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1.国の経済対策と豊島区のとりくみについて

このしま  私は、公明党区議団を代表して、「安心と活力ある豊島へ」と題して一般質問をいたします。

先ずはじめに、国の経済対策と豊島区の取り組みについてであります。
昨年の経済危機以来、政府・与党は切れ目のない連続した経済対策に取り組んできました。3月4日にようやく第2次補正予算関連法案が成立し、緊急雇用対策が実施されることになりましたが、「生活防衛のための緊急対策」が12月19日にまとめられてから、2か月半もたっており、この間に日本経済は急速に悪化し、企業の雇用調整は派遣社員から正社員にまで及んだと言われます。

その結果、5月の月例報告に見られるように、国民の暮らし向きに直結している雇用については、依然失業率の悪化が続き、生活者自身が実感できるほどのものではありませんでした。そこで、もう一段の対策ということで、先日5月29日に国の補正予算が成立いたしました。

そうした中、わが区でも定額給付金の支給が実施され、また高速道路料金の大幅引き下げや環境対応の自動車減税などによって、消費者心理の明るさを示す消費者態度指数は(一般世帯)で、3.3ポイント上昇の35.7となり、5か月連続で改善し、2006年11月以来、2年6カ月ぶりのプラスとなり、雲間に光のような明るさも見えております。

「経済は人々の感情で動く」とも言われますが、公明党は、「生活の安心があって初めて消費が拡大できる」との考えの下、国民の安心感をはぐくむよう強く主張し、その先頭に立って取組んでおります。

そこで、昨年度の第一次、第二次補正予算や東京都の取り組みを受けて、本区ではどのように展開されたのか、区民にどのような「生活の安心」をもたらしているかを総括しながら、国が総力を上げた、矢継ぎ早の”史上最大の経済対策”に呼応し、本区でも時を逃すことなく、適切に手を打っていくことが極めて重要だと考えます。そこで、区の取組み状況について伺います。

その第1は、「雇用対策」です。
この厳しい社会経済状況を受けて、冷え込んだ雇用状態に対応するため、国ではさまざまな対策がとられてきました。

先ず事業主に対する「雇用調整助成金」は本年2月だけで、187万人もの雇用を守るなど大きな効果を発揮していますが、今後も利用の急増が見込まれています。さらに「地域雇用創出推進費」など地方交付金の枠内での対策も講じられるとともに、「緊急雇用創出事業」が実施され、国の補助の動きも活発化しているところであります。

そこで、本区における取組みについて伺います。豊島区での「緊急雇用創出事業」に対して国の緊急雇用創出事業補助金はいくらで、地域の元気回復のために、現在どれだけの雇用対策が行われているのか、またその継続性という観点も含め、今後の見通しについてもお伺いします。

また、区の独自予算の雇用対策として、4月から区内の特別養護老人ホームや老人保健施設の人材不足の解消を目的とする「福祉施設雇用支援事業」を開始されていますが、実施状況についてお聞かせください。
高野区長  ただいまの此島澄子議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

はじめに、雇用対策についてのご質問のうち、「緊急雇用創出事業」による雇用対策についてのご質問にお答えいたします。

「緊急雇用創出事業補助金」を活用した雇用対策事業として、今年度は、今定例会に補正予算として、駅前広場及び周辺道路清掃事業、路地裏歩行喫煙パトロール事業、そして繁華街ごみ量組成調査事業の3事業を計上しておりまして、事業の発注を通じて、28名の失業者の新規雇用につなげようとするものであります。

21年度の補助金交付額は約2千8百万円を予定しております。
また、この補助金は21年度から23年度までの三年間交付されるもので、豊島区の総交付額は3年間で7千5百万円になるものと見込んでいます。

さらに、この補助金に関しては国の経済危機対策の一環として全国規模で約3千億円の追加交付が決定していますが、詳細が定まっていないために、豊島区でどの程度の追加を受けられるかについては現在のところ決まっておりません。
詳細が判明次第直ちに、利用できる事業について検討し、有効に活用してまいります。

次に、「福祉施設雇用支援事業」の実施状況についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、本年4月から、失業者の雇用を創出し、介護施設の人材不足の解消を図るため、区内の特別養護老人ホームや老人保健施設に採用された方と施設を支援する「福祉施設雇用支援事業」を開始いたしました。
区は、10ヶ所の施設に今年度の採用予定数に応じて合計21人分の補助金を配分しておりますが、5月末現在、9名の方がこの事業による支援を受けており、執行率は42%となっております。
区といたしましては、さらに一人でも多くの方に区内の特別養護老人ホームや老人保健施設に就職していただくことにより、施設の人材確保、定着につながるよう、施設と連携し、さらにPRの強化に努めてまいりたいと考えております。
ぜひともこの事業は、類似したものもありますが、豊島区としての特色ある事業でありますので、此島澄子議員にも福祉と雇用支援の進展のためにPRに努めていただきたいと思います。
このしま  2点目に、中小企業対策についてであります。

バブル崩壊後の不況と比べて最も違うことは、景気後退のスピードの速さーだとも言われ、中小企業の資金繰りが大変苦しい状況にある声は、私どもにも多く寄せられて来ました。
国はその対応策として、昨年の10月31日から緊急保障制度を実施しましたが、制度の窓口である認定業務は区が行っておりますので、それについてお聞かせ下さい。

先ず、区では3か月に一度景況調査を行っておりますが、本区の中小企業の経営状況をどのように認識されているのか伺います。

2点目に、このセーフティーネットについて、本区ではどれだけの申込み、認定がなされたのか伺います。またこの制度は金融機関の貸し渋り対策とも伺っておりますが、現場の事業者の方々の状況や関係機関との連携などについてもお聞かせください。

3点目に、このような状況の中、この4月から、区の商工融資制度の小口零細企業融資として、本人負担0.25%という資金の利用が開始されていることは、大変評価出来るところであります。困窮している区民の方々にしっかり周知・広報していただきたいことと、この制度を出来るだけ継続し、長期に実施されるよう要望しますが、それについてはいかがでしょうか。お伺いいたします。
東澤文化商工部長  中小企業対策についてのご質問にお答えいたします。

まず、区内中小企業の経営状況についてのご質問にお答えいたします。

区内中小企業300社を対象とした中小企業景況調査の最新結果である、平成21年1月から4月までの景況を見ますと、前回までに引き続き悪化傾向を強めておりますが、来期の見通しについては、小売業などにおいて、持ち直すとの見方が一部出てきており、大変厳しい中にも、全体的にはわずかながら明るい材料が出てきていると感じております。
そうは申しましても、業種別に見ますと、非常に厳しい経営環境が続いており、実際に経営者の方々から、「売上も収益も減り続けている」「事業の継続が困難だ」とのお声を直接伺っておりまして、依然として極めて困難な経済状況下にあることを強く認識しております。

次に、セーフティネットの申込み、認定状況についてのご質問にお答えいたします。
国の緊急保証制度、いわゆる通称「セーフティネット保証」は、昨年10月31日から3次にわたって対象業種を拡大し続け、現在760業種となっており、中小企業のほぼすべてをカバーしているだけでなく、新たに本年6月5日からは、新型インフルエンザの発生に起因する売上減少も対象にするなど、社会経済状況に合わせて柔軟に対応してきました。
豊島区における申込み・認定件数は、昨年10月31日から本年5月末までの7ヵ月で3,400件を超えており、資金需要が高まる年度末を過ぎても、連日10件から20件ほどの申請が続いている状況となっております。

次に、現場の事業者の状況及び関係機関との連携についてのご質問にお答えいたします。
制度融資は、自治体と信用保証協会並びに金融機関という三者の協調により成り立っておりますことから、定期的に制度融資にかかる連絡会を開催し、最新の窓口状況や円滑な融資実施のための情報交換を行うこととしております。
また、商工団体や関係機関をメンバーとした「産業政策緊急連絡会」等を開催し、各団体から景気状況の影響や取り組みについての情報共有や意見交換を行っており、区の産業施策への反映を図っているところでございます。

次に、商工業融資制度の小口零細企業融資の周知と制度の継続についてのご質問にお答えいたします。
特に不景気の影響を受けやすい零細企業者に対する融資制度である「小企業(小口零細)資金」につきましては、極めて低金利の制度となりました。そのため、「小企業資金」を利用される方が急増し、本年4月のみで103件のお申し込みをいただき、前年同月比で10倍を超える6億円近い融資額を斡旋しているところでございます。
また、本年4月には、「環境対策融資」制度を創設し、「環境都市豊島」の実現に向けて、CO2の排出量削減などを目標に、中小企業の設備導入を金融面から支援しております。
これらの融資制度につきましては、広報やホームページでの掲載、パンフレットの作成・配布、ビジネス通信やメールマガジンでの発信だけでなく、様々な会合等において周知を図っているところでございますが、引き続き、より多くの中小企業の方々にご利用いただけるよう積極的な周知に取り組んでまいります。
いずれにいたしましても、区内の中小企業をめぐる状況は今後も厳しさが続くと認識しておりまして、国や東京都との連携を引き続き図りながら、将来にわたって安定的な中小零細企業への支援に結びつく中小企業支援に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
このしま  3点目に、豊島区の「グリーン・ニューディール」政策について伺います。

日本の提案により定められた6月5日の「世界環境デー」も37年目を迎え、この6月の1ヶ月間を「環境月間」として全国で様々な行事が行われております。またG8サミットが昨年7月7日の七夕の日に開催されたことをきっかけに、この日を“天の川を見ながら地球環境の大切さを国民全体で再確認し、低炭素社会への歩みを実感しながら、家庭や職場における取り組みを推進する日にしては”との公明党青年局の提案により「クールアース・デー」が(七夕の日)に決定され、施設や事業所、家庭などで一斉に電気を消す「七夕ライトダウン」を呼びかけます。ちなみに昨年の七夕の夜は、全国76,000か所の施設をはじめ家庭のライトダウン(一斉消灯)運動やろうそくの光で夜を過ごすイベントが開催され、地球環境を考える機運をおおいに盛り上げました。豊島区でも頑張りたいと思いますがいかがでしょうか。
今、世界同時不況の中、環境対策を思い切って実行することにより、環境問題を解決するとともに、経済危機を克服しようとする考え方が「グリーン・ニューディール」として国際的な潮流になりつつあります。
日本は世界最先端の環境技術や自然と共生する「もったいない」の心など、世界に誇るべきさまざまな環境資源を持っています。これを十分に活用して、世界の環境大国としての先進的な取り組みが求められます。そこで、本区における取組みについて伺います。

はじめに、「グリーンとしま」を再生するキックオフ・イベントについては“21世紀の森づくり”ということで、始めはさまざまなご意見がありましたが、植えられた木が元気かどうかと毎日通るたびに見守っている子どもたちを見ると、「木を植えることは、心を植えること」と言われた宮脇教授の言葉を改めて実感いたします。これまで、自分たちの住んでいる環境を「コンクリートジャングル」などとは思ってもいませんでしたが、フォーラムの講演を通して、しみじみ実感いたしました。今後5年、10年で、木はかなり成長していくものと思われますが、全国一の高密度都市において、決定から実現まで、僅か半年あまりという、瞬く間にこの事業をやり遂げたことは、区長の英断であったと言われるように、今後もみんなで見守っていきたいと思います。
そこで、1万本の植樹を終えての評価と今後のとりくみについて伺います。
また、昨年の第2回定例会で質問させていただきました「カーボン・オフセット」で、CO2排出量のうち、森林保全で吸収した分を相殺する仕組みを作っていく手だてとして、地方交流都市の協力で実現してはどうかという提案に対して、早急に作っていきたいとのご答弁をいただきましたが、この「21世紀の森づくり」で対応出来ることなのかどうか、その点についてもお伺いいたします。
2点目に、都道府県に「地域グリーン・ニューディール基金」が創設され、3年間で取り崩して地方公共団体事業への充当や、民間事業者への補助、利子助成等への補助金として、総額550億円が用意されました。
東京都として、この「地域グリーン・ニューディール基金」がどのように取り扱われる見通しなのか、また本区として、どのような事業にこの「地方公共団体事業への充当」を受けていくのか、方針を伺います。
ぜひ、国の経済対策と連携した効果的な取り組みを進めていただき、特色ある「我がまちのグリーン・ニューディール」を展開していただくよう要望いたします。
高野区長  次に、豊島区の「グリーン・ニューディール」政策に関するご質問のうち、まず、「グリーンとしま」を再生するキックオフ・イベントとして実施した、1万本の植樹を終えての評価と今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のように、21世紀の森づくりとして、未来志向の取り組みを実施し、子どもたちの笑顔と自分たちが植えた苗に対するまなざしを見るにつけ、本当によかった、と感じております。
もちろん、検討の経過の中では、さまざまなご意見をいただきましたが、そうした議論も含めていずれも将来につながっていくご意見であったと印象をもっております。1万本というのは、確かに高い目標でしたが、参加した子どもたちの中には「もっと植えたかった」という声があったと聞きますし、また、協力員として参加された方も、サポート役として全力でご協力いただきましたが、やはり、ご自身で植えたかったとのお声も聞いております。多くの方々に参加していただき、この事業をご理解いただけたことが、環境問題を考える大きな効果であったと評価しております。
今後の取り組みの具体的な進め方については、実行委員会に、おはかりいたしますが、子どもたちから成人の方々まで、幅広く参加いただける仕組みづくりを考えてまいります。

次に、地方交流都市の協力による「21世紀の森づくり」についてのご質問にお答えいたします。
カーボン・オフセットは、区が精一杯努力してもなお不足する排出削減を、なんらかの形で「埋め合わせする」というものであります。この場合に、友好都市との協力は、ぜひ進めてまいりたい方策でございます。現時点では、カーボン・オフセット制度に森林吸収分をカウントするための認証など、課題がございますので、たとえば、友好都市への「森づくり」といった対応をするためには、もう少し国における制度的な成熟が必要であると考えております。今後も、バイオ燃料の活用などさまざまな可能性を含め、環境政策としての友好都市との連携を模索してまいります。

次に、「地域グリーン・ニューディール基金」の活用方針についてのご質問にお答えいたします。
この基金は、国の補正予算を受けて創設されるもので、基金の有効期間は3年とされております。6月中旬に説明会が開催されるとのことで、現時点では詳細な説明はされておりません。基金の対象となる事業は、都道府県の温暖化対策や一般廃棄物対策、PCB対策などが例示されておりますが、都としての活用方針が判明し次第、本区としても積極的に活用していく所存であります。
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2.新庁舎建設について

このしま  2番目に、新庁舎建設についてですが、ここでは環境問題を視野に入れた庁舎の実現について質問いたします。
いよいよ日の出小学校跡地を活用しての、再開発組合による新庁舎整備が、本格実施される方向となりました。市街地再開発事業の中で推進する計画ですので、様々な課題があるものと考えますが、人と環境にやさしく価値的な庁舎を目指して、一日も早く区民に喜ばれるかたちで整備を完遂させることを強く要望するものであります。そこで、環境にやさしい庁舎の実現に向けて質問いたします。
政府は6月10日に、2020年時点の二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減率を設定する中期目標を発表しました。この中期目標について政府は4月までに6案を検討し、おのおの、各目標案に沿った削減努力を続ければ、2050年に60~80%削減するという長期目標を達成できる、との分析をしていたものであります。
1990年に比べて8%、2005年に比べて15%の削減とのことであります。公明党は、昨年の洞爺湖サミットに向けて検討した温暖化対策提言の重要項目の中で、2020年に1990年比で25%削減の削減を目指すべきーとしておりましたので、多少物足りない印象はありますが、この中期目標達成に向けて、国・地方・民間のそれぞれが努力を重ねていかなければならないことは、申し上げるまでもありません。本区でも、今年の3月に2025年に2005年に比較して30%以上の削減をするとの「環境基本計画」をまとめております。この2005年比30%以上というのは、1990年に比較して22%になるとのことであります。
そこでお尋ねします。区長は、この「環境基本計画」における中期目標達成に向けて、どのような取り組みが重要と考えておられるのか、具体的な施策と合わせてお答えください。

今年の1月、斉藤環境大臣は首相と会談し、「グリーン・ニューディール」構想の日本版を策定してまいりました。具体的には、企業の環境投資に対する無利子融資制度の創設のほか、省エネ家電などの購入者に「エコ・ポイント」を付与するといった施策が実現されていることは、経済産業省の試算では、経済効果4兆円、CO2削減効果は家庭の排出量の4%にあたる年間400万トンと、大きな成果をあげていると評価されております。
この中で、太陽光発電や風力発電など新エネルギーの有効活用への集中投資の促進も打ち出しております。本区でも、昨年の第4回定例会でわが党の西山議員が質問したとおり、家庭向けの太陽エネルギー機器の助成制度は、すでに昨年度から他区に先がけて導入しておりますが、なかなか思うほどには普及が加速していないと伺っております。
そこで、私は区が率先して環境配慮型の施設をつくり、区民の皆さんにお手本を示すべきであると考えます。この点についての、区長のお考えを伺います。
中でも、区の施設のお手本となるのは、やはり新庁舎になるのではないでしょうか。私も、イメージ図で、さまざまな環境配慮がされていることは承知しておりますが、この庁舎建設を機に、豊島区がどのような環境都市をめざしていくべきかを、区民の皆さんはもちろんのこと、全国に、もっと積極的にアピールすべきと考えます。区長のお考えをお聞かせください。特に、建物は、一度建ててしまうと抜本的な対応が難しいので、民間ビルをつくる際に、エネルギーや環境に配慮した計画をすすめるよう働きかけていく必要があります。そうした観点で、本区の新庁舎が官民のお手本となっていく責任があると考えております。
私は、環境問題への対応は、いたずらに区民に我慢を強いるものであってはならないと考えております。ただし、これまでのエネルギー使いたい放題、CO2出し放題という考え方では、未来に希望ある地球を残せないことは、誰もが予感しているところであります。どうすれば、地球と折り合いをつけながら、幸せな暮らしを維持していけるのか。家庭や事業所に、新庁舎がモデルを示す気概をもって、新庁舎の検討をしていただきたいと考えます。

庁舎のイメージ図では、階段状になった庁舎の屋上や外壁を緑化することが検討されております。緑化をすすめることはもちろんですが、水の設備なども盛り込んではいかがでしょうか。
豊島区には、神田川以外に見える河川がなく、水に親しむ機会の少ない区ですので、雨水などを利用したビオトープなど、環境教育にもつながる潤いと憩いの施設を新庁舎建設を機会に整備してはどうかと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。
また、今回の新庁舎は、再開発事業で進めるため、住宅などとの合築となり、庁舎部分の環境配慮だけでは、環境への取り組み度合いは薄らいでしまう懸念があります。大規模建築物ならなおさら、建物全体が環境配慮となるほうが、アピール度が違ってきます。区長のリーダーシップで是非実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
今年の12月にはコペンハーゲンで、京都議定書の次の世界的な合意を目指す気候変動第15回締約国会議、いわゆるCOP15(コップ・フィフティーン)が開催されます。地球温暖化の防止も、新庁舎建設も、「できるの?」「できないの?」と考え、足踏みしていることは許されません。「生き残るためにはどうするの?」という不退転の覚悟が必要と考えますので、環境庁舎に向けた区長の力強い発言を期待します。
高野区長  次に、環境問題を視野に入れた新庁舎の実現についてのご質問のうち、まず、区としての中期目標達成への取り組みについてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のように、本区の中期的なCO2の削減目標は、1990年に比べて22%の削減、2005年比で30%削減という、非常に高い目標を掲げております。これを達成するには、経済界に働きかけ、企業等にCO2削減コストの確保を求めることが必要ですが、自治体のみの努力では限界があります。
区といたしましては、グリーン・ニューディールなどの施策に期待し、家庭部門だけでなく業務部門においても、太陽エネルギーの活用や、設備・機器の省エネ化などのほか、特に、建物更新時のエネルギー効率の改善などを総合的に推進することが重要であると考えております。
中期目標達成への政府の取り組みを基礎に、区民・事業所に働きかけを行い、都市のインフラ整備を環境配慮型で進めてまいります。

次に、「七夕ライトダウン」の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

本区では、環境省の「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」の趣旨を踏まえた、庁内の取り組みとして、既に、6月20日から7月7日まで午後8時を目処に消灯するよう、職員に呼びかけております。また、民間事業者に対しては、「クールシティ推進協議会」を通じて企業に協力を依頼しておりますが、いずれも省エネの奨励を中心とし、ご提案の「七夕ライトダウン」の主旨とは異なるものでありますので、イベント的なライトダウン活動については、今後、検討させていただくことといたします。

次に、区が環境配慮型の施設で、区民の皆さんに範を示すことについてのご質問にお答えいたします。

区として環境配慮行動に率先して努めていくべきことは、当然のことであります。既に、平成12年3月に「庁内温暖化対策実行計画」を策定し、温室効果ガスの削減に取り組んでまいりました。
今後は、環境基本計画の策定を機に、これまで以上に精力的に取り組んでまいる所存です。このため、あらたに「環境配慮ガイドライン」を策定し、職員の省エネ行動やエコカーの導入などと並んで、「カーボンマイナス施設づくりガイドライン」を策定したところです。新築や大規模改修に際して、塗装や断熱、緑化のほか太陽エネルギーなどの有効利用、給湯等にかかる省エネルギーシステムの導入に努めてまいります。計画段階から熱負荷を比較し、効果の算出を行い、公表する計画の中でこの効果を明記いたします。
こうした公表等を通じて、環境配慮型の建築物の効果や必要性を区民・事業者の皆様にご理解をいただきたいと考えております。

次に、新庁舎における環境配慮の積極的なアピールについてのご質問にお答えいたします。

新庁舎における環境配慮につきましては、これから行う基本設計にあわせて、具体的に検討していくことになりますが、官民を含め環境対策の手本となる環境モデル庁舎を目指してまいります。
具体的に申し上げれば、室温効果ガス削減対策の視点から、屋上や壁面を可能な限り緑化し、階段状になった屋上のステップガーデンを区民の皆さんの憩いの場所として開放することや太陽光発電パネルの設置を考えております。さらに風力発電も可能性があるかの検討をいたします。
また、庁舎部分の冷暖房用熱源につきましては、周辺地域全体の熱源を面的にまかなう地域冷暖房システムを活用する計画となっており、周辺地域全体のCO2排出量の削減が可能となります。
更に、省資源の視点から、建物の長寿命化、100年建築を図るとともに、再生建築資材などのエコマテリアルの採用や、雨水をトイレの洗浄水などに利用による水循環システムの導入も考えております。また、地区内でのゴミの再資源、再生化の処理が可能な方策も検討したいと思います。

また、これまでの蛍光灯と比べ使用電力が約6割減となるLED照明の導入も検討し、建築物を環境性能で格付けする国のシステムであるCASBEE(キャスビー)の最高水準であるSランクの取得を目指します。

このように、さまざまな視点からの環境対策を講じた環境庁舎を実現した時が、豊島区環境基本条例に掲げる都市像であります「環境に配慮された活力溢れる持続可能な都市」をアピールする大きなチャンスでありますので、全国に向けて強く発信していきたいと考えております。

次に、雨水等を利用したビオトープの整備についてのご質問にお答えいたします。

先ほど申しましたように、屋上緑化したステップガーデンは、広く区民の皆さんに開放する考えでありまして、そこに雨水等を利用したビオトープのスペースを整備することは物理的に可能でありますし、環境教育の点からも大変意義がありますので、ご提案の趣旨を十分に踏まえ、具体的な計画のなかで検討してまいります。

次に、建物全体における環境配慮についてのご質問にお答えいたします。

新庁舎が環境モデル庁舎として、官民の手本となり、強くアピールしていくためにも、住宅を含む建物全体が環境配慮のモデルとなる必要があります。そのため、住宅部分についても、外壁の断熱仕様や高性能ガラスの採用、太陽光パネルの設置など、様々な環境配慮を取り入れ、東京都マンション環境性能表示で定められる「建物の断熱性」「設備の省エネ性」等の最高水準を目指すべきものと考えております。
今後、他の組合員や参加組合員の方々とも協議しながら積極的に対応してまいりたいと考えております。
なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
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3.健康施策について

このしま  3番目に健康施策についてですが、はじめに、女性の健康支援・がん対策について伺います。

いま日本は、2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなるという、世界一のがん大国になっています。また、21世紀は女性の時代とも言われる中で、最近、20代~30代、40代の若い女性に子宮頸がんが急増し、40代~50代の女性に乳がんが激増しています。女性の20代から50代と言えば、まさにこれから妊娠、出産を迎える人、あるいは子育て真っ最中、あるいは働き手として、職場においてなくてはならない存在です。女性の命を守ることは、社会にとって、どれ程大事であるか言うまでもありません。しかし、毎年子宮頚がんで2,500人もの命が失われ、乳がんで、1万人もの尊い命が亡くなっており、一家の太陽の存在である働き盛りの女性を失った悲しみに暮れる家庭を、私も度々目にして参りました。子宮頸がんは、予防ワクチンと検診を受ければ、ほぼ100%予防できると言われます。
しかし、がんの検診率を見ると、欧米の女性の場合、「大人になったら検診を受けようね!」と教育を受けているためか、9割の方が受診しているのに対して、日本では、18年度の受診率を見ても、子宮がんは、東京11.9%、豊島区では、7.4%。乳がんは、東京7.6%、豊島区5.9%と、あまりにも低い実態です。
東大病院放射線科の中川恵一准教授は、「がんのひみつ 」という著書に書いております。「ひみつ」というのは、基本的な大事な情報がみんなに伝えられていない、知られないまま「ひみつ」になっているという警鐘の裏返しですと。
2人に1人ががんになると言われても、多くの日本人は自分が、がんになるとは思っていません。それは、がんが「ひみつ」のままだからだと中川先生は言います。
乳がんは、DNAが傷ついて、がんが1個できて、それが1センチになるのに15年かかり、1センチ以下のがんは発見できませんが、1センチが2センチになるにはあっという間の1年半で、この間に発見することが大事です。タレントの山田邦子さんの場合も、毎年検診を受けていたのに、忙しくて3年受けなかった。その間に乳がんが大きくなってしまったということです。2センチまでの早期がんなら、治癒率は9割以上となっております。だから、乳がんの検診も2年に1回になっており、子宮頸がん、乳がん検診は「受けなければ損」な検診です。
今年も、3月1日から8日までの「女性の健康週間」に、公明党東京都本部女性局は「女性の元気応援隊」と銘打って、豊島区をはじめ都内各地で街頭遊説を展開しました。特に女性特有のがん、子宮頸がんと乳がんの検診率アップの啓発に力を入れ、併せてがん対策の強化を求める署名と女性特有のがん検診に関する意識調査を展開し、4月1日、豊島区内約4万名の署名を添えて厚生労働省と東京都に要望しました。
公明党の強い要望を受けて、今の度の新経済対策の中に、子宮頸がんと乳がん検診の無料クーポン券と、検診手帳の配布が盛り込まれ、女性特有のがん検診事業として実施されます。そこで、こうした国の対策を受け、今後の豊島区の取り組みについて伺います。
初めに、国の検診料無料化に伴い、検診を受ける場所の確保が必要です。受診率を向上させるには検診のキャパシティの確保が大事です。現在豊島区内にはマンモグラフィの設備も含めて検診のキャパシティは、どれ位あるのでしょうか。また、無料検診の受け皿となる、医療機関はどのように確保されるのでしょうか。

2点目に、今後クーポン券を利用して受診する女性が増えると思いますが、その場合、区外の医療機関でも受診できるよう他の自治体と連携する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

3点目に、国は、平成23年度までには、乳がんを含めたがんの検診率を50%にする目標を示しています。豊島区として受診率向上に向けたプログラムを作成すべきと思います。そこで、今年度、東京都が区市町村に対して受診率対策のコンサルティング事業を提供しています。さらに国のがん対策推進室からは「がん検診受診促進企業連携事業」の予算があり、こうした制度を利用して、取り組んではいかがでしょうか。お考えをお聞かせ下さい。

4点目ですが、先日『余命1ヶ月の花嫁/乳がんと闘った24歳 最後のメッセージ』が放映され大反響を呼びました。乳がんが発症し、24歳6ヶ月で生涯を閉じた長島千恵さんの遺言は、「若年性乳がんについて、もっと知って欲しい。若い人には自分と同じ思いを味わって欲しくない」。というものでした。その意志を継いで「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」が昨年から行われ、沖縄から札幌までの全国29会場で、がんの早期発見の大切さを啓発し、約4,000名の20代から30代の女性が受診し、その活動は、今年も実施されております。

豊島区では、乳がん対策として、自己触診で異常を感知できるグローブの配布を公明党の申し入れにより、実施していただけることになりました。今年度は、とりあえず2,000名分ということで、これについては、特に若い女性から喜ばれ、高く評価しているところであります。
また、周知・啓発については、「10月の乳がん月間」を活用してイベントを行う予定があると伺っておりますが、どのような取り組みでしょうか。
今回の検診推進事業は20歳からの子宮頸がんの検診が入っていますが、20歳で子宮頸がんの検診を受けるには、かなりの抵抗感があると思われます。

また、今年の秋には、子宮頸がんの予防ワクチンが承認される方向と伺っておりますが、予防ワクチンの接種は若い年齢、特に10代でないと効果が薄いとも言われています。がんに関する正しい知識、がんの教育に力を注ぐ必要があると思います。
先日、国立市立第一中学校で500人の生徒たちに、中川先生によるがんの授業が行われました。豊島区も「がんの教育」を積極的に検討してはいかがでしょうか。保健の授業では、好ましくない生活習慣は、がんになる確率が高くなることを教えています。しかし、すでにがん対策は国策です。がんそのものを学ぶことが必要な状況になっています。お考えをお聞かせ下さい。

最後に、国の無料検診と豊島区の子宮がん・乳がん検診との混乱が生じない様、各機関と連携して受診率向上への積極的な取り組みをお願いして、この質問を終ります。
若林健康担当長  健康施策についてのご質問のうち、まず、女性の健康支援・がん対策についてのご質問にお答えいたします。

まず、女性のがん対策についてお答えいたします。
検診を受ける場所の確保についてですが、現在の本区のがん検診は、区内74の医療機関で問診・視診と触診を受診し、希望により豊島健康診査センターでマンモグラフィ検査を受診する仕組みになっています。
平成20年度における乳がん検診受診者数は2,684人、そのうちマンモグラフィ検査の受診者数は、2,129名となっております。  5月29日の国の補正予算成立により、本区における無料クーポンでの乳がん検診対象者は約8,000名となる見込みです。このうち4割の方が検診を受診されると予想すると、新たに3,000名強の乳がん検診に加わることとなります。
さて、検診のキャパシティですが、区内の医療機関での問診・視診と触診、並びに豊島健康診査センターでのマンモグラフィ検査につきましては、実施期限をそれぞれ現在の11月から数ヶ月間延長することなどにより、無料クーポンによる増加分に十分対応できるものと想定しております。

次に、他の自治体との連携についてのご質問にお答えいたします。
区外の医療機関でも無料クーポンによるがん検診が受診できるよう、現在23区で調整を続けております。しかし、各区の検査単価や検査方法の相違に加え、マンモグラフィ検査を実施可能な医療機関不足を訴える区が多く、現在のところ調整に難航しております。今後も引き続き調整を継続し、少しでも開かれた検診となるよう努めてまいります。
次に、受診率向上に向けたプログラム作成についてのご質問にお答えいたします。
現在、本区のがん検診受診率は、5つのがん検診の平均で5%と、国の平均受診率16%と乖離があります。ご提案の受診率向上に向けたプログラム作成については、国や都の助成制度の詳細が判明しだい、前向きに検討してまいります。

次に、がんに関するイベントについてのご質問にお答えいたします。
ご質問にあります、乳がん自己検査用グローブは昨日から池袋保健所窓口にて配布しております。乳がんは自己検査が可能な唯一のがんですので、乳がん検診を受けられない年齢層の方々にも日頃から自己検査をする機会をつくっていただきたいと考えております。

また、今年度の新規事業であります「健康チャレンジ!」の一環として、乳がん月間である10月10日土曜日に、「スター混声合唱団ミニコンサート&山田邦子がんトーク」と題して、サンシャインシティ噴水広場において、乳がん予防普及啓発のイベントを実施いたします。こちらに参加された方々にも、乳がん自己検査用グローブを配布する予定でございます。
私からの答弁は以上でございます。
三田教育長  引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

女性のがん対策についてのご質問のうち、「がんの教育」についてのご質問についてお答えいたします。
「がんの教育」につきましては、ご指摘のとおり、発達課題を基に、子どもの頃から理解を深めることが重要であると考えます。健康な生活と疾病の予防につきましては、小学校、中学校の保健の学習として位置付けられておりますが、がん発生のメカニズムや望ましい食生活、がん検診の必要性などの理解も不可欠であります。
今後は、がんの予防に関する子どもたちの理解を深めるため、参加しやすいイベントや地域の保健所、医療機関、ゲストティーチャーの活用などを検討して参ります。
このしま  健康施策の2番目に、ヒブワクチンの接種について伺います。

ヒブとは、インフルエンザ菌b型のことです。子どもの鼻やのどにいることがあり、そのままでは病気になりませんが、ヒブが血液や肺の中に侵入すると、髄膜炎や敗血症・急性喉頭蓋炎などの深刻な病気をひき起こしています。5歳位になれば、免疫力がつくようになるのですが、乳幼児では細菌性髄膜炎などが発症し、命の危険にさらされております。国内では、年間約1,000人の子どもたちが自然感染で、細菌性髄膜炎になり、そのうちの約5%が亡くなられ、4人に1人は後遺症に苦しんでいるという実態があります。
実は、4年前ですが、豊島区内において犠牲者が出て、その事で私も関わりました。初めて授かって2歳を迎えたお子様が細菌性髄膜炎にかかり、尊い命を亡くされました。その時、ご両親は悲しみの中で、いろいろとその病気について調べられ、それがヒブワクチンによって防げるものだということを知ったのです。しかし、これが国内では認可されておらず、販売・供給開始がされていなかったのです。
ご両親は、ご自分たちのような苦しみを他の方に繰り返して欲しくないとの強い思いで、私の方に、国会議員紹介の要請があり、つなげました。

世界保健機構は、1988年に乳幼児へのヒブワクチンの定期接種を推奨する声明を発表しました。米国では、87年にヒブワクチンが認可され、その後ヒブ感染症の罹患率は、100分の一に減少しているとのことです。どの国も定期接種を行うことで、ヒブによる髄膜炎を劇的に減少させております。ヒブワクチン後進国の日本では、現在予防接種を受けるかどうかは、各家庭の判断で、費用は1回当たり7000円~8000円で合計約3万円にも上ります。しかし乳幼児を抱えたお母さん方は、費用負担が高額でも接種を希望する人たちが多いとのことで、接種費用に対する公的助成を行う自治体が増えております。
都内でも4自治体が始めておりますが、東京都ではこの4月から市区町村が公的助成をする場合、その費用の半分を都が補助する独自の支援策をスタートさせました。そこで、ぜひ豊島区においても助成していただきたいのですが、区長の積極的なご答弁を期待いたします。
村主池袋保健所長  次に、ヒブワクチンの接種費用の助成についてのご質問にお答えいたします。

ヒブワクチンは、予防接種法に基づく定期予防接種ではなく、保護者等の判断で接種可能な任意予防接種の一つです。保健所におきましても、乳児健康診査などの機会を通して、任意予防接種を含めた予防接種に関する情報提供を、実施しているところです。
ヒブワクチンは国内では2008年12月19日から接種可能となりましたが、フランスからの輸入ワクチンであり、日本向けの品質基準への対応が必要であることもあり、現時点では安定供給の点で課題も生じています。
区といたしましては、ただいま申し上げましたような状況や財政状況をふまえて、ヒブワクチンの接種費用の助成につきましては、今後の検討課題とさせていただきます。 私からの答弁は以上でございます。
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4.子育て支援について

このしま  4番目に子育て支援として、はじめに保育施策について伺います。

21年度の保育園への入所申込みが前年度にも増して大幅に増え、本区の待機児童数は4月1日時点で、122名となりました。これは、人口やファミリーマンションの推移だけでなく、経済状況の悪化により、共働きを望む家庭が急増したものと思われます。
区は、平成20年度の待機児童数が58名と平成19年度より、大幅増だったことを受け、今後の保育需要に対応していくために、平成23年までの新たな保育計画を策定しました。しかし、今年の待機児童の数からしても一刻も早く対応しなければならない待ったなしの状況です。
私たち公明党豊島区議団は、池袋のハローワークを訪れ、特にマザーズコーナーを視察して参りましたが、そこでは「何とか仕事が見つかったとしても子どもを預ける保育所がなく、働くことが出来ない。」という女性が多く、ハローワークでは、豊島区の子育て支援課とも緊密な連携を取らざるを得ない状況にありました。そこで、この対応策について伺います。

1点目に、現時点での待機児童数と、今年度の推移についてどのように考えておられるのか伺います。

2点目に、依然として0歳児から2歳児までの待機児童が圧倒的に多いことから、この対象年齢児童の受け入れを急ぐ必要があると思いますが、これに対する区の取り組みを伺います。
平成20年度第2次補正予算の「安心子ども基金」では、賃貸物件で開設される認可外保育所に対して国が2分の一を補助し、都と区がその半分を補助することで、事業者の負担は4分の一となり、保育所の整備等が事業者にとっては、かなり参入し易い状況となっております。そこで認証保育所の誘致を積極的にされ、保育の質の向上のための研修なども実施し、体制整備を早急に推進すべきと考えますがいかがでしょうか。

3点目に、区立保育園の建て替え計画がありますが、学校の跡地などで現在暫定活用している用地などを活用し、建設時期も前倒しで実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

4点目に、厚生労働省では、家庭での“保育ママ”について、2010年から、年齢を就学前まで拡大することも可能としております。また、保育ママや一時保育の拡充が必要ですが、自宅提供型よりは、施設提供型の方が推進し易い現状にあると思われます。そこで区民ひろばの中には、施設型として可能だと考えられる所もありますがいかがでしょうか。

5点目に、多子世帯に対する負担軽減策ですが、保育園の入所が困難となっている現状から、兄弟姉妹を同じ園に通わせたいという希望が叶いづらく、別の園に通わせることになる家庭や、兄弟姉妹の一方が入園出来ない家庭が増えております。保護者にとって子どもを個別に送迎する心理的・身体的負担や、無認可保育所等に通わせる経済的負担は非常に大きいものです。本区の保育園入所基準では、ひとり親家庭について優遇され、大変助かっているとの声が聞かれます。しかし、一方で兄弟姉妹入所時の取り扱いについては、不十分であると考えます。ひとり親家庭の場合と同様、優遇措置を講じられることを強く望みます。また第3子以降の保育料については、国基準では無償としています。都市間競争という観点からも区として、無料化されたいと考えますがいかがでしょうか。

6点目に、東京都目黒区は、保育園に子どもを預けられず母親が就業できない世帯に対し、待機児童1人につき月額2万円を支給する緊急生活支援策を発表しました。
支援金の支給は、世帯課税所得額363万8千円以内であることが条件とのことで、4月時点にさかのぼって7月から支給され、子供の預け先が見つかれば打ち切られるとのことであります。区では、6月議会での補正予算案提出は初めてということですが、経済状況の厳しさを勘案してのことだと伺いました。本区においても、ぜひ実施していただきたいとの要望が多くの方から寄せられておりますがいかがでしょうか。600人近い待機児童が出ている区もあるほど、経済不況の影響は大きく、区民は必至であります。保育環境の整備を一日千秋の思いで、待ち望んでいる区民のために、早急な対応を望むものであります。

7点目に、保育園における衛生面・安全面等の保育環境整備についても要望いたします。
この4月に区立保育園に入園されたお子さんが、入園2日後、ロタウイルスに感染してしまい、自宅療養ということで、保護者の方は一週間仕事を休むことになりました。看護師でもあるその方は、保育園でのおむつの交換時の体制に疑問を持っておられ、病院では使い捨てのビニール手袋を使用し、都度エプロンを変えるなど、感染を防ぐ対策をしており、保育園においても病院同様にとまではいかないまでもウェルパスと呼ばれる洗浄液の配置などの要望を受けました。新型インフルエンザも区内で発生したことから、各種感染対策を強化し、衛生面における保育環境の整備も要望いたします。

8点目に「豊島区子どもプラン」について伺います。
現在、後期計画に向けた改訂作業に取り組まれておられると思いますが、引き続き重要課題である待機児童の解消や保育サービスの拡充策、在宅で子育てする家庭への支援策、そして児童虐待防止対策等に取り組むものと思いますが、進捗状況を伺います。また、「仕事と子育ての両立を支援する」ということに観点をおき、パートやアルバイトなど、多様な就労形態に対応する方向で、区民の期待に応えていただきたいことを要望いたします。
吉川子ども家庭部長  子育て支援についてのご質問のうち、まず、保育園の待機児童についてのご質問にお答えいたします。

現時点での待機児童数は、平成21年4月時点で122人、5月現在では129人でございます。今年度中の推移を推測いたしますと、例年の傾向に従い徐々に待機児童数は増加していくと思われます。また、現下の経済状況の継続が加われば、ご指摘のとおり待機児童対策は喫緊の課題となるものと思われます。

次に、0歳児から2歳児までの待機児童の受け入れ体制整備についてのご質問にお答えいたします。
最近の傾向といたしまして、企業などで育児休業制度への理解がすすみ、育児休業を取得する保護者が増えているため、育児休業明けの1歳児・2歳児の保育需要が増加しております。そこで、昨年度に策定した「保育計画」に基づき、1歳児の受入数を21人拡充したところですが、今年度中にも、2歳児の受入数を拡充する予定でございます。

また、保育所の整備につきましても、待機児童の発生が見込まれる地域においては、認可保育園の誘致も視野に入れた対応策を検討してまいります。さらに、大規模マンション建設等によって見込まれる保育需要については、ご指摘の補助制度などの活用も考慮して、当該マンション内への認証保育所の設置を積極的に働きかけてまいります。
なお、認証保育所の職員に対しましては、すでに認可保育園職員の研修に合同して参加いただいておりますが、今後とも認証保育所の質の向上を支援してまいります。

次に、区立保育園の立て替え時期の前倒しについてのご質問にお答えいたします。
築年数40年を超える園もあるなど、老朽化のすすんでいる状況でございますが、保育園では長期休園ができないことから、主に部分改修にとどまっておりました。ご指摘のとおり、不要不急の用地を活用し仮園舎を建設できれば、園児への工事の影響を少なくすることができます。
また、仮園舎の確保ができれば、焦眉の課題である待機児童対策のために、有効床面積を拡張したり、歳児ごとの保育室の構成を改善するなど、大規模な改修を行うこともできます。
園舎の安全性をより高め、待機児童解消のための抜本的対策に向けて計画を立案しておりますので、いずれ内容をお示しいたしますとともに、保育園の立て替えがすみやかに実施できるよう一層努めてまいります。

次に、区民ひろばにおける施設型保育ママ事業の実施についてのご質問にお答えいたします。
施設型保育ママは、区民により身近な地域で事業展開できる利点があることから、区民ひろば内での実施も検討いたしましたが、在宅で子育てをされている家庭や地域団体等の活動拠点として現在すでに定着しており、保育ママ施設として相応のスペースを確保できない状況です。したがいまして、現時点での展開は困難と考えております。

次に、子育てにかかる負担軽減についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のような保護者の負担は承知しておりますし、先に策定・公表した保育計画のパブリックコメントにおいても、兄弟姉妹の入園に対し、さらなる改善を求める意見が数多く寄せられております。こうしたことから、今後子ども一人家庭との公平性等を踏まえ、より一層、区民の理解を得られる入所基準の見直しについて検討してまいります。
保育料の第3子無料化につきましては、多子世帯の経済的負担軽減に有効なものと認識しております。しかし、その実施の是非や時期等につきましては、増大する保育需要に対応するための経費、在宅子育て家庭への支援策との公平性等を踏まえ、今後の保育料のあり方全体の中で検討してまいりたいと考えております。

次に、待機児童の緊急生活支援策についてのご質問にお答えいたします。本区では入園申請時に、仮に待機となった場合の児童の保育方法について調査しており、その結果、各家庭での対応策としては、自宅で母親が保育するとの回答が全体の半数となっております。
この点で、求職中の母親等が就労を一時的に断念する場合も含まれると推定され、家計に及ぼす影響は一定程度生じているものと認識しております。
しかし、本区としては、待機児童の早期解消が最優先であり、財源についてもこれに重点的に配分することが適当と考えております。したがいまして、待機児童を持つ各家庭に直接支援金を給付することは考えておりません。

次に、保育園における衛生面・安全面の保育環境整備についてのご質問にお答えいたします。
保育園には看護師を配置して、園児の健康管理と園内の衛生維持にあたっておりますが、ロタウイルスによる感染性胃腸炎は注意すべき疾病として衛生管理上の重点事項といたしております。保育園におきましても、汚物の処理を行うときは医療用手袋の使用や手指の消毒を心掛けておりますが、その徹底を一層指導してまいります。また、手指消毒用の薬品も改めて全園に配布いたしました。おりから、新型インフルエンザの区内発生もありましたので、衛生面・安全面の環境整備にさらに積極的に取り組んでまいります。
次に、「豊島区子どもプラン」の進捗についてのご質問に、お答えいたします。
現在、子どもプランの後期計画を策定するため、外部委員による会議体を設けて、精力的な検討を行っております。
基本的な考え方や施策の方向性については、9月頃にまとめる「中間のまとめ」でお示しできると存じますが、核となる考え方は「仕事と生活の調和した社会の実現」と、「子どもとその家族を支える社会基盤の整備」だと考えております。
この核となる考え方を具体化し、豊島区のすべての子どもが健やかに育つためには、まず第一に支援策の包括化・体系化をより一層図ることが重要だと考えております。その上で、誰もが必要なサービスを選択して利用できる普遍性を持った施策と、妊娠時から青少年に成長するまでの連続した施策の双方を、効果的に展開することが必要だと認識しております。
ご指摘の、待機児童の解消や保育サービスの充実策などの具体策は、「中間まとめ」以降に本格的な検討を行うこととしており、議会にも報告をさせていただきながら、すべての子どもの健やかな育ちへの支援という目標に沿って、でき得る最善の策を示して行きたいと考えております。
このしま  最後に、母子家庭の自立支援について伺います。

厳しい経済・雇用情勢の中で母子家庭を守るため、国は2009年度補正予算で母子家庭の支援策を大幅に拡充し、その早期実施が待ち望まれております。
その拡充の柱は、高等技能訓練の就業期間における給付(高等技能訓練促進費)の充実と、より使いやすい母子寡婦福祉貸付金への拡充、また引きこもりがちな母子家庭の母親への個別訪問員による相談支援やひとり親家庭等の在宅就業を積極的に支援する自治体への助成といった新規事業も盛り込まれております。
そこで先ず、豊島区において、18歳未満の児童・生徒を扶養する母子世帯はどの位あるのか、年収はどれ位か、近年の推移についてもお伺いいたします。

2点目に、これまで豊島区において、この「高等技能訓練促進費」の制度を活用して、どの位の利用があったのかを伺います。またこの事業と利用の状況について、どのように評価しておられるのかお聞かせください。
3点目に、母子世帯の方に伺うと、「これらの資格を取得することによって、年収300万円が夢でなくなり、さまざまな手当てを受けなくても生活がしていけるようになると思う。でも4年間専門校に通うとなると余程の目標達成のための熱意とエネルギー、そして経済的余裕がなければ、とても踏み切れない。」とのことでした。
確かに、これまで、この高等技能訓練促進費事業を活用して資格を得ようとしますと、修学費用等、将来にわたり400万円~550万円もの大きな借財を抱えることとなり、なかなか利用しづらいのが実状です。
現在豊島区におかれましては、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、理容師、美容師、準看護師、そして保育士などが、その対象とされておりますが、そこにぜひ「登録販売者」も含め、対象資格の拡大をとの区民の声があります。この「登録販売者」制度は、2008年の春に施行され、薬事法改正により、薬店やドラッグストアなどで薬剤師とは別に一般用医薬品の販売をすることができる専門家のための新しい資格のことです。
従来の薬事法では、原則として薬剤師の資格がない限り、医薬品の販売をすることが出来ませんでした。そのため、ドラッグストアなどでは薬剤師の資格を持ってている人が必要不可欠で、不在の場合は大衆薬でも販売することが出来ませんでした。しかし、「登録販売者」の資格が得られますと、ドラッグストアや薬店、コンビニエンスストアなどで一般大衆薬を販売することが出来るようになったものです。
母子世帯の女性にとって、この「登録販売者」であれば、一年間の実務経験を得るにも、身近な生活地域で探すことが可能であり、子育て中の女性にとっては、その環境も整え易く、また日本デュアルシステムの活用で修学費の軽減や、将来も安定した生活が可能となります。

この母子家庭高等技能訓練促進費事業の対象資格については、その条件として、☆就業に結びつく可能性の高い資格であることと、その資格内容については、☆その他、都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする資格とあります。

これら、さまざまな資格の門戸が開かれたとしても、母子世帯の女性にとってはその挑戦しようとする時期にも限度があります。そこで、これらの実情を鑑み、豊島区の母子家庭高等技能訓練促進費事業の対象資格を拡大していただきたいと考えますが、区長の前向きなご答弁を期待して、質問を終わります。
吉川子ども家庭部長  次に、母子家庭の自立支援についてのご質問のうち、18歳未満の児童・生徒を扶養する母子世帯についてのご質問にお答えいたします。

お尋ねの母子世帯の数や年収につきまして、正確な統計数値はございませんが、18歳未満の児童を養育する一定所得以下の母子家庭を対象とした児童扶養手当の支給状況が参考になると思われます。これによると、本年3月末現在の母子家庭は1196世帯となっており、この10年間で約1割増加しております。
また、母子2人世帯の例では、児童扶養手当及び児童手当の受給額を含め、年収おおむね200万円未満の困窮世帯が、対象者の半数以上を占めている状況です。

次に、母子家庭高等技能訓練促進費事業制度についてのご質問にお答えいたします。当制度は、母子家庭の厳しい生活実態を踏まえ、母親が経済的自立に効果のある公的資格を取得するため、修業期間中の生活負担の軽減を図ることを目的に支給する国庫補助事業であります。本区では平成17年度より実施しており、母子家庭の母親の就労支援に極めて有効な施策と考えております。
これまで、看護師資格の取得を目指す2名の利用がございました。いまだ利用が少ない状況ではありますが、昨年度より給付の対象期間、給付額を拡大し、本年度、国においてはさらに拡大する方向で詳細が検討されているところです。
本区といたしましては、母子福祉資金の貸付との併用も含め、事業の一層の普及啓発と利用促進に努めてまいります。

次に、高等技能訓練促進費事業の対象資格の拡大についてのご質問にお答えいたします。

現在本区では、看護師、保育士等、国指定のものに、助産師、理容師、美容師等を加え、合計10種類の資格を対象として定めております。
国が定める本制度の要件に「養成機関において2年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる」ことといった規定があり、ご指摘の医薬品の登録販売者につきましては、母子家庭の母親の就労支援に有効なものではありますが、養成機関としての指定校が存在しないため、今のところ対象資格として追加することは困難と考えられます。

いずれにいたしましても、母子家庭の母親の就労や生活安定に資する可能性が極めて高く、基準を満たす公的資格につきましては、区民のみなさまのご意見・ご要望を踏まえ、対象資格としての追加を検討してまいりたいと考えております。私からの答弁は、以上でございます。