼ昨年並みの結果に終わり、今期はやや足踏み状態で推移し、全都と比べると当区の景況状況はややよいと言える。小売業では、穏やかな回復傾向で推移している。サービス業は、前期と比べてやや改善したもののその動きは小幅であった。建設業は、業況判断指数は悪化傾向となっている。売上高、受注残、施工高がそれぞれわずかに減少し、収益は前期並みに推移している。来期は今期より明るい兆しが見られるとあります。すべての業種が厳しいながらも来期、つまり今年にかけている期待感が伺えるものであります。

本区の商店街の皆様は、厳しい経済状況の中で懸命な自助努力で頑張っております。商店街連合会でもプレミアム付き商品券の発行や商人祭りの展開等、さらに東京都の元気を出せ商店街事業を各商店街で申請し事業を行っております。ここで、平成十一年度の実施状況について報告を願いたいと思います。さらに、来年度も東京都の復活要求が実り、二億円増の七億円となったことは喜ばしいことであります。

しかし、この事業は単商店街のイベントを中心とした補助事業で、商店街に点や線に対する直接的支援であり効果は限られたものになってしまいます。また、現在商店街に空き店舗がふえ、街の中心部が衰退していくとの問題点があります。そこで、平成十年七月、十三省庁が参画して中心市街地活性化法が施行されました。その内容は、今までのように点や線や縦割り行政施策から、面を対象とした関係全省庁が一体になって市町村主導の総合的街づくりを支援することを確認したものであります。それが先ほどから出ているTMO街づくり機関であります。TMO制度は、通産省・中小企業庁では、アメリカ・サンタモニカやイギリスのグラスゴーの中心市街地の再生に成功した事例をヒントに、TMO制度を創設したものであります。TMOとは、街づくりをマネージ(運営・管理)、すなわち、さまざまな主体が参加する街の運営を横断的、総合的に調整する機関で、時には施設の建設の主体となることもできることとなっております。中心市街地活性化法では、TMOになり得る主体者は商工会議所、商店街連合会、または第三セクター特定会社や第三セクター財団法人とされております。TMOで行うタウンマネージメント事業は、ソフトとハード事業があります。

ソフト事業とは、中心市街地全体の企画や調整、街中での管理や清掃、警備、適正な業種構成の誘導や空き地、空き店舗対策、街としての魅力のアピールや販売促進、そして個店への経営指導が挙げられており、ハード事業としてモールやアーケード、駐車場、各店誘致やコミュニティ施設の建設、さらに再開発事業も行えることとなっております。この事業の展開により、現在の商店街の歯抜け状態、空き店舗対策等に有効な対策となるものと思われます。このことは、商店街の振興策や自分の街づくりを行政だけに頼るのではなく、国や地方自治体の援助を受けながら、自主的に振興策や自分の街づくりを民間主導で行っていこうとのあらわれであります。私もこのことは時代的趨勢であると思います。そのあらわれが全国の自治体が次々と名乗りを上げ、TMO構想認定が三十四自治体、その中で今回TMO計画として認定された自治体は十二であり、東京都では飾区が入っております。このことは、商店街が振興策や街づくりについて行政だけに頼らず自主的に企画し、運営し実行しようとの試みであります。

そこで、提案でありますが本区が主導的になり商工会議所や商店街連合会に働きかけ、TMO制度を採用し、豊島区の商店街の新たなる発展と街づくりをすべきであるとの観点から、呼びかけをすべきであると考えますが、区長は今までの点・線に対する直接支援策とともに、面を対象とした総合的街づくりができるTMO機関の基本計画に取り組むべきであると考えますが、区長の見解をお伺いをいたします。

最後に、東池袋四丁目地区市街地再開発事業についてお伺いをいたします。

本年一月十七日は、六千四百三十二人の尊い命が失われた阪神・淡路大震災から五年目を迎え、被災のあった各地では鎮魂の式典や集会がしめやかに営まれました。私ども公明党区議団も、災害直後街頭募金を実施し、集まった義援金を持って神戸に全員でお見舞いと視察にまいりました。被害のすさまじさを目の当たりにして、改めて地震の恐ろしさを実感したものであります。私どもは、この大災害の教訓にかんがみ、改めて防災都市づくりの大切さを胸に刻みつけたのであります。

また、それと同時に神戸の市民の方々の復興に向けた五年間を思いますと、復興の難しさ、街づくりの難しさも強く感じるものであります。なぜかと申しますと、神戸の復興の街づくりでは、道路などハード面の整備は急ピッチに進み、今では当時のつめ跡を目にすることも珍しくなったとのことでありますが、市民の方々の生活に視点を当てて見ますと住宅が焼失したことにより二重ローンを抱えるなど、完全復興までにはまだまだ時間を要し、これからが正念場というのが実態であります。また、計画された再開発事業や区画整理事業をめぐって、地元と行政との間にトラブルが生じたり地域コミュニティが崩壊するなど、復興計画を遅らせる課題が次々と発生しているとも言われております。

こうしたことを考え合わせてみますと、豊島区での街づくりについても改めて強く感じますことは、「何よりも住民の方々と行政との連携が大事である」ということを再認識するものであります。区長は、かねてより東池袋の再開発事業は、池袋副都心整備の最重要課題であり、東池袋地区における街づくりの先導的プロジェクトに位置づけ積極的に取り組むことを表明されております。私も、東池袋の再開発の成否が東池袋の街づくりと地下鉄十三号線の新駅設置、さらにグリーン大通りの開発にも大きな影響を及ぼすものと考えます。二度と失敗は許されません。そこで、このプロジェクトを成功に導くために、再開発組合に参加されている地元の方々と、さらに連携を強化すべきであると考えるものであります。昨年末、東池袋四丁目地区の再開発事業は、新たな事業協力者を選定し、事業再構築に向けて大きく動き始めました。それは当初、高層の事務所ビルを建設する計画で進められておりましたが、保留床の取得者を見つけることができず、やむを得ず住宅ビルを中心とした開発に変更すると報告されております。また、再開発事業全体の経費についても削減を図ることとなると思います。

こうした背景には、この事業を運営されている再開発組合の方々の並々ならぬご努力と決断があってのことだと思うのであります。平成六年十二月の事業着手以来、既に五年の歳月が流れ、この間、先の見えない経済情勢の中でやむを得なかったこととは言え、加藤前区長に「退くも地獄、進むも地獄」とまで言わしめたように、組合の方々にとっては身を切る思いの月日ではなかったかと推測するものであります。また、時の経過とともに住民お一人お一人の生活設計も変わり、再開発事業に寄せられる期待も変化してきているのではないかと思われます。したがいまして、この再開発事業に参加されている組合員の方々におかれましても、事業推進に向けた再度の結束と再度の合意づくりを求められそのことが不可欠の要件となります。

本年は、再開発組合では新しい事業計画を策定し、また権利変換計画の同意取得という再開発事業にとっては最も大切で、また最も困難な作業を行う時期を迎えようとしております。これまでの経緯を考え合わせますと、大変厳しいスタートとなると推察するものであります。東池袋四丁目地区の再開発事業を、今度こそ成功に導くためにも行政の支援はもとより、再開発組合の方々と行政とが綿密な連携をとりながら、一致団結してこの事業に臨まなければいけないと強く感じるものであります。また、合わせてこのプロジェクトを主体的に運営されている再開発組合の方々におかれましても、事業再構築に向けて相互理解を得ていくことも必要であると思います。さらに、平成九年一月に再開発組合の方々からの要請にも応え、本区が購入する六千平方メートルの中央図書館など、公共施設が配置されることになっております。この公共施設は、再開発事業にとってはもとより、今後のこの地区の街づくりに重要な役割を担うものと思われます。

そこで区長にお伺いをいたします。

第一に、東池袋四丁目地区再開発事業を取り巻くさまざまな状況を踏まえ、行政と再開発組合の方々との相互協力、再開発組合の方々同士の相互理解をどのように図っていかれるのか、お伺いいたします。

第二に、今後の事業の課題とスケジュールについて、どのように進められていくのか、お伺いをいたします。

第三に、区の公共施設として中央図書館などということで、その他の具体的な施設名や規模は発表されておりませんが、図書館だけでは、副都心の中心部分の施設となるわけでありますので、集客力のある施設の併設をすべきであると考えますが、その他の施設等が検討されているか、今後どのように取り組まれる予定であるのか、あわせてお伺いいたします。

以上で私の一般質問を終わりますが、最後に、高野区長にビクトルユーゴーの言葉を贈って終わりとさせていただきます。「苦難に直面したとき、あきらめるか、傍観するか、飛び込んでいくか、これによって未来は変わる」、この言葉を贈って終わります。ありがとうございました。(拍手)